ひろの東本西走!?

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平安女学院・明治館

2009-07-06 23:16:59 | 近代建築

先日、「近代建築を学ぶ」という公開講義に参加して平安女学院・明治館と聖アグネス教会を見学してきました。平安女学院の昭和館は敷地外からも外観を見ることができるものの、敷地のやや奥にある明治館はこれまで目にする機会がなく、今回の見学をとても楽しみにしていました。

また、この日は京都工芸繊維大学・中川理先生の「建築から読み解く古都の近代」という講演があり、とても内容が濃いものとなりました。

明治館は明治28年(1895年)に英国人建築家(英国王立建築家協会正会員)A.N.ハンセルによって設計された煉瓦造二階建の建物で、同志社大学の校舎群と並ぶ極めて貴重なものです。登録文化財ですが、重要文化財級の価値は十分にあるとのことでした。芝生の校庭に赤レンガの建物は絵になりますね。

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中川先生のお話から明治館に関する内容を少し抜粋すると、明治館はアン女王様式の建築で、19世紀のイギリスの学校建築がほぼそのままの形で持ち込まれ、日本的なアレンジが殆どないそうです。特徴としては、

 ・簡素だが華やかなデザイン
 ・階段親柱などもシンプル
 ・屋根を多様なデザインでにぎやかに飾る

などで、ダッチゲイブル:オランダ風の妻壁(壁の上部が反転曲線を持つ段々状)も実に印象的です。アン女王様式(クイーン・アン・リバイバル)でこれほど見事なものはないとのことでした。

石造の歴史が深いヨーロッパでは、煉瓦むき出しの建物はあまり見かけることがなく(倉庫くらいか)、通常は煉瓦の上に石を張るそうですが、そんな中でイギリスは唯一煉瓦むき出しが好きな国とのことで、明治館もその特徴がよく出ているようです。但し、煉瓦の厚みは地震国ということもあって、煉瓦0.5枚から1枚分くらいは厚いとのこと。

明治館は阪神淡路大震災でかなり傷んで内部の使用も不可になっていたものが、先年、修復されました。修復に際しては、補強の鉄骨をあえて見せたりして、”修復したということ”・”修復で素晴らしい建物が甦ったということ”を知ってもらう、建物自体の履歴を残すことが考えられています。

文化財の考え方について、日本の重要文化財は国の宝として国のお金で補修するが、ヨーロッパは”指定”ではなく”登録”文化財が主体で、建物を大事に思う持ち主・使用者が修復を行うという違いがあるそうです。世界遺産も”指定”ではなく”登録”であり、 ユネスコからお金が出るわけではないとのお話を聞き、なるほどなあと思いました。日本でも敷居の低い登録文化財が徐々に増えつつりますが、まだまだ文化財=指定の意識が強く、敷居が高いようです。

聖アグネス教会など、次に続く。