ポポロ通信舎

(旧・ポポロの広場)姿勢は低く、理想は高く。真理は常に少数から・・

カナダの自主外交を見習おう

2013年08月31日 | 研究・書籍

『カナダの教訓』(超大国に屈しない外交)を読んでみました。
著者は外交官出身で元防衛大学校教授を務めた孫崎享氏。

『カナダの教訓』は20年前に書かれたものを文庫版として今年刊行されたもの。私はキンドルの電子書籍版を入手しました。

孫崎享さんは昨年8月に『戦後史の正体』(創元社)を出版し大きな反響がありました。今回復古版に近い『カナダの教訓』では、経済的にも地政学的にも日本以上に米国と深い関係にあるカナダが、いかにして独自の外交を展開してきたかを述べています。

自主外交を貫いてきたカナダの首相たち、そしてその外交姿勢をしっかり支えてきたカナダ国民の誇り高き道のり。私たち日本国民や日本の政治家に欠けているものをカナダの歴史が持っていました。カナダの一種、「苦悩の外交」から学ばなければならないと思いました。

北爆、イラク戦もカナダ同調せず

米国の北ベトナムへの爆撃(北爆)に対してピアソン首相が反対の演説をして、翌日ジョンソン米大統領に襟をつかまれて、つるしあげられた。それでもカナダはイラク戦争に参戦しなかった。日本ですら自衛隊を派遣したイラク戦争でしたが、米国と隣接するカナダが、その圧力をはねのけてわが道を進んだ。クレティエン首相は「大量破壊兵器の有無」「それを使う意図」「「国連の支持」の3つを参戦の条件とし、それが満たされないからと兵は送らない結論付けをした。その後の流れはカナダの主張の正しさが証明されています。

シリア攻撃も自主判断だろう

おそらく今回のシリア攻撃に対してもカナダは、じっくり情勢分析しべトナム戦争やイラク戦争の時と同じように軽々に米国に歩調を合わせることはないでしょう。カナダにとっては「大きな象」のような存在の超大国の軍事作戦といえ、自分で考え自分で判断する、という独立国なら、しごく当然の行動を選択してきました。それに対して「大きな象」の方は腹を立てて、つるしあげくらいのことは行っても最終的にはそれ以上のものではありませんでした。
カナダ外交の歩みをしっかり日本は学ばなければなりません。またそのためには国民も心して自主外交を積極的に強固に応援しなければならないでしょう。

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カナダの教訓 超大国に屈しない外交 (PHP文庫)
孫崎享 著
PHP研究所
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