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米国ロック誌推奨のブラジル産サンバ・ロック

2016-05-20 20:47:31 | 音盤ノート
Novos Baianos "Acabou Chorare" Som Livre, 1972.

  MPB。ノヴォス・バイアノスはトロピカリア後期のグループで、その名の通りバイーア出身者を中心に1969年に結成され、リオ近郊にコミューンを作って共同生活していたという。アルバムを8枚作って1979年に解散している。本国ブラジルで売れたのかどうかよくわからないが、少なくとも1990年代までの日本ではまったく知られてなかった。有名になったのは、2007年に米『ローリングストーン』誌が「ブラジル音楽史上最も重要なアルバム100選」の第一位に本作を選んでからのこと。

  メンバーは11人いるが、曲によって出たり入ったりのようで、音が厚いというほとではない。バック演奏はアコギとコーラスと打楽器が中心。ボーカルは男二人と女一人。トロピカリア系ながらサイケデリック感はわずか。サンバで始まり、徐々にハードロック的なディストーション・ギターとロックドラムを加えてゆくという曲展開が多い。曲はわかりやすくて、若さに溢れてパワフルながら、演奏も巧みである。ロックとMPBの混交という点では、ヴェローゾやジルより洗練されていると感じる。

  でもなあ、本作が水準の高い作品であることは確かだが、『ローリングストーン』誌の結論には同意できない。奇をてらわずに選べば、ジョアン・ジルベルトの"Chega De Saudade"(EMI/Odeon, 1959)(参考)ということになるでしょ。
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