語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【南雲つぐみ】相撲健康体操

2017年09月21日 | 医療・保健・福祉・介護
 8月中の13日間、東京の両国国技館で「相撲健康体操」が行われていた。朝7時半、正面広場には地域の子どもたちだけでなく、遠方からの相撲ファンや観光客も集まった。指導役である新弟子の力士たちの動きに合わせて、四股など、相撲の動作を取り入れた体操に取り組んでいたそうだ。
 相撲は日本の伝統的な格闘技で、日本相撲協会の資料によれば、鎌倉時代から戦国時代にかけては武士の戦闘訓練として相撲の稽古が行われてきた。片足を高く上げ、ドシンと地面におろす四股は、足腰の筋肉を養うだけでなく、足の裏側に刺激を与え、血液循環を良くして、冷え性を和らげるのにも良いそうだ。
 相撲には神事としての側面もある。「四股を踏む」ことは土中の邪気を踏み固め、大地を鎮める動作だという。
 また、膝を開いて深く曲げ、かかとをあげた姿勢で上体をまっすぐにする「仕切りの前のポーズ」がある。この姿勢でバランスを取り、ゆっくりと深呼吸を行うことを「気鎮め」という。高ぶった気持を安定させるのだ。

□南雲つぐみ(医学ライター)「相撲健康体操 ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2017年9月16日)を引用
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【保健】尿のpHで糖尿病の発症予測 ~酸性度が高いとリスクが上昇~

2017年09月20日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)前糖尿病、いわゆる2型糖尿病の予備群は、40歳以上の日本人男性の6人に1人、女性の8人に1人だといわれている。
 かといって、職場や自治体の健診で「黄色信号」が灯った日くらいは節制しても、一晩寝ればどこ吹く風。自覚症状がないので、何か動機づけがないと続かないのだ。
 自分の血糖値を測ってもいいが、費用や採血の痛み、廃棄物の問題など少々ハードルが高い。
 ところが、簡単に動機づけできそうな方法があった。

 (2)京都府立医科大学のグループの研究から、「尿中pH」で2型糖尿病の発症を予測できる可能性が示唆されたのだ。
 同研究には、男性3,119人が参加。登録時に尿のpHを測定し、次の4グループに分けて、それぞれ5年間追跡している。
  ①pH5.0
  ②pH5.5
  ③pH6.0 
  ④pH6.5
 追跡期間中、113人が2型糖尿病を発症。①の発症数は318人中22人で発症率は6.9%だった。他方、④の発症数は579人中の15人。発症率は2.6%にとどまった。
 つまり、①は、④よりも2型糖尿病の発症リスクが2.7倍高かったのだ。②と③と比較しても、約2倍の差がついた。
 研究者は、「尿pH測定は簡単で実用的な発症予測検査になる」としている。

 (3)尿pHの検査紙はドラッグストアなどで手に入る。昔懐かしいリトマス試験紙のようなもの。往年の理科好き少年たちはぜひ試してほしい。
 最近は、尿糖・尿タンパクの検査紙もある。セルフメディケーション派には嬉しい限りだ。
 ただし、今年から始まった「セルフメディケーション税制」の控除対象からは外れているが。
 健全な成人の尿pHの基準値は、6.0~6.5の弱酸性。ちなみに、痛風予防に良いとされている尿pHは、6.0~7.0だ。2型糖尿病の予防と一緒に取り組みたい。
 尿pHは食事や身体活動の影響を受けやすく、5.0~7.5くらいまで変動幅がある。あまり厳密に考えず、「生活習慣を見直す目安」くらいの気持でどうぞ。

□井出ゆきえ(医学ライター)「尿のpHで糖尿病の発症予測/酸性度が高いとリスクが上昇 ~カラダご医見番・ライフスタイル編 No.356~」(「週刊ダイヤモンド」2017年7月8日号)
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 【参考】
【保健】ビタミンB群の過剰摂取にご注意 ~男性の肺癌発症リスクが上昇~
【保健】長距離タイムは血液型しだいか ~影響は普段の練習に匹敵~
【保健】活動格差が肥満を招く ~72万人に対する調査で判明~
【保健】認知症の発症を予防する/10代から意識すべき9因子
【保健】10代の望まない妊娠を防ぐ ~長期間効果がある避妊法を選択~
【保健】糖尿病網膜症リスクを軽減 ~26メッツ・時/週以上の運動~
【保健】ヒアリにどう対処する? ~アナフィラキシーに注意~
【保健】鬱に効くボルダリング ~悲観的な自動思考を解消~
【保健】主食をしっかり食べると公平な判断ができる
【保健】梅雨明け~お盆は熱中症の季節 ~危ない人、予防と対応法~
【保健】塩分過剰で空腹に ~高血圧どころかメタボに~
【保健】満腹より栄養素に目を向けて ~収入が低い世帯は主食頼み~
【保健】だるいときほど階段昇降を ~カフェインより効果的~
【保健】成人ADHDの予備診断 ~六つの質問でクリーニング~
【保健】“ベンゾ系薬剤”に注意 ~常用量でも薬物依存を形成~
【保健】ギャンブル依存症ってなに? ~最新の定義は「プロセス依存」~
【保健】グルテンフリー食の功罪 ~結局、2型糖尿病に?~
【保健】アジア系2型糖尿病でも全がん死リスクが上昇
【保健】「男の更年期」改善効果に疑問符 ~テストステロン補充療法~
【保健】狩猟・採集民族のチマネの人々に学ぶ ~現代的な生活は健康リスク~
【保健】玄米でカロリー消費! ~30分程度の運動に匹敵~
【保健】1日あたり0.5合程度が上限 ~認知症を予防する飲酒量~
【保健】電子たばこで禁煙補助? ~英米で見解の相違~
【保健】二つの睡眠時無呼吸症候群 ~閉塞性か中枢性かで違い~
【保健】不安やうつはがんの初期症状? ~結腸・直腸、膵臓などで関連~
【保健】赤身肉は魚や鶏肉に置き換えて ~大腸憩室炎の発症リスクを軽減~
【保健】学会監修の防災セットが限定発売 ~心臓を守るリストも~
【保健】前立腺癌の手術で優れているのは ~ダ・ヴィンチvs人の手~
【保健】サウナで認知症リスクが低下 ~本場フィンランドの報告~
【保健】ポケモンGOで運動量up! ~仲間でワイワイの効果~
【保健】「過剰診断」か「見落とし」か ~マンモグラフィー検診のリスク~
【保健】悪性腫瘍ばりの「足の狭心症」 ~運動・喫煙で早期に対応を~
【保健】ワクチンを接種し損ねても ~インフル予防に補中益気湯~
【保健】高齢者は健康な生活、他方、若い世代は生活習慣に課題
【保健】子供の感染性急性胃腸炎に ~家庭でできる経口補水療法を~
【保健】痛風発作の薬は低用量で/米国のガイドラインが推奨
【保健】社会文化的伝統は肥満のもと ~年末~春は危険だらけ~
【保健】サルコペニア肥満で糖尿病!? ~筋肉減でインスリン分泌低下~
【保健】子どもの砂糖摂取量は1日25g以下に ~肥満症対策のため清涼飲料より水~
【保健】偽薬効果は学習効果? ~慢性的な腰痛が軽減~
【保健】中高年の性行動と認知機能
【保健】揚げ物はレジリエンス(心の弾力・回復力)に悪影響?
【保健】カロリー制限か運動療法か、どちらか一つじゃダメか?
【保健】遺伝子検査で再発リスクを評価 ~乳癌、抗癌剤治療の回避も~
【保健】慢性疲労症候群に関係か ~腸内細菌叢~
【保健】脳トレに有酸素運動をプラス ~認知機能と記憶力が向上~
【保健】標準体重なのに2型糖尿病?/BMIが「1」増加しただけで
【保健】受動喫煙は確実に癌、脳・心疾患、乳幼児突然死症候群を生む
【保健】嫌な気分の時こそ、動く ~うつ病治療に行動活性化療法~
【保健】孤独リスクも欧米化する?/宴会文化が廃れた後は
【保健】茶カテキンによる肝障害でノルウェーがサプリメント含有量規制へ
【保健】学んで4時間後に運動すると記憶が定着 ~記憶術~
【保健】飲む抗癌剤で生存率改善へ ~膵臓癌の再発を抑制~
【保健】恐竜も腫瘍を患う ~癌は進化の宿命~
【保健】高血圧にはモーツァルト ~安静に寝ているより効果的~
【保健】塞栓症リスクが低いピルは?/エストロゲン量と黄体ホルモンで違い
【保健】悲しいと食べすぎる ~食べ放題は幸せなときに~
【保健】「夏の蚊対策国民運動」 ~ジカ熱対策~
【保健】2型糖尿病発症にも民族差/アジア系は「BMI23」でリスク
【保健】ジャガイモに高血圧リスク/ノンオイルでも要注意 
【保健】ADHDに「ゲーム療法」?/2製品が臨床試験へ
【保健】男性は運送業、女性は医療・介護 ~メタボになりやすい業種~
【保健】健康生活の王道は「食」 ~食事バランスガイドと死亡率~
【保健】眼底検査で何がわかるか ~眼疾患だけではない~
【保健】弾性ストッキングが効果的 ~エコノミークラス症候群対策~
【保健】マインドフルネスで腰痛改善 ~認知行動療法と同じ効果~
【保健】歯磨きが心血管疾患を予防 ~毎食後で発症リスクを軽減~
【保健】ガン=生存時代の就労支援 ~治療と仕事の両立に指針~
【保健】糖尿病患者の降圧目標値 ~140mmHgでよい?~
【保健】睡眠不足でスナック菓子を渇望、体重増加 ~大麻並みの快楽
【保健】コーラ1缶で薬の吸収率がアップ ~抗癌剤の薬効~
【保健】その一言で妻の2型糖尿病リスクが減少 ~「先に寝ていて」~
【保健】先進国では認知症が減少? ~予防の鍵は生活習慣の改善~
【保健】生活設計は長期戦か短期決戦か ~癌の臓器別・病期別生存率~
【保健】イチゴとオレンジはEDに効く ~米国の研究報告~
【保健】高齢者の服薬適正化にGL ~容易な多剤併用に警鐘~
【保健】朝食抜きに脳卒中リスク 阪大など調査 大規模調査で1.18倍高
【保健】下剤は脳・心血管疾患リスク> ~背景にストレスや運動不足~
【保健】高脂肪食でシナプスが消失? ~動物実験~
【保健】2型糖尿病とフライド・ポテトとの関係 ~ポテトは煮物で~
【保健】世帯の所得と健康リスクの関係 ~食習慣と飲酒習慣~
【保健】抗がん剤の価格差は最大4倍以上 ~WHOの調査~
【保健】より危険な睡眠時無呼吸 ~脳・心疾患のリスク増~
【保健】初日の出の心身的効果 ~鬱対策は光を浴びて~
【保健】日本人肥満男性の食事と運動 ~糖尿病予防~
【保健】適性な「降圧目標値」 ~120未満で関連疾患が3割低下~
【保健】自由な裁量権でスリムに ~ストレスでメタボ~
【保健】目の老化には赤と緑と橙色 ~加齢黄斑変性症の予防~
【保健】早期発見のためにエコーと併用 ~乳がん検診~
【保健】骨折予防はカルシウムのほかに・・・・
【保健】前糖尿病患者は食習慣の改善を ~全国糖尿病週間~
【保健】糖質制限より脂質制限? ~体脂肪を減らす~
【保健】受動喫煙が歯周病リスクに ~ただし男性のみ~
【保健】貧乏ゆすりが命を救う? ~マナーより健康~
【保健】「高収入の勝ち組」の健康リスク? ~50歳以上の有害な飲酒~
【保健】照明用白色LEDのブルーライトは安全か?
【保健】目の愛護デー ~緑内障による失明を予防~
【保健】長時間労働は脳卒中リスク ~週41~48時間でも上昇~
【保健】ほぼ毎日食べると、死亡リスクが14%減少 ~唐辛子~
【保健】水族館でリラックス効果 ~血圧・心拍数に好影響~

【南雲つぐみ】獺祭忌 ~子規生誕150年~

2017年09月19日 | 医療・保健・福祉・介護
 カワウソは自分の取った魚を岩の上に並べ、前足で押さえながら食べる習性がある。この様子が、人間がお地蔵さんやお墓の前に供物を並べてご先祖さまを拝む姿に似ていることから獺祭(だっさい)と呼ぶのだそうだ。
 転じて、作家が執筆中に自分の周囲に本や原稿を広げておくことから、書斎のことも獺祭という。明治期の俳人、正岡子規は「獺祭書屋俳話」という俳句解説書を書いている。
 9月19日は子規の命日で「獺祭忌」、または辞世の句に「糸瓜(へちま)」を詠んだので「糸瓜忌」とも呼ばれている。今年は子規の生誕150年にあたる。くしくも先月、子規の未発表の俳句や自画像などが収められた「歳旦帳」が発見されたと報じられた。これは子規が亡くなる前年の1901(明治34)年の正月、年始のあいさつに訪れた客の芳名録のようなもので、弟子の河東碧梧桐(かわひがしへきごどう)らの署名のほか、子規自身も俳句や絵を書き込んでいた。今月30日まで、東京・台東区の子規庵で展示されている。

□南雲つぐみ(医学ライター)「獺祭忌 ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2017年9月19日)を引用
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【保健】ビタミンB群の過剰摂取にご注意 ~男性の肺癌発症リスクが上昇~

2017年09月19日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)先日、ビタミンB群サプリメントの長期服用で、男性の肺癌リスクが上昇するとの報告があった【米国の「ビタミンとライフスタイル研究(VITAL研究)」】。

 (2)VITAL研究は米ワシントン州在住のサプリの愛用者、およそ77,000人を対象とした調査。サプリ摂取と癌との関連を検討している。登録時年齢は50~76歳、男女比はほぼ1対1だった。
 これまで、魚油サプリが乳癌の発症リスクを抑制することなどを明らかにしている。今回は、肺癌を発症した808人について解析した。
 その結果判明したのは、
  (a)過去10年間に男性は、
   ①ビタミンB6を1日平均20mg以上摂取・・・・非摂取者に比べ肺癌発症リスクが1.8倍に上昇。
   ②ビタミンB12を1日平均50マイクログラム超摂取・・・・発症リスクが倍増。
   ③喫煙者・・・・ビタミンB6とB12の過剰摂取が「上乗せリスク」になるようで、同じ摂取量でもB6摂取者の発症リスクは約3倍、B12では3.7倍に上昇している。
  (b)女性では、ビタミンB群摂取と肺癌発症との関連は認められなかった。研究者はビタミンB群の過剰摂取は肺癌抑制につながらず、特に男性の喫煙者は害が勝るようだとしている。

 (3)葉酸(B9)やB6、B12などビタミンB群のサプリと発癌リスクについては、相反する報告が複数あり「善悪」の決着はいまだについていない。
 ただ、ここ数年の研究をみる限り、サプリを飲み始める時期にすでに「癌のタネ」が潜んでいると、代謝を促進するビタミンB群の過剰作用で癌抑制系の遺伝子に異常が生じると考えられている。
 要は「身体に良い作用」でも、食事で摂取する量を遙かに超えると有害作用に転じてしまうのだ。
 同研究の参加者の9割は白人種で、結果を日本人に一律に当てはめるわけにはいかないが、何事によらず過剰は禁物だ。
 日本人の食事摂取基準によると、成人男性のB6摂取推奨量は1日1.4mg。上限量は50~60mg。B12の推奨量は2.4マイクログラムだ。サプリ愛好者は成分表示を確認しよう。

□井出ゆきえ(医学ライター)「ビタミンB群の過剰摂取にご注意/男性の肺癌発症リスクが上昇 ~カラダご医見番・ライフスタイル編 No.366~」(「週刊ダイヤモンド」2017年9月23日号)
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 【参考】
【保健】長距離タイムは血液型しだいか ~影響は普段の練習に匹敵~
【保健】活動格差が肥満を招く ~72万人に対する調査で判明~
【保健】認知症の発症を予防する/10代から意識すべき9因子
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【保健】アジア系2型糖尿病でも全がん死リスクが上昇
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【保健】抗がん剤の価格差は最大4倍以上 ~WHOの調査~
【保健】より危険な睡眠時無呼吸 ~脳・心疾患のリスク増~
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【保健】適性な「降圧目標値」 ~120未満で関連疾患が3割低下~
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【保健】受動喫煙が歯周病リスクに ~ただし男性のみ~
【保健】貧乏ゆすりが命を救う? ~マナーより健康~
【保健】「高収入の勝ち組」の健康リスク? ~50歳以上の有害な飲酒~
【保健】照明用白色LEDのブルーライトは安全か?
【保健】目の愛護デー ~緑内障による失明を予防~
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【保健】ほぼ毎日食べると、死亡リスクが14%減少 ~唐辛子~
【保健】水族館でリラックス効果 ~血圧・心拍数に好影響~


【佐藤優】社会に活力をもたらす政策、具体的生活の上に立つ民族国家、開発至上主義が破壊する永久凍土の生態系

2017年09月18日 | ●佐藤優
 ①湯浅誠『「なんとかする」子どもの貧困』(角川新書 800円)
 ②福島利之『クルド人 国なき民族の年代記』(岩波書店 2,200円)
 ③マーティン・F・プライス(渡辺俤二、上野健一・訳)『山岳』(丸善出版 1,000円)

 (1)①の特徴は、観念論を排し、現実的に思考し、実効性のある提案をしているところだ。湯浅氏は、格差を全面的に否定しているのではない。
 <個人レベルでは、ある程度の格差は努力の源泉になる。「自分だって、やってやる」と。しかし、過度になると「あきらめ」「絶望」が生まれ始める。「どうせ無理」「やってもムダ」と。その怖さはみんなが知っている。だから繰り返し言う。「夢や希望をもてるように」と。社会レベルでは、ある程度の格差はイノベーションの源泉になる。「より多くの教育投資」「他社よりよいサービス」「さらに便利な商品」・・・・。しかし、ある程度を超えると「排除」が生まれ始める。進学できない、健康被害、社会的孤立、自殺、「誰でもよかった殺人」・・・・。これは社会の活力をそぐ>
 日本社会の活力を強化するためにも、子どもの貧困対策に今すぐ取り組まなくてはならない。

 (2)②から、新聞記者としての著者の良心と人間的共感力の強さが伝わってくる。本書は、クルド人の作家フセイン・アーリフとその息子のマツダの生き方を中心に、クルド人が抱えている問題を浮き彫りにしている。2006年まで「クルド人愛国同盟」の活動家だったマツダの回想が興味深い。
 <青年期、PUKで情熱を傾けていたクルド人の国家の樹立には、どう携わっていくつもりなのか。「もちろんクルド人国家は必要だし、その日を夢見ている。しかし今、国際社会の現実を見た時、容易にクルド人の国家の樹立ができるとは私には思えない。クルド自治区の独立を米国は容認しないだろうし、トルコ、イランは武力を使って邪魔をしてくるだろう。国家樹立に携わるのは男のロマンだが、それに自分の人生をささげるのは、私はごめんだ」>
 人々の具体的生活から遊離したロマンでは民族国家を形成することはできない、という現実がこの言葉に凝縮されている。

 (3)③に、次のような指摘がある。
 <もう一つの課題として、永久凍土(土壌や基盤岩などが年間を通して凍結している状態)の融解があげられます。これは、特に高山および山岳の氷雪帯で見られ、一般に季節に応じて凍結と融解が生じる活動層の下で発生します。気候が温暖化し、積雪が薄く融解が早くなれば、活動層はより厚くなるでしょう>
 ロシアは地球温暖化により永久凍土が融解していることを資源開発が容易になった・・・・と歓迎しているが、このような開発至上主義が生態系を破壊し、危機を招く可能性がある。

□佐藤優「社会に活力をもたらす政策 ~知を磨く読書 第215回~」(「週刊ダイヤモンド」2017年9月23日号)
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 【参考】
【佐藤優】日本のフリーメイソン陰謀論、ユニークな働き方改革、自衛隊元陸将によるリーダーシップ論
【佐藤優】ハプスブルク帝国史の「もし」、最新の進化論、神童の軌跡
【佐藤優】知識を本当に身に付けるには、テロ戦争におけるドローンの重要な役割、帰宅恐怖症
【佐藤優】北朝鮮との緊張の高まりに対して必要な姿勢、時間管理と量子力学、時間がかかるのは損
【佐藤優】川喜田二郎『発想法』 ~総合的思考と英国経験論哲学~
【佐藤優】日本の思想状況の貧しさ、頑丈にできている戦闘機、東方正教会に関する概説書
【佐藤優】資本主義の根底にある「勤勉さ」という美徳の淵源 ~『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』~
【佐藤優】手ごわいフェイクニュース、国を動かす政治エリートの意志、欧州内部における紛争
【佐藤優】×奥野長衛『JAに何ができるのか』
【佐藤優】『戦争論』をビジネスに活かす、現実社会の悪と闘う、ロシア人の意識と使命感
【佐藤優】面白い数学啓発書、日本人の思考の鋳型、攻める農業への転換
【佐藤優】総合的思考と英国経験論哲学(2) ~川喜田二郎『発想法』~
【佐藤優】総合的思考と英国経験論哲学 ~川喜田二郎『発想法』~
【佐藤優】保守論客が見た明治憲法、軍事産業にシフトしていく電機メーカー、安全と安心を強化する過程に入り込む犯罪者
【佐藤優】就活におけるネット社会の落とし穴、裁判官の資質、象徴天皇制と生前退位問題
【佐藤優】痛みを無視しない、前大戦で「前線」と「銃後」の区別がなくなった、情報を扱う仕事の最大の武器
【佐藤優】海上権力を維持するために必要な要素 ~イギリスの興亡の歴史を通して~
【佐藤優】女性の貧困を追跡したノンフィクション、師弟関係こそ教育の神髄、イランは国際基準から逸脱した国
【佐藤優】2000年の時を経て今なお変わらないインテリジェンスの「真髄」 ~孫子~
【佐藤優】財政から読みとく日本社会、ラジオの魅力、高校レベルの基礎の大切さ
【佐藤優】嫌韓本と一線を画す韓国ルポ、セカンドパートナーの実態、日本人の死生観
【佐藤優】人間にとって「影」とは何か ~シャミッソー『影をなくした男』~
【佐藤優】文部省の歴史と現状、経済実務家のロシア情勢分析、中国の対日観
【佐藤優】学習効果が上がる「入門書」、応用地政学で見る日本、権力による輿論のコントロールを脱構築
【佐藤優】大川周明『復興亜細亜の諸問題』 ~イスラーム世界のルール~
【佐藤優】女性と話すのが怖くなる本、ネット情報から真実をつかみ取る技法、ソ連とロシアに共通する民族問題
【佐藤優】ヨーロッパ宗教改革の本質、相手にわかるように説明するトレーニング、ロシア・エリートの欧米観
【佐藤優】なぜ神父は独身で牧師は結婚できるのか? 500周年の「革命」を知る ~マルティン・ルター『キリスト者の自由』~
【佐藤優】政界汚職を描いた古典 ~石川達三『金環蝕』~
【佐藤優】生きた経済の教科書、バチカンというインテリジェンス機関、正しかった「型」の教育
【佐藤優】誰かを袋だたきにしたい欲望、正統派の書評家・武田鉄矢、追い込まれつつある正社員
【佐藤優】発達障害とどう向き合うか、アドルノ哲学の知的刺激、インターネットと「情報犯罪」
【佐藤優】後醍醐天皇の力の源 「異形の輩」とは--日本の暗部を突く思考
【佐藤優】実用的な会話術、ユーラシア地域の通史、宇宙ロケットを生んだ珍妙な思想
【佐藤優】キブ・アンド・テイクが成功の秘訣、キリスト教文化圏の悪と悪魔、理系・文系の区別を捨てよ
【佐藤優】企業インテリジェンス小説 ~梶山季之『黒の試走車』~
【佐藤優】中東複合危機、金正恩の行動を読み解く鍵、「型破り」は「型」を踏まえて
【佐藤優】後世に名を残す村上春樹新作、気象災害対策の基本書、神学の処世術的応用
【佐藤優】地学の魅力、自分の頭で徹底的に考える、高等教育と短期の利潤追求
【佐藤優】日本人の特徴的な行動 ~日本礼賛ではない『ジャパン・アズ・ナンバーワン』~
【佐藤優】知を扱う基本的技法、ソ連人はあまり読まなかった『資本論』、自由に耐えるたくましさ
【佐藤優】後知恵上手が出世する? ~ビジネスに役立つ「哲学の巨人」読解法~
【佐藤優】トランプ政権の安保政策、「生きた言葉」という虚妄、キリスト教の開祖パウロ
【佐藤優】「暴君」のような上司のホンネとは? ~メロスのビジネス心理学~
【佐藤優】物まね芸人とスパイの共通点、新版太平記の完成、対戦型AIの原理
【佐藤優】トランプ側近が考える「恐怖のシナリオ」 ~日本も敵になる?~
【佐藤優】弱まる日本社会の知力、実践的ディベート術、受けるより与えるほうが幸い
【佐藤優】トランプの「会話力」を知る ~ワシントンポスト取材班『トランプ』~
【佐藤優】「不可能の可能性」に挑む、言語の果たす役割の大きさ、NYタイムズ紙コラムニストの人生論
【佐藤優】人生は実家の収入ですべて決まる? ~「下流」を脱する方法~
【佐藤優】ソ連崩壊後の労働者福祉軽視、現代も強い力を持つ観念論、孤独死予備軍と宗教
【佐藤優】米国のキリスト教的価値観、サイバー戦争論、日本会議
【佐藤優】『失敗の本質』/日本型組織の長所と短所
【佐藤優】世界を知る「最重要書物」 ~クラウゼヴィッツ『戦争論』~
【佐藤優】現代ロシアに関する教科書、ネコ問題はヒト問題、トランプ氏の顧問が見る中国
【佐藤優】日本には「物語の復権」が必要である ~反知性主義批判~
【佐藤優】サイコパス、新訳で甦る千年前の魂、長寿化に伴うライフスタイルの変化
【佐藤優】イラクの地政学、誠実なヒューマニスト、全ての人が受益者となる社会の構築
【佐藤優】外交に決定的に重要なタイミング、他人の気持ちになって考える力、科学と職人芸が融合した食品
【佐藤優】『ゼロからわかるキリスト教』の著者インタビュー ~「神」を論じる不可能に挑む~
【佐藤優】組織の非情さが骨身に沁みる ~新田次郎『八甲田山死の彷徨』~
【佐藤優】プーチン政権の本質、2017年の論点、ロシアと欧州
【佐藤優】国際人になるための教科書、ストレスが人間を強くする、日本に易姓革命はない
【佐藤優】ロシアでも愛された知識人の必読書 ~安部公房『砂の女』~
【佐藤優】トランプ当選予言の根拠、猫の絵本の哲学、人間関係で認知症を予防
【佐藤優】モンロー主義とトランプ次期大統領、官僚は二流の社会学者、プロのスパイの手口
【佐藤優】トランプを包括的に扱う好著、現代日本外交史、独自の民間外交
【佐藤優】デモや抗議活動のサブカルチャー化、グローバル化に対する反発を日露が共有、グローバル化に対する反発が国家機能を強化
【佐藤優】国際社会で日本が生き抜く条件、ルネサンスを準備したもの、理系情報の伝え方
【佐藤優】人生を豊かにする本、猫も人もカロリー過剰、度外れなロシア的天性
【佐藤優】テロリズム思想の変遷を学ぶ ~沢木耕太郎『テロルの決算』~
【佐藤優】住所格差と人生格差、人材育成で企業復活、教科書レベルの知識が必要
【佐藤優】数学嫌いのための数学入門、西欧的思考にわかりやすい浄土思想解釈、非共産主義的なロシア帝国
【佐藤優】ウラジオストク日本人居留民、辺野古移設反対を掲げる公明党沖縄県本部、偶然歴史に登場した労働力の商品化
【佐藤優】「21世紀の優生学」の危険、闇金ウシジマくんvs.ホリエモン、仔猫の救い方
【佐藤優】大学にも外務省にもいる「サンカク人間」 ~『文学部唯野教授』~
【佐藤優】訳・解説『貧乏物語 現代語訳』の目次
【佐藤優】「イスラム国」をつくった米大統領、強制収容所文学、「空気」による支配を脱構築
【佐藤優】トランプの対外観、米国のインターネット戦略、中国流の華夷秩序
【佐藤優】元モサド長官回想録、舌禍の原因、灘高生との対話
【佐藤優】孤立主義の米国外交、少子化対策における産まない自由、健康食品のウソ・ホント
【佐藤優】アフリカを収奪する中国、二種類の組織者、日本的ナルシシズムの成熟
【佐藤優】キリスト教徒として読む資本論 ~宇野弘蔵『経済原論』~
【佐藤優】未来の選択肢二つ、優れた文章作法の指南書、人間が変化させた生態系
【佐藤優】+宮家邦彦 世界史の大転換/常識が通じない時代の読み方
【佐藤優】人びとの認識を操作する法 ~ゴルバチョフに会いに行く~
【佐藤優】ハイブリッド外交官の仕事術、トランプ現象は大衆の反逆、戦争を選んだ日本人
【佐藤優】ペリー来航で草の根レベルの交流、沖縄差別の横行、美味なソースの秘密
【佐藤優】原油暴落の謎解き、沖縄を代表する詩人、安倍晋三のリアリズム
【佐藤優】18歳からの格差論、大川周明の洞察、米国の影響力低下
【佐藤優】天皇制を作った後醍醐、天皇制と無縁な沖縄 ~網野善彦『異形の王権』~
【佐藤優】新しい帝国主義時代、地図の「四色問題」、ベストセラー候補の研究書
【佐藤優】ねこはすごい、アゼルバイジャン、クンデラの官僚を描く小説
【佐藤優】外交官の論理力、安倍政権と共産党、研究不正が起きるシステム
【佐藤優】遅読家のための読書術、電気の構造、本屋大賞
【佐藤優】外山滋比古/思考の整理学
【佐藤優】何が個性で、何が障害か
【佐藤優】大宅壮一ノンフィクション賞選評 ~『原爆供養塔』ほか~
【佐藤優】英才教育という神話
【佐藤優】資本主義の内在的論理
【佐藤優】米国の戦略策定、『資本論』をめぐる知的格闘、格差・貧困問題の起源
【佐藤優】偉くない「私」が一番自由、備中高梁の新島襄、コーヒーの科学
【佐藤優】フードバンク活動、内外情勢分析、正真正銘の「地方創生」
佐藤優】日本の政治エリートと「天佑」、宇宙の生命体、10代が読むべき本
【佐藤優】組織成功の鍵となる人事、ユダヤ人の歴史、リーダーシップ論
【佐藤優】第三次世界大戦の可能性、現代東欧文学、世界連鎖暴落
【佐藤優】司馬遼太郎の語られざる本音、深層対話、米政府による暗殺
【佐藤優】著名神学者のもう一つの顔 ~パウル・ティリヒ~
【佐藤優】総理が靖国参拝する理由、NPO活動の哲学やノウハウ、テロ対策の必読書
【佐藤優】今後、起こりうる財政破綻 ~対応策を学ぶ~
【佐藤優】社会の価値観、退行する社会
【佐藤優】夫婦の微妙な関係、安倍政権の内在的論理、警察捜査の正体
【佐藤優】情緒ではなく合理と実証で ~社会の再構築~
【佐藤優】中曽根康弘、21世紀の資本主義分析、北樺太の石油開発
【佐藤優】日本人の思考の鋳型、死刑問題、キリスト教と政治
【佐藤優】中国株式市場の怪しさ、イノベーションの障害、ホラー映画の心理学
【佐藤優】普天間基地移設問題の本質、外務省犯罪黒書、老後に快走!
【佐藤優】シリア難民が日本へ ~ハナ・アーレント『全体主義の起源』~
 


【本】テイラー・J・マッツェオ『歴史の証人 ホテル・リッツ』

2017年09月17日 | 歴史
★ティラー・J・マッツェオ(羽田詩津子・訳)『歴史の証人 ホテル・リッツ  ~生と死、そして裏切り~』(東京創元社 2,500円)

 (1)1997年8月31日の夜中、ダイアナ元英国皇太子妃はパリで交通事故死した。そのわずか数分前、彼女と恋人のドディ・アルファイドは世界屈指の高級ホテル、リッツの裏玄関を出たばかりだった。
 ダイアナ妃だけではない。チャーチル元英国首相やナチスドイツのゲーリング元帥などの政治家、ヘミングウェイやプルーストなどの文人、また女優のディートリヒ、デザイナーのシャネルに至るまで、この由緒あるホテルを定宿にした名士は枚挙にいとまがない。
 つまり、リッツの歴史は世界史と共にあった。

 (2)スイス人のセザール・リッツがホテルを開業したのは1898年。ドレフュス事件が過熱し、数多くの文人や知識人がリッツのバーで侃々諤々の論争を繰り広げた年であった。
 本書の中核を成すのは、第2次世界大戦中からパリ解放までの時期についてだ。著者は、各国の史料や機密文書を蒐集して、これを詳述する。
 この時代、リッツで、ナチス高官の晩餐会が開かれ、階上でスターが不倫に明け暮れ、バーでレジスタンスが戦略を練った。ナチスに占領されたパリでは、創業者の母国スイスと同様、豪奢であることが中立を守るための手段だった。防空壕にはエルメス製の寝袋が用意されていた、という。

 (3)パリ解放(1944年)を目前に、従軍記者だったヘミングウェイや戦場カメラマンのキャパは一目散にリッツを目指した。
 パリが解放され、戦後になって社会がより平等なものになるにつれ、リッツの名声や威光は衰退していった。皮肉なことに。

 (4)確かに、戦後期でも英ウィンザー公とその愛人のシンプソン夫人の愛の巣(また夫人の若い愛人との逢引の場も兼ねていた)になるなど、その名は知られていた。しかし、かつてのようにシーズン通しで予約を入れ、部屋を自由に改装することが許されるような大富豪は減り、敵か味方か判然としなくて戦争もない世界で、リッツが果たすべき役割と背負う期待は大きく変わっていった。創業者の息子シャルルが、ドディの父モハメド・アルファイドにホテルを売却したのは1979年のことだ。

 (5)読者は、読み進むにつれて、リッツの廊下で囁かれてきた数多くの歴史的ゴシップに耳を澄ます誘惑にかられるに違いない。
 そして、ホテル内のかの有名な「ヘミングウェイ・バー」でカクテルを飲み、本を抱えてリッツの大きな真鍮製のベッドにもぐり込めば、そのまま歴史に抱かれることになろう。

□吉田徹(北海道大学大学院法学研究科教授)「歴史的なエピソードが満載/名門ホテルに見る栄枯盛衰 」(「週刊ダイヤモンド」2017年9月9日号)
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【佐藤優】日本のフリーメイソン陰謀論、ユニークな働き方改革、自衛隊元陸将によるリーダーシップ論

2017年09月15日 | ●佐藤優
 ①橋爪大三郎『フリーメイソン』(小学館新書 840円)
 ②田中健彦著『6時だよ 全員退社!』(日本経済新聞社 1,600円)
 ③松村五郎著『自衛隊 最前線の現場に学ぶ 最強のリーダーシップ』(WAVE出版 1,600円)

 (1)①は、この秘密組織の歴史と現状を客観的にまとめている。橋爪氏は次のように指摘する。
 <冷戦が終わったあと、イスラム過激派が、陰謀の主役にとって代わった。それでもフリーメイソンの陰謀論は、やはり伏流している。
 フリーメイソン陰謀論、ユダヤ陰謀論のたぐいの書籍が、堂々と売られているのは、日本ぐらいかもしれない。
 陰謀集団を警戒し摘発する主体は、いつの時代も、諜報機関である。諜報機関自身が、陰謀集団なのである。イエズス会がフリーメイソンを目の敵にしたのも、相手に自分の似姿をみたから。ナチスも、イタリアやスペインの独裁政権も、ソ連の共産党政権も、フリーメイソンを弾圧し、根絶やしにした。それは、フリーメイソンが、理性にもとづき、信仰の自由を保障し、言論の自由を重視しているからである>
 フリーメイソンに対する陰謀論を展開する背後に、諜報機関の影がある。また、日本でフリーメイソン陰謀論の書籍が堂々と売られていることと、韓国、中国、沖縄に対するヘイト本の流行は、日本社会の不安を反映した現象だろう。

 (2)②は、元富士通幹部によるユニークな働き方改革の書だ。
 <課長、部長であるあなたは、部下を評価するときも、期待値をどれだけ上回ったのかを見ているはずです。「あいつ、面白いことをやりやがったな」と、あなたを唸らせたときに、A評価をつけているはずです。そしてあなた自身の成績も、やはり期待値に対して、どれだけのプラスを生み出したかで決まってきます。
 ただ忙しく働くだけでは、決して評価は上がりません。そういう作業はなるべく短く終わらせてしまい、あるいは、外部にアウトソースしてしまい、もっと期待を打ち破るようなことに考えを巡らせることが上級幹部の座をねらうあなたの仕事なのです>
 この指摘は正しい。優れた上司は、ただ忙しく働く部下を評価しない。

 (3)③は、陸上自衛隊東北方面総監を務めた元陸将による優れたリーダーシップ論だ。
 <リーダーがチームのメンバーに対し、そのチームの仕事が自分たちだけのためではなく、「利他」という観点から大きな意義を持っていることを自覚させることができた時、メンバー一人一人が自分の仕事にやり甲斐と充実感を得つつ、良い仕事ができるようになるのです>
 この指摘は重い。机上の空論ではなく、自衛隊のイラク派遣、東日本大震災での活動などの実践に裏付けられている本書の内容には強い説得力と実用性がある。管理職にとっての必読書だ。

□佐藤優「日本のフリーメイソン陰謀論 ~知を磨く読書 第214回~」(「週刊ダイヤモンド」2017年9月16日号)
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 【参考】
【佐藤優】ハプスブルク帝国史の「もし」、最新の進化論、神童の軌跡
【佐藤優】知識を本当に身に付けるには、テロ戦争におけるドローンの重要な役割、帰宅恐怖症
【佐藤優】北朝鮮との緊張の高まりに対して必要な姿勢、時間管理と量子力学、時間がかかるのは損
【佐藤優】川喜田二郎『発想法』 ~総合的思考と英国経験論哲学~
【佐藤優】日本の思想状況の貧しさ、頑丈にできている戦闘機、東方正教会に関する概説書
【佐藤優】資本主義の根底にある「勤勉さ」という美徳の淵源 ~『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』~
【佐藤優】手ごわいフェイクニュース、国を動かす政治エリートの意志、欧州内部における紛争
【佐藤優】×奥野長衛『JAに何ができるのか』
【佐藤優】『戦争論』をビジネスに活かす、現実社会の悪と闘う、ロシア人の意識と使命感
【佐藤優】面白い数学啓発書、日本人の思考の鋳型、攻める農業への転換
【佐藤優】総合的思考と英国経験論哲学(2) ~川喜田二郎『発想法』~
【佐藤優】総合的思考と英国経験論哲学 ~川喜田二郎『発想法』~
【佐藤優】保守論客が見た明治憲法、軍事産業にシフトしていく電機メーカー、安全と安心を強化する過程に入り込む犯罪者
【佐藤優】就活におけるネット社会の落とし穴、裁判官の資質、象徴天皇制と生前退位問題
【佐藤優】痛みを無視しない、前大戦で「前線」と「銃後」の区別がなくなった、情報を扱う仕事の最大の武器
【佐藤優】海上権力を維持するために必要な要素 ~イギリスの興亡の歴史を通して~
【佐藤優】女性の貧困を追跡したノンフィクション、師弟関係こそ教育の神髄、イランは国際基準から逸脱した国
【佐藤優】2000年の時を経て今なお変わらないインテリジェンスの「真髄」 ~孫子~
【佐藤優】財政から読みとく日本社会、ラジオの魅力、高校レベルの基礎の大切さ
【佐藤優】嫌韓本と一線を画す韓国ルポ、セカンドパートナーの実態、日本人の死生観
【佐藤優】人間にとって「影」とは何か ~シャミッソー『影をなくした男』~
【佐藤優】文部省の歴史と現状、経済実務家のロシア情勢分析、中国の対日観
【佐藤優】学習効果が上がる「入門書」、応用地政学で見る日本、権力による輿論のコントロールを脱構築
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【佐藤優】米国の戦略策定、『資本論』をめぐる知的格闘、格差・貧困問題の起源
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【佐藤優】普天間基地移設問題の本質、外務省犯罪黒書、老後に快走!
【佐藤優】シリア難民が日本へ ~ハナ・アーレント『全体主義の起源』~

【欧州】身近で頻発するテロで苦境に陥る欧州の観光業 ~ISが戦術を転換~

2017年09月14日 | 社会
 (1)欧州では2015年から、意図的に一般市民を巻き込むテロが多発し、観光客の足が遠のく懸念が増している。
 2015年の観光客数は前年比5%増えたが、テロが多発した2016年は2%増にとどまった。
 今回のバルセロナのテロで、今後マイナスに落ち込む可能性もある。

 (2)フランス・・・・
 観光客が最も多い国で、2015年は8,400万人もの人が訪れた。
 しかし2015年11月、パリ同時多発テロ事件が発生(犠牲者130人)。
 2016年7月、「イスラム国」(IS)がニースで花火の見物をしていた人々の列にトラックで突っ込み、84人が死亡した。
 この事件後、ニースのホテル予約は10%以上落ち込んだ【宿泊斡旋業者のエクスペディア】。

 (3)チュニジア、エジプト、トルコ・・・・
  (a)チュニジア・・・・ISの標的にされている欧州の国々に代わる観光地として注目されていたのが、地中海に面しているチュニジア、エジプト、トルコの3国だった。しかし2015年3月の博物館襲撃テロ(犠牲者22人、うち3人は日本人)、そのたった3カ月後に起こったリゾート地での連続テロにより、チュニジアの人気は途絶えた。2016年の観光収入は連続テロ前の2014年に比べると34.1%も減少した。
  (b)エジプト・・・・宗教間の対立をもくろむISが、キリスト教を標的としたテロを相次ぎ実行している。2010年には観光で2兆3,000億円も稼いでいたのだが、2015年にはその半分に落ち込んだ。
  (c)トルコ・・・・昔からくすぶっているクルド問題やテロに加え、エルドアン大統領の独裁に対する懸念が高まり、欧州の観光客はそっぽを向いている。

 (4)これら3国を代替できる条件を備えたのがバルセロナだ。地中海に面し、文化的水準が高く、洗練されたバルセロナは、2015年に「永遠の都」ローマを抜き、ロンドンとパリに次ぐ観光都市となった。昨年の観光客数は9.2%も増え、観光業は約50万人の雇用を創出している。製造業やファッション関連とともに経済の大黒柱だ。
 観光客の急増で、居住場所の減少、治安悪化、景観の俗化、買い物の不便(地元民のスーパーなどが店を閉じて観光客向けの店に替わる)など、地元民との摩擦もあった。他方、GDPの16%を担う観光業の発展により、スペインは南欧金融危機からいち早く立ち直り、一番多くの職を供給していた。
 しかし今回のテロで風向きは変わるだろう。

 (5)自然災害の影響の方がテロよりも長引くのがこの業界の常識だが、これだけテロが頻繁に、しかも身近で起きると話は違ってくる。
 米国同時多発テロのような大掛かりな爆破テロは準備に手間がかかる。だからISは、バス・乗用車で通行人を轢いたり、ナイフで切り付けたりするような、「専門性」を必要としないけれども警察による制止が困難なテロに切り替えつつある。
 また最近は「ソフト・ターゲット」(防御のできない一般人)を標的にしている。ISは戦場では追い詰められ、地盤がなくなりつつあるため、主戦場以外での活動を活発化するためにこのような戦術の変更を行っている。
 このISの戦術転換は、欧州経済に大きな痛手を与えるだろう。テロには決して屈しない姿勢を持つ英国市民でさえ、観光スポット選択の第一条件として97%が「安全」を挙げているのだ。

□竹下誠二郎(静岡県立大学経営情報学部教授)「ISが戦術を転換/身近で頻発するテロで苦境に陥る欧州の観光業」(「週刊ダイヤモンド」2017年9月9日号)
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【保健】長距離タイムは血液型しだいか ~影響は普段の練習に匹敵~

2017年09月14日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)血液型と性格、病気等々、ABO式血液型の話題は尽きない。
 イタリア・ヴェローナ大学の研究によると、O型は天性のマラソンランナーらしい。
 この研究は、同大学の生物医学教室が主催するランニングと科学のイベント、「R4S(ラン・フォー・サイエンス)」で実施された。週平均4.5時間の持久運動を行っている白人52人(平均年齢49歳、平均体格指数(BMI)23.4)のR4Sボランティアが参加し、ハーフマラソンの距離にあたる21.1kmの走行タイムと血液型との関連が調べられた。

 (2)イベント当日、参加者は午前9時に一斉にスタート。天候は曇り、スタート時の気温は14度、湿度は50~73%。最終的には参加者全員が無事にゴールし、平均タイムは1時間52分だった。2時間を切れば上出来というのが市民ハーフマラソンで、アマチュアでも平均以上~上級レベルのランナーといえる。
 ゴール後、事前の調査に基づき普段の練習と年齢、BMI、そして血液型との関連が分析された。
 その結果、走行タイムはやはり普段の練習や年齢と有意に関連していた。
 しかし、BMIの高低とタイムとの間には関連が認められなかった。
 一方、血液型は他の要因から独立して関連することがわかった。特に、O型は好タイムと強く関連することが示された。

 (3)研究者によると、ハーフマラソンの成績は次の要因が関係する。
   ①年齢しだい・・・・41.6%
   ②練習量や内容の影響・・・・10.5%
   ③血液型・・・・10.1%
 つまり、血液型は練習なみに重要だというわけだ。
 ちなみに日本を代表するマラソン選手では、高橋尚子氏、野口みずき氏、瀬古利彦氏、藤原新氏がO型だ。

□井出ゆきえ(医学ライター)「長距離タイムは血液型しだい?/影響は普段の練習に匹敵 ~カラダご医見番・ライフスタイル編 No.365~」(「週刊ダイヤモンド」2017年9月16日号)
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【南雲つぐみ】平均寿命 ~現代、明治時代、縄文時代~

2017年09月14日 | 医療・保健・福祉・介護
 さきごろ2016年の日本人の平均寿命が厚生労働省から発表された。男性が80.98歳。女性が87.14歳で、男女とも香港に次ぐ世界第2位の長寿国となった。
 明治期には、現在のほぼ半分。同省が公開する「完全生命表」には、男性42.80歳、女性44.30歳(1891~98年)と記されている。
 当時も70~80歳あたりまで生きた人はいたはずだ。乳幼児の死亡率が高かったことや、戦争や疫病で多くの人が若くして亡くなったことが、平均寿命に影響している。
 さらにさかのぼって、縄文時代ではどうか。当時の遺跡から発掘した頭蓋骨の状態や歯のすり減り具合から、10~20代で多くの人が亡くなっていたという推定がある。
 国立社会保障・人口問題研究所が公表している「将来推計人口」では、平均寿命はさらに上昇すると予測されてる。2065年には男性で84.95歳、女性で91.35歳に達する可能性が示された。100歳まで委切るつもりで、健康づくりが必要な時代なのだ。

□南雲つぐみ(医学ライター)「平均寿命 ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2017年9月8日)を引用
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【本】中国から見た邪馬台国とは

2017年09月13日 | 批評・思想
★渡邉義浩『魏志倭人伝の謎を解く -三国志から見る邪馬台国』(中公新書、2012)

 魏志倭人伝を収める『三国志』とその政治的背景を分析し、邪馬台国の真実を解き明かそうとする。『三国志』は正史である。しかし、それは「正しい歴史」では必ずしもない。曹魏の中華としての正当性を示す史書なのである。
 魏志倭人伝に描かれた邪馬台国は、曹魏の国家的理念から見た「あるべき姿」であった。日本史家の間で論争の基盤となっていた位置関係や距離の情報はもともと歪められていた。果たして邪馬台国は、畿内にあったのか九州にあったのか。それは、読んでみてのお楽しみ。
 本書のアプローチは、グローバルな文脈の中で他者の立場から日本を捉えることの重要性、裏を返せば、日本という枠に限定した思考の落とし穴をよく示している。

□楠木建(一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授)「中国から見た邪馬台国とは ~名著未読・再読~」(「週刊ダイヤモンド」2017年月日号)
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【中国】住宅を入手しやすい「新一線都市」が人気 ~地方の生活水準が向上~

2017年09月12日 | 社会
 (1)「一線都市」(北京や上海など)の不動産価格が家計年収の10倍をはるかに超え、北京や上海の住宅は高根の花となっている。一方、「新一線都市」(地方の省都)へUターン・Iターンをする動きが出ている。
 大卒の就職先は、北京や上海はなお人気だが、成都、武漢など内陸地方の省都なども人気が出ている。一線都市を目指していた就職が変化しつつある。

 (2)北京では、中心部の不動産価格は1平方メートル当たり10万元(160万円)、標準的な住宅の価格は1,000万元(1億6,000万円)だ。大卒であれば若い夫婦でも家計年収20万~30万元は珍しくないが、それでも1,000万元は高価だ。郊外に行けば安価な物件もあるが、通勤は不便になる。
 そうした中、給与水準が低くとも、職場があり、都心部近くにマンションを購入できる「新一線都市」が人気となっている。
 新一線都市とされるのは、天津、杭州、寧波、南京、重慶、青島、成都、武漢、蘇州、西安、長沙、瀋陽、鄭州、大連、厦門(福建省)、東莞(広東省)だ【新一線都市研究所】。北方の有名な省都がリストから外れる一方、南方の地方都市がリストに入る(「北少南多」傾向)。成都や武漢の位置づけが高く、内陸へのシフトも見られる。

 (3)こうした状況が生じている理由は、一線都市の不動産価格が高くなる一方、新一線都市では、都心からさほど離れていない所でも200万元程度の物件があり、ちょっと外れた所に行けば半額の100万元以下の物件も珍しくないからだ。若者や若い夫婦にとって生活設計が立てやすい。

 (4)2010年代的といっていい幾つかの理由もある。
 Uターン・Iターンが増えてきた背景としては、
  (a)高速鉄道や高速道路の整備に続いて地方都市のインフラが整備された。
  (b)メッセンジャーアプリの微信(WeChat)や、電子決済サービスの支付宝(Alipay)などによって、情報格差が急激に縮小し、電子商取引がほぼ完全に普及した。
  (c)それによって、一線都市と地方都市の生活の差がほぼなくなった。
  (d)新一線都市がそれぞれの企業誘致や産業支援を進めつつ、人材誘致も強めている。・・・・優秀な人材に対して戸籍、賃金補助、住宅補助などを与え、人の量だけでなく、地域産業の高度化とそれを支える人の質を高める人口政策が、新一線都市で採られている。〈例〉成都・・・・国家レベルの専門家に最高300万元を提示。厦門・・・・超一流の人材や企業に最高1億元を提示。

 (5)中国は国土が広く、全人口の1割、2割が集中するような大都市圏ができない。今はしかし、交通や情報、生活において、北京や上海に近い都市生活を地方都市でも実現可能になった。
 日本では、交通網の整備が東京への人口集中を招いた。しかし、中国では日本とは逆に、地方に人を分散させる。新一線都市がかつての日本の理想を実現するか、が注目される。

□鈴木貴元(丸紅(中国)有限公司経済調査総監)「地方の生活水準が向上/手頃な住宅が手に入る「新一線都市」が人気」(「週刊ダイヤモンド」2017年9月16日号)
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 【参考】
【欧州】総工費8兆円超の英高速鉄道プロジェクト ~高まる期待と漂う懸念~
【欧州】スペイン経済は大打撃、欧州金融危機の再来か ~カタルーニャ独立~
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【南雲つぐみ】コーヒーの香り

2017年09月12日 | 医療・保健・福祉・介護
 電子レンジの庫内などにこもった嫌な臭いを消すアイテムとして、コーヒーの出し殻を活用するという技がある。コーヒーを入れたばかりのまだ温かい出し殻を耐熱皿などの上に盛り、ラップをかけずに、そのまま1~2分加熱する。これで庫内の嫌な臭いもほとんどなくなるはずだ。また、乾燥させたコーヒーの出し殻を布袋などに入れて、靴箱に入れておくと脱臭効果が期待できる。
 コーヒーにはピラジン類、フラン類、ピロール類、アルデヒド類など数百種の香り成分が含まれているそうだ。フラン類はニンニクやニラなどの臭いの元を消す口臭予防効果が期待されている。コーヒー特有の香ばしさはこの成分の組み合わせによって生まれる。焙煎することによって、あの独特の香りが表れるそうだ。
 また、コーヒーに含まれるカフェインやクロロゲン酸にはダイエット効果があるとされるほか、これらの香り成分にも、ストレスの除去や鎮静効果があるという研究報告もある。

□南雲つぐみ(医学ライター)「コーヒーの香り ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2017年6月18日)を引用
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【南雲つぐみ】コーヒーの入れ方

2017年09月12日 | 医療・保健・福祉・介護
 コーヒー専門店で豆を買ったら、ドリップ式でのおいしい入れ方を教えてくれた。人によって味の好みはあると思うが、どんな種類の豆でもおいしく入れるには、お湯は、85度前後がいいらしい。ちなみに、煎茶は70~80度が最適とされ、紅茶は沸騰したてのお湯をやかんから直接ポットに注ぐぐらい熱いのがいいとされている。
 お湯は、コーヒー粉を入れたフィルターの上3センチメートルくらいから、コーヒーの真ん中あたりに円を描きながら静かに注ぎ入れる。高いところから音を立てて入れると雑味が出る原因になるし、縁のほうから注ぎ込むとお湯がフィルターを伝って流れてしまい、薄味になってしまうそうだ。
 サーバー(またはカップ)にコーヒーが数滴落ちてきたら、20秒ほど注ぐのを待って粉を蒸らす。再び、コーヒー粉がふんわりと盛り上がるようにゆっくりと円を描きながらお湯を注いでいく。
 大切なのは最後で、フィルター内のお湯が全部落ち切る前にサーバーを外すと、えぐみが出ないという。

□南雲つぐみ(医学ライター)「コーヒーの入れ方 ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2017年7月30日)を引用
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【南雲つぐみ】メール送信には一呼吸

2017年09月12日 | 医療・保健・福祉・介護
 つい最近、知人から長いメールをもらって驚いたことがあった。まったく身に覚えのない出来事について、書かれていたからだ。
 すぐ当人から電話があり、送り先を間違えたことが分かったのだが、知人はどれだけ身の縮まる思いをしたかと気の毒になった。自分の身になって考えてもみた。
 コミュニケーションの方法は、電話やメールなどの登場でどんどん変わってきている。「もらった連絡にはすぐに返信するのが礼儀」という日本的なマナーに縛られていると、焦りから「誤解、誤字、誤表現」を生みやすい。笑い事で済まされない表記ミスも起こるし、送信先を間違える重要なミスですら、簡単に起こるのだ。郵便なら、手紙を取り戻すこともできるが、メールは取り戻せない。
 こうしたミスや行き違いによるストレスを回避するためには、書き終わってもすぐ送らず、一呼吸、見直しの時間を持つことも大切ではないか。場合によっては、一晩置くくらいの心の距離感を持っても良いだろう。

□南雲つぐみ(医学ライター)「メール送信には一呼吸 ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2017年8月26日)を引用
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