ひろの東本西走!?

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上半期の読了本

2009-07-12 09:47:43 | 本と雑誌

上半期プラス7月上旬分の読了本リストです。

感動本でも感想を書けていない本が多く、とりあえずどんな本を読んでいるかだけでもアップすることにしました。著者名は、覚えているもの、すぐに分かったもののみ記載しています。◎印は良かったもの・印象に残ったもの・オススメ本などです。ブログに正式な感想をアップしたり、年末のまとめ時に評価が変わることもありますが。

大半が通勤の電車の中で読んだもので、読書量としては例年とほぼ同じかやや多めです。最近は小説と新書が多いのですが、個人的には面白ければ何でもOKです。

<1月>
 ◎序の舞  宮尾登美子
   スナッチ  西澤保彦
   読書は1冊のノートにまとめなさい
 ◎BOX!ボックス!  百田尚樹
   ゴローのヒマラヤ回想録  岩坪五郎
   日本人はなぜ環境問題にだまされるのか  武田邦彦

<2月>
 ◎永遠の0(ゼロ)  百田尚樹
   iPS細胞  八代嘉美
   住まいに居場所がありますか?
 ◎  宮尾登美子
   ラン  森絵都
 ◎読書力  齋藤孝
 ◎年下の男の子

<3月>
   警官の血(上)  佐々木譲
   大阪の近代建築と企業文化
 ◎天涯の花  宮尾登美子

<4月>
   景気って何だろう
 ◎きのね  宮尾登美子
 ◎読ませるブログ 心をつかむ文章術
 ◎ルポ貧困大陸アメリカ
 ◎サッカーボーイズ 再会のグラウンド  はらだみずき
 ◎ヨーロッパのアール・ヌーヴォー建築を巡る

<5月>
 ◎湖国のモダン建築
   サッカーボーイズ 13歳 雨上がりのグラウンド  はらだみずき
 ◎教育力  斎藤隆
 ◎キネマの神様  マハ原田
 ◎猫を抱いて象と泳ぐ  小川洋子
   脳が冴える15の習慣 記憶・集中・思考力を高める  築山節
   退出ゾーン  初野晴
 ◎警官の血(下)  佐々木譲
   人生の軌道修正  和田秀樹

<6月>
 ◎思考・発想にパソコンは使うな 「知」の手書きノートづくり  増田剛巳
 ◎葉桜の季節に君を想うということ  歌野晶午
   カリスマ編集者の「読む技術」
 ◎クローズ・ドノート  雫井脩介
 ◎決断力  羽生善治
   ラストラン  志水辰夫
   ナイチン・ゲールの沈黙  海堂尊
   日本を教育した人々  斎藤孝

<7月>
 ◎ジェネラル・ルージュの凱旋  海堂尊
   日本の歴代ノーベル賞
   七夕しぐれ  熊谷達也


聖アグネス教会

2009-07-09 22:40:39 | 近代建築

明治館の見学が終わり、一同はキャンパス内を通って中川先生のメインの講演が行われる聖アグネス教会・礼拝堂に移動しました。

明治館の方からは教会の背面が見え、またお隣には神社もあるため、煉瓦造の教会と純和風の建物が並んだ姿はどこか不思議な光景です。他にも、例えば南禅寺の水路閣もありますし、これはモダンで古い都市・京都ならではの景観かもしれませんね。南西角に張り出した八角形の洗礼室が味わいありです。

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聖アグネス教会はアメリカ人建築家・ガーディナーの設計で、1898(明治31)年に竣工しました。ゴシック様式の三廊式ですが、袖廊が小さく左右非対称です。左右非対称はちょっと珍しいかもしれません。礼拝堂内は多数あるステンドグラスがとても美しいです。

講演に先立って、パイプ・オルガンの演奏と「アヴェ・マリア」の独唱がありました。石造の教会ではなく木造なので、音が朗々と響き渡るといった感じではなく、ほどよく広がって染み入るような響きでした。木組みなども美しく、荘厳で静謐な空間の素晴らしさを堪能しました。

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この日の中川先生のご講演は、平安女学院(明治館・昭和館)や聖アグネス教会の建物についてはもちろんのこと、明治政府の誕生と共に人口も激減して著しく衰退した京都が、その後どのようにして今日のような歴史都市・観光都市であり、学校や教会が多い都市となったのか・・・などなど、とても盛りだくさんの内容で学ぶところ大でした。また、工業都市化の試みがいったんはことごとく失敗したものの、その後の三大事業(第二琵琶湖疎水、上水道敷設、道路拡幅+電気軌道敷設)でようやく近代都市構造が出来上がったとのこと。当初、かんがい・舟運や水力発電用であった琵琶湖疎水の水が日本庭園用に変質した話、東京遷都に伴って公家や武家の屋敷が空き家になった後、そこに学校がどんどんできたという話なども実に興味深かったです。

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クラシック音楽サロン ポコアポコ

2009-07-08 22:42:56 | レトロ喫茶、純喫茶

Pocoapoco1_2今日は午後から打ち合わせで、出向元の本社のある大阪市北区西天満に行きました。約束の時刻まで少し時間があったのと昼食をまだとっていなかったことから、喫茶店で軽くコーヒー&サンドでもと考えて裁判所の北側をしばしウロウロしたところ、ふと目にとまったのが、「クラシック音楽サロン 喫茶 ポコアポコ(POCO A POCO)」でした。写真はお店のホームページのトップにあったものを使わせて頂きました。

マンションのようなオフィスビル?の2Fにある一室がお店で、一見さんではちょっと気付きにくいかもしれません(私も今日が初めてでしたが)。但し、テラスにも席があるようで、天気の良いなどは気持ち良さそうでした。

店内に入ると、ピアノ・ヴァイオリン・チェロなどが置かれており、クラシック関係の本やCD・DVDなども多数並んでいて壮観です。また終始クラシック関係のDVDを映されているようでした。私はあまりよくは知らないのですが、名曲喫茶などともちょっと雰囲気が異なるようで、マンションの一室でクラシック関係の本やCDなどに囲まれ、音楽と映像に浸りながら、ゆったりと珈琲を頂くといった感じでしょうか。とても優雅でリッチな気分になれそうです。

このお店は共に声楽が本職の(?)ご夫婦でされているとのことで、月・水は生演奏の出来る日として、ピアニストの伴奏で歌ったり楽器演奏ができるそうです。好きなCDを持参してかけたりもOKだそうな。また、ここで歌や発声を教えたりもされているとのことでした。過去には色々とオペラの公演もされたそうです。詳しくはHPをご覧頂きたいのですが、クラシック音楽ファンにはよく知られたお店のようですね。

私が「パヴァロッティの写真があちこちに見えますね」と言ったところ、奥さまが大のファンとのことでした。イタリア・オペラがお好きとのことで、ヴェルディやプッチーニのオペラのことを少しばかり教えて頂きました。

その後、どんなジャンルがお好きでですかと尋ねられて、正直にオペラは殆ど知らず、交響曲や管弦楽曲などの派手なのが好きですと回答。また、好きな指揮者は?との問いには、しばし考えてから「カルロス・クライバーですかね。先日、LDを持っているのにDVDも買ってしまいました(コンセルトヘボウとのベートーヴェン交響曲第4番+第7番)」と言ったところ、何とご主人がクライバー指揮/バイエルン国立管弦楽団のベートーヴェン交響曲第7番(於・昭和女子大学人見記念講堂)のDVDをセットして下さいました。これはNHKで今年の1月に放送された番組をDVDに収録されたものだそうです。近年クラシックをあまり聴かなくなっている私は、このような放送があったことは露知らずでした(汗)。時間があまりなく第一楽章だけを視聴させて頂きましたが、コンセルトヘボウ盤と同様、クライバーの華麗な指揮ぶりを改めて堪能しました。

今日は30分くらいしか時間がありませんでしたが、コーヒーとこんがり焼いたフランスパンのバタートーストもとても美味しかったです。カフェは15年弱、夜はBARになるそうで、こちらはもう30年以上されているそうです。西天満の本社にも10年近く通っていて全然知らなかった私ですが、ひょんなことからこのお店を知ることができてとても良かったと思います。

土・日・祝が定休日ことなので、京都の会社に通っている身にはなかなか行けそうにないのが残念です。しかし、ここはぜひ再訪したいものです。今度行くときは夜のBARにしようかな?


平安女学院・明治館

2009-07-06 23:16:59 | 近代建築

先日、「近代建築を学ぶ」という公開講義に参加して平安女学院・明治館と聖アグネス教会を見学してきました。平安女学院の昭和館は敷地外からも外観を見ることができるものの、敷地のやや奥にある明治館はこれまで目にする機会がなく、今回の見学をとても楽しみにしていました。

また、この日は京都工芸繊維大学・中川理先生の「建築から読み解く古都の近代」という講演があり、とても内容が濃いものとなりました。

明治館は明治28年(1895年)に英国人建築家(英国王立建築家協会正会員)A.N.ハンセルによって設計された煉瓦造二階建の建物で、同志社大学の校舎群と並ぶ極めて貴重なものです。登録文化財ですが、重要文化財級の価値は十分にあるとのことでした。芝生の校庭に赤レンガの建物は絵になりますね。

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中川先生のお話から明治館に関する内容を少し抜粋すると、明治館はアン女王様式の建築で、19世紀のイギリスの学校建築がほぼそのままの形で持ち込まれ、日本的なアレンジが殆どないそうです。特徴としては、

 ・簡素だが華やかなデザイン
 ・階段親柱などもシンプル
 ・屋根を多様なデザインでにぎやかに飾る

などで、ダッチゲイブル:オランダ風の妻壁(壁の上部が反転曲線を持つ段々状)も実に印象的です。アン女王様式(クイーン・アン・リバイバル)でこれほど見事なものはないとのことでした。

石造の歴史が深いヨーロッパでは、煉瓦むき出しの建物はあまり見かけることがなく(倉庫くらいか)、通常は煉瓦の上に石を張るそうですが、そんな中でイギリスは唯一煉瓦むき出しが好きな国とのことで、明治館もその特徴がよく出ているようです。但し、煉瓦の厚みは地震国ということもあって、煉瓦0.5枚から1枚分くらいは厚いとのこと。

明治館は阪神淡路大震災でかなり傷んで内部の使用も不可になっていたものが、先年、修復されました。修復に際しては、補強の鉄骨をあえて見せたりして、”修復したということ”・”修復で素晴らしい建物が甦ったということ”を知ってもらう、建物自体の履歴を残すことが考えられています。

文化財の考え方について、日本の重要文化財は国の宝として国のお金で補修するが、ヨーロッパは”指定”ではなく”登録”文化財が主体で、建物を大事に思う持ち主・使用者が修復を行うという違いがあるそうです。世界遺産も”指定”ではなく”登録”であり、 ユネスコからお金が出るわけではないとのお話を聞き、なるほどなあと思いました。日本でも敷居の低い登録文化財が徐々に増えつつりますが、まだまだ文化財=指定の意識が強く、敷居が高いようです。

聖アグネス教会など、次に続く。


クローズドノート(雫井脩介)

2009-07-03 23:19:01 | 12:さ行の作家

クローズドノート(角川文庫)
★★★★:80(~85)点

Closednote1 妻が勤務先の友人からお借りした本を全く予備知識なしで読み、中盤以降はあまりの面白さにほぼ一気読みで読了した。物語終盤の展開は誰でもほぼ読めてしまう(想像がつく)ものの、ミステリー小説ではないと思うので、全く問題なし。それよりも、ああやっぱりそうだったんだなあという感慨の方が大きかった。良い本です。

***************** Amazonより *****************

自室のクローゼットで見つけたノート。それが開かれたとき、私の日常は大きく変わりはじめる――。『犯人に告ぐ』の俊英が贈る、切なく暖かい、運命的なラブ・ストーリー.

堀井香恵は、文具店でのアルバイトと音楽サークルの活動に勤しむ、ごく普通の大学生だ。友人との関係も良好、アルバイトにもやりがいを感じてはいるが、何か物足りない思いを抱えたまま日々を過ごしている。そんななか、自室のクローゼットで、前の住人が置き忘れたと思しきノートを見つける。興味本位でそのノートを手にする香恵。閉じられたノートが開かれたとき、彼女の平凡な日常は大きく変わりはじめるのだった―。

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真野矢吹先生の、人として、教師としての素晴らしさ。多分に優等生的ではあるが、初めての担任となったクラスの生徒たちや親と真摯に向き合う。そこから家族のようなクラスが次第にでき、一丸となって色んなことに取り組んで、一緒に泣き笑いする。矢吹が書いたノートを読む香恵を通じて、矢吹と4年2組の生徒たちの活き活きした姿が目に浮かぶようであった。

こんな先生が本当にいるのかな?若干甘過ぎるし、理想論かもしれないなと思っていたのだが・・・あとがきを読んで、この小説にはモデルがあり、それが著者の亡くなったお姉さんだったという話にはビックリした。本書に出てくる色んな文章や言葉も、お姉さんの原文をそのまま用いたりしている部分があったりと知って、本当にこんなにひたむきで、生徒たちからも慕われた先生がいたのかという感慨持つと共に、矢吹先生に対して一気に親近感を感じてしまった。仕事や恋愛に悩む姿も良い。そんな矢吹に共感し、勇気づけられる香恵も微笑ましい。私は矢吹先生がノートをつけていた日々(過去)と、それを香恵が読む日々(現在)の間にはてっきり数年の差があるとばかり思いこんでいたのだが。

ラスト近くの香恵の言葉と共に、矢吹を慕っていた元4年2組の二人の少女(絵里と君代)との会話のシーンが最も感動的だった。特に、ひきこもりから抜けだし、何とか頑張って学校に通っている君代の言葉が胸をうつ。

序盤は本邦初の(?)万年筆小説といった趣があり、これもとても良かった。ここをくどいと感じる人もいるだろうが、私は断固支持!バーチャル全盛・効率化第一の今日であるが、リアルとしてのモノの凄さや素晴らしさ、すぐれたモノに対する憧れの気持ちや愛着・こだわり、手仕事に対する誇り・矜持と畏敬の念などが実によく書き表されていたと思う。本作品では万年筆売り場から始まる人のつながりも大事なポイントでしたしね。万年筆職人&文具店社長の娘で香恵の先輩社員でもある可奈子さんも、頼もしくサッパリした人柄などが魅力的だった。

クローズド・ノートの意味は、直訳が閉じられたノートだとすると、矢吹によって書かれ、いったんは他の人の目にふれることなく閉じられたノートが、香恵の手によって再び開かれ、読まれ、そこから新たな物語が始まったということか。香恵と隆作による新たな物語がどうなるのかは分からないが、矢吹のノートは決して閉じられてしまったのではないとも思える。

本作品は青春ラブストーリーであり、教育論でもあり、モノづくり論でもあったと言えるのではないか。

教育論に関して、先日読んだ齋藤隆氏の「教育力」(感想未アップ)という本には、あこがれの伝染としての教育、あこがれにあこがれる関係づくり、教師自身が学び続けること・・・などの記述があった。たったの1年ではあったが、矢吹先生と4年2組の生徒の関係はこれに近かったのかもしれない。

また、「教育力」には専門的力量と人間的魅力が教師にとって不可欠の能力ともあった。新任の矢吹先生は、当然のことながら専門的力量はまだこれからであっただろうが、それを補って余りある人間的魅力とか人(生徒だけでなくその親も)を思いやる心があったのだろう。

教育とは生徒たちの心の中に何かを残すこととも言えますね。絵里と君代の言葉がそれを物語っている。「教育」は大変なことだろうけれど、人の人生や生き方を変え得る素晴らしい職業であることも再認識した。他の人とはちょっと違った読み方をしたかもしれないけれど、実に素晴らしい小説だと思う。絶対のオススメです。

◎参考ブログ:

   エビノートさんの”まったり読書日記”
   そらさんの”ひだまりで読書”
   苗坊さんの”苗坊の徒然日記”

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