「桑野さんかな?・・」
やはり桑野さんでした。
今日の朝日新聞経済面「限界にっぽん」シリーズ。「遅れた政策転換 太陽光 日本は油断した」のテーマ記事。自宅のソーラーパネルの前で笑顔の桑野幸徳さん(元三洋電機社長、71歳)の姿。太陽光発電研究の第一人者として、たくさんコメントが記載されていました。
小泉政権では太陽光軽視、原発加速
「太陽光発電の普及は政権交代と密接な関係がある」と桑野さん。1993年の自民党が下野し細川政権が誕生したときに、太陽光政策は加速した。当時、ソーラー関西3社といわれた三洋、シャープ、京セラが新政権に陳情し蔵相(藤井裕久)の賛成を得た。しかし自民党が再び政権を奪還すると、電力業界と自民党の原発族議員の圧力で、法制化が検討されていた自然エネ促進法がつぶされる。2001年の小泉政権になってからは経済産業省主導の原子力立国計画を決め、国内の原発比率を一層高め、途上国への原発輸出の振興政策に走る。2006年には太陽光発電への補助金は打ち切りに。この辺の動きはドイツをはじめとする欧州の動きとは正反対だったという。
三洋の“クリーン社是”生かせず
もし3.11原発事故があと10年早く、小泉政権誕生の前あたりに起きていたら日本の太陽光政策、さらには産業構造の方向性はずいぶん変わっていたのではないだろうか。原発を手がける日立、東芝、三菱とちがいクリーンエナジーを、社を挙げて目指していた三洋、シャープの事業戦略は、おそらく太陽光ビジネスが占める割合が格段に大きくなっていて現在のような経営苦境状況とはちがった展開になっていたように思う。
安倍自民で自然エネは後退か
そして昨年12月、政権は再び交代した。自民党でも河野太郎のような脱原発議員がイニシアチブを握るならともかく、3.11をすっかり忘れ再稼動はおろか、新増設も含みをもたすような安倍内閣では、小泉政権時代に逆戻り。日本の太陽光産業への十分な助成は期待できそうにはなく、ますます不安を覚えるばかりです。
【写真】桑野さん自宅大阪府交野市(朝日新聞・伊藤進之介氏撮影)