ポポロ通信舎

(旧・ポポロの広場)姿勢は低く、理想は高く。真理は常に少数から・・

消費税、デンマーク王国では

2010年06月28日 | 経済
民主、自民の大政党が揃って「消費税10%」を今度の参院選で掲げています。
ついこの間までは、増税は内需拡大の妨げ、デフレスパイルに、と否定的で増税せずがこれまでの公約だったのに、なんとも素早いご変更で・・

三洋電機洋友会誌「洋友」NO41(平成11年1999年)の中に興味深い記事が載っています。北海道地区の浜辺幸雄OBの「北欧旅行記」。その中で「デンマーク」のリポートがとても参考になります。

「デンマークでは、所得税50%,消費税25%。しかし教育=大学まで無料、医療=病院は国営、国民は所得に関係なく平等に医療を受けることが出来る。年金=67歳から平等に支給。女王は自ら買い物に行く(女王の自由を束縛しない)ホームレスや乞食がいない。2030年には電気エネルギーを100%環境を損なわないバイオ発電にする・・・」


10年以上前のお話ですが、税率など基本政策は最新のデンマーク事情でも変わっていません。
消費税アップに協力することは、国民の一人としてやぶさかではありません。しかし、その前提には、その税金が正しく使われるかどうか、ということです。デンマークなど北欧諸国と国民の信頼関係は絶大強固なものがあります。そのため個人で貯蓄や保険など“自己責任”を心配しなくても、自分の将来を全面的に国家・政府に託せる、という強い信頼感がベースにあります。さてわが国はいかがでしょう。私たちは国家・政府に自分の将来を全面的にお任せできますか。それだけ国家・政府を信用しきれますか。

今回の増税目的も、やがては法人税減税の補填に使われないという保証はまったくありません。
それに、国民の目から見て税徴収の公平化は、十分進んでいるとは思えません。課税対象とすべき永年無税優遇の法人が、まだまだたくさん存在します。米軍への思いやり予算なども、もうこの辺で削減、廃止を考える時期に来ています。無駄遣いが無くなり、税制が正され、なお財政不足であれば、喜んで増税に協力するというものです。

高福祉のデンマークのように、国家と国民が、しっかりとした信頼関係で結ばれて、初めて高税率が実現し有効に機能します。北欧先進諸国の高い税制部分だけをマネされたのでは、国民はたまったものではありません。もっとも徴収の簡単な消費増税を言う前に、しっかり改善すべき制度的矛盾をクリアにすること、それが本来責任ある政党の国民への「公約」となるべきものと思えてなりません。

写真=デンマーク国旗

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コメント (4)
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