
★★★★☆:90点
これぞ山本一力ワールド。素晴らしいです。
絶対のオススメ。
なかでも「萩ゆれて」はこれまでに読んだ山本作品の中でも最高・極上の部類。
通勤の電車内で不覚にも涙がこぼれそうになりました。
良いシーンが多すぎると、かえって感想が書きづらいですね。
兵庫とりくが夫婦になる決心をする前後が非常に感動的なのですが、あえて主人公以外を少しだけとり上げると、
母や親族から祝福されない兄の祝言。
その席にただ一人列席し、懸命に相手側の客をもてなす妹の
雪乃。
そんな雪乃の姿を見て、彼女が一緒に暮らすなら、
娘(りく)は幸せになれると安堵する両親(玄蔵とおはま)。
自分が拒んでいる嫁・りくのひたむきな優しさに思わず高枕を
濡らす志乃。
「そなたにはつらい思いをさせましたが、詫びを伝えることは
間にあいました。」
人(家族、好きな人、友・・・)を思う心、思いやる心が実に丁寧に
描かれた作品です。
土佐弁も味わいあり。
「いっぽん桜」
現代のサラリーマンにも当てはまる物語。
自分が長年勤めた大店への未練、執着、つまらないプライド。
「そこに、すいかずら」
三千両の”ひな飾り”。
二度の火事で両親を失い、店も焼け落ちてただ一人残された
娘・秋菜。
紀文、再登場。良い味を出しています。
「芒種のあさがお」
決まり事にうるさい姑が亡くなって・・・。
この作品も良いのですが、全体のレベルが高くてちょっと割を
食った感じですか。
山本作品は偉大なマンネリと評されることもあるようですね。
それも結構。僕は断然山本作品を支持です。
これからも一力はんについて行きます。
こんにちは
「いっぽん桜」は読んだんですが、
現代の何か感動的な作品の後に読んだからか
山本作品としての印象が薄かったんですよ。
長編または連作短編のほうが山本さんらしさが出るような気がしたんです。
でもそうそう「萩ゆれて」は志乃さんの最後の最後で救われました。
りくさんも志乃さん本人も。
りくさんと雪乃さんが良かった。
けなげで、ひたむきで、優しくて。
人間に対する愛だなあと思いました。
男性陣も山本さんらしく、芯の通った人たちで良かったです。
>山本作品は偉大なマンネリ
ちょっとわかる気もする・・・
そうですか、印象が薄かったですか。
ま、人それぞれと言うことで(^_^)
「萩ゆれて」は中編なのですが、比較的短めだったのでもう少し長くても良かったかなと思います。
話をふくらませて長編にすることも可能だったでしょうが、短くても感動させてくれる力量に脱帽。
でも短かったので、2回続けて読んじゃいました。
さっき書き忘れていました。
”りく”の兄・弦太も素晴らしい男です。
たびたびお邪魔しております・・・。
『いっぽん桜』私もウルッときました。
表題作はもちろん、「芒種のあさがお」も私的にはよかったです。
嫁ぎ先の作法にとまどうおなつの姿は私にも覚えがありまして。
夫というのは頼りにならない。
明るく、誠実に過ごすしかない。
という辺りは、実感こめてうなずきました。( ^ ^ ;)
毎度お越し頂き、ありがとうございます。
この本のことはよーーーく覚えています。私は「萩ゆれて」を一番高く評価したのですが、全作品が素晴らしい出来映えです。メインテーマは家族、そして、人と人の心のつながりかな?
男性と女性ではどの作品を気に入るかでバラツキがあるかもしれませんね。なるほど、ちびちびさんはご自分の周囲の環境とも合わせて「芒種のあさがお」が印象的だったのか。。。
>夫というのは頼りにならない。
>明るく、誠実に過ごすしかない。
ドキッ!