ポポロ通信舎

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「三洋電機 凋落と再生」を読む

2010年03月25日 | 研究・書籍
三洋電機 凋落と再生―井植ファミリー経営の終焉
山川 猛
文理閣

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三洋電機に関する単行本、「告白」につづきもう1冊読んでみました。
「告白」は2006年、こちら「凋落と再生」はその2年後の2008年発行。

書籍のデータベースでは「無謀な投資と甘い会計ルールにより2万人の正社員をリストラした三洋電機。その失敗と再生に学ぶ経営のエッセンス」ときびしい紹介です。

まず著者、山川 猛氏の経歴に興味を持ちました。

1939年富山県生まれ。1959年住友ベークライト(株)入社。2000年同社定年退職。
2006年立命館大学大学院経営学研究科修士課程修了。
現在、京都創成大学非常勤講師。経営・技術コンサルタント。

定年後に京都大学大学院で経済理論を学びなおした三洋電機OBの中野嘉彦氏
とも似ているなと感じました。

ご両人とも、実践社会での勤労経験が豊富なだけに、事象に対してかなり
客観的な分析の眼に長けています。

1986年の東京三洋電機と三洋電機の合併の要因を、「営業部門を持たない東京三洋の無謀ともいえる拡大志向の弊害がみられるようになった」
の記述には、第三者的にはそういう見方もあるのかと、考えさせられました。

本書は経営学の金言が、随所に出てきて、現役の学生さんが読むなら
さぞかし用語解説の副読本としても役に立つな、と思いました。

2007年に解散した会計監査の名門、中央青山監査法人については、これから
公認会計士をめざす若い人達には参考となります。高い競争率の難関を突破して
晴れて合格した会計士。しかし現場は監査法人もクライアント(企業)を相手に
したサービス業の面があり、経営者の言い分と原則論の間で苦しい立場に
置かれることも、と同情しています。

終章では「たとえ『三洋商店』と揶揄されようと小さくても強い経営を期待したい・・(略)・・企業を興すのも、成長させ発展させるのも、滅ぼすのも経営者次第である」
と新経営陣に再生のエールを贈っています。

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