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ひろの東本西走!?

読書、音楽、映画、建築、まち歩き、ランニング、山歩き、サッカー、グルメ? など好きなことがいっぱい!

深川駕籠(山本一力)

2005-06-05 15:14:00 | 17:や行の作家
hukagawakago深川駕籠(祥伝社)
★★★★’~★★★★:75~80点

深川の駕篭かき・新太郎と尚平を取り巻く人情物語。
トータルでは、ひとつ前に読んだ「はぐれ牡丹」よりも若干上の評価をしました。
一力さんは私にとって殿堂入り作家の一人です。大好きな作家ですが、”殿堂入り”レベルだけに最近は評価基準も少~し厳しめに設定しています。

全7編中では、二人がふと立ち寄った飯屋で”おゆき”という魅力的な女性が登場する「今戸のお軽」がベスト。
そして、深川の駕籠かき・新太郎、千住の駕籠かき(永遠のライバルですが、ナイスガイ)・寅、鳶の源次、飛脚の勘助、4人の足自慢が意地と誇りをかけた駆けくらべをする「紅白餅(めおともち)」が次点でしょうか。
「紅白餅」は題材としては非常に面白かったのですが、ランナーの私としては”走り”についてもう少し熱く激しく深く描いてほしかったところです。

おゆき。
彼女が出てきて物語が急に明るくなった気がしました。
彼女が営む(?)飯屋で出された料理(と言っても粗末なものなのですが・・・)の描写が、おゆきの人柄・話し方とも相まって非常に印象的でした。

  「煮豆に糠漬けと味噌汁で、ひとり三十文だけどいいですか?」
  「井戸が自慢なんです。もう一杯注ぎましょうか」
  「山椒を少し散らしていただくと、香りが立っておいしいですから」
  「ありがとうございます。その糠漬けも評判がいいんですよ」

心のこもった料理、もてなしということが良く分かります。
新太郎じゃないのですが、私も僅か2ページだけでおゆきに惚れやした。

一力さんの作品は、直木賞受賞作「あかね空」での豆腐をはじめとして、料理・食べ物・食事などの描写が生き生きとしていて素晴らしいですね。

てっきり物語の最後には○○とおゆきが結ばれることになるのでは?
と予想していたら・・・おゆきが選んだのは◎◎でした。
○○が可哀想。

やはり「今戸のお軽」で出てきたのですが、駕籠で速く走るには、客の乗り方も関係するというのが興味深かったです。

娘が世話になった芳三郎は客を装って二人の駕籠に乗り、思いっきり飛ばさせる。

  かき手と客の息が合わされば、駕籠は幾らでも早駆けできる。
  この朝の客は、乗り方が見事だった。
  揺れに合わせて身体を動かし、かき手の足を邪魔しない。
           :
           :
  「たいした走りだ、感心したよ」
  「お客さんもてえしたもんだ。久々に気持ちよく担がせてもれえやした」

ここも良いシーンでした。

色々と書き出してみると、素晴らしいシーンが結構たくさんありますね。
80点でも良かったかな?






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2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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ひろさん、こんにちは (ゆきうさぎ)
2005-06-06 15:22:45
ひろさん、こんにちは

◎◎と○○が気になります~
どうしても読まなきゃいけないように、仕組んでますね?
山本さんらしい、芯の通った方々のお話のようで、次の機会に読んでみます。
図書館で延長するのを忘れて、とりあえず返却してしまいました・・・



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ゆきうさぎさん、こんばんは。 (ひろ009)
2005-06-06 21:01:31
ゆきうさぎさん、こんばんは。

もちろん、仕組んでおります(^_^)
読んで頂きますよ~。

今回の感想はやたら長いだけで失礼しました。
カットせねばと思いながら面倒くさくなってエイヤーで
そのまま登録してしまいました。

P.S.今日から「いっぽん桜」を読み出したのですが、
   2編を読んで素晴らしい出来。
   この調子で最後までいけば90点オーバー”かも”

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