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【金曜恒例】反原発北海道庁前行動(通算338回目)でのスピーチ/テロ対策工事遅れで再び原発ゼロが幕を開ける!

2019-05-24 21:42:27 | 原発問題/一般
 皆さんお疲れさまです。

 原子力規制委員会は4月24日、原発を持つ電力会社との意見交換会を開催し、特定重大事故等対象施設(いわゆるテロ対策施設)が工事認可から5年経っても完成しない場合、稼働中の原発であっても停止させる方針を決めました。更田豊志委員長ら規制委員3人一致の結論です。

 今回の事態は、福島原発事故を受けて2013年に施行された新規制基準により、テロ対策施設の設置が義務づけられたことに始まりました。大型航空機の衝突を受けた際などに原子炉を遠隔で冷却する緊急時制御室を設けることが再稼働の条件とされたのです。

 この対策の期限は新規制基準の施行から5年で、本来なら2018年7月までに終えていなければなりませんでした。しかし規制委は、新規制基準に基づく原発本体の審査が遅れていることを理由として2015年、「工事認可」から5年以内に勝手に変更しました。再稼働審査が遅れているのは規制委の責任だから工事認可を5年のスタートラインにしてもよいというもので、安全審査の趣旨からすれば本来あってはならない逸脱といえます。

 この日の意見交換会では、電力会社から前例のない施設であり工事が予想以上に大規模になっているため期限の再延長を求める意見が出されたそうです。しかし規制委は「前例のない施設というが、前例のない事故を経験した国だから事故の反省に立って出てきたもの」(更田委員長)、「工事をやってみたら大変でしたというのは理由にならない」(伴信彦委員)などとして認めませんでした。3.11を経験したのですから当たり前です。

 原発のテロ対策施設に前例はあります。例えば米国では、ハイジャックされた大型機の衝突によって世界貿易センタービルが破壊された9・11テロ後、大型機が原発に衝突しても原子炉が破壊されることがないようにすることを原発稼働の条件とする基準が原子力規制委員会(NRC)により策定されました。米国原子炉メーカー、ゼネラル・エレクトロニック社元技術者の佐藤暁(さとし)さんは「NRCの場合、対策の猶予を認める場合であっても代替策がきちんと機能するかどうか厳しく審査する」と指摘します。工事の遅れを理由に代替策もないままテロ対策の猶予を認めてきた日本との大きな違いです。

 福島原発事故では、原子炉自体は破壊されなくても、原発が全電源喪失に追い込まれれば炉心溶融につながることが示されました。原発内でのテロ対策に万全を期しても、遠く離れた送電線や送電設備が破壊されては意味がありません。原発敷地内だけの対策ではテロを防ぎ切れないのが現実なのです。

 規制委は電力会社に電源の多重化・分散を求めていますが、泊原発(北海道)のように非常用ディーゼル発電装置への電源コードの固定が不十分だった実例もあります。福島原発事故前と同じく「国に甘えれば認めてもらえる」と考え、事故から何も学ばない電力会社に原発を動かす資格はありません。

 福島原発事故後に再稼働した原発は今、全国で9基あります。高浜3・4号機、大飯3・4号機(関西電力)、伊方3号機(四国電力)、玄海3・4号機、川内1・2号機(九州電力)のすべてで工事は期限より1年~2年半程度遅れると見込まれています。関電ではテロ対策工事を週末休日返上、二交代制で行っていて、他の電力会社も含め、これ以上工事のペースを速めることは事実上不可能だからです。規制委の姿勢が変わらなければ来年春以降、9基すべてが停止に追い込まれ、再び原発ゼロが実現することになります。

 脱原発弁護団全国連絡会は4月23日、「特定重大事故等対処施設の完成期限超過に対して毅然とした措置を求める声明」を発表しました。延長された猶予期間すら守れず、期限再延長を求める関電、四電、九電3社の姿勢を「周辺住民のみならず、全国民に対する許しがたい裏切り行為」と批判。福島原発事故が「耐震バックチェックにおいて当初定めていた3年という期限を経過し長期にわたり基準不適合状態となった原発の運転を、なし崩し的に認めていたことによって発生したもの」と検証した上で、「期限を超過した基準不適合状態の原発の運転をなし崩し的に認めていては、(中略)近い将来に福島原発事故のような深刻な事故を繰り返す」として規制委に「毅然とした措置」を求めました。

 テロ対策を理由とした今回の原発停止の本当の目的が東京五輪のためだとする見方も一部にあります。しかし、何はともあれ原発ゼロの時代が再びやってきます。これを一時的なものに終わらせず、恒久的な原発廃止、廃炉につなげるために頑張っていきましょう。

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