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カリンバが美しい宅録ミニマル音楽、たまにメタルギター炸裂

2015-07-20 13:45:37 | 音盤ノート
Steve Tibbetts "Safe Journey" ECM, 1984.

  スティーヴ・ティベッツの四作目。前作のアンビエントな雰囲気を踏襲しつつも、"Yr"にあったロック色も交えた作品である。彼の音楽の幅がバランスよく開示された代表作であり、ティベッツ初心者がまず最初に接すべき作品として薦めたいが、残念ながら現在廃盤のようだ。

  録音はティベッツ以下"Yr"と同じ編成の打楽器隊+ベースによる。このバンドの他に、曲中ずっと持続するドローン音──シンセ音だったりエレクトリックギターだったりする──を加え、音の厚みを増している。本作はカリンバを主にした曲が素晴らしく、国籍不明の民族音楽風ミニマル音楽となっていて美しい(特にtrack 7は名曲)。このほかtrack 1, 6に登場するヘヴィメタル系のエレクトリックギターも聞き物で、静かな瞑想の場に刃物を持った暴漢が現われたかのような混乱ぶりで楽しい。

  なお一応プロデューサーとしてECM総帥のアイヒャーがクレジットされているが、ミネソタ州での長期の録音に付き合うわけがないので、ミュンヘンの彼の元に送られてきたテープから曲の選択や編集をしたというところだろう。したがってティベッツは自由に音楽を構築できたはず。宅録音楽家の面目躍如となる傑作と言いたい。
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