暫定案和解は安倍政権の大失態






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沖縄県民は翁長知事に騙されている
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暫定案和解は安倍政権の大失態

 翁長知事の承認取り消しは違法であることを根拠に代執行訴訟を起こした。政治的な駆け引きよりストレートな代執行訴訟を主導したのは恐らく防衛局のブレーンだと思う。今回の暫定和解案は官邸側のブレーンが決めたのだろう。それも突然であり、中谷元防衛相は暫定和解案については知らされていなかったと思う。それはボーリング調査中止についての記者の質問に戸惑った発言をしていたことから推理できる。辺野古の工事をいつまで中止するかについても中谷元防衛相は明言していない。
民主党の辻元清美氏がボーリング調査も中止するのかと追及したのに対し、中谷防衛相は「ボーリングを含めて現場の作業は止めている」と述べたが、ただ、いつまで中断を続けるかなど最終的にボーリング調査をどう扱うかについては「和解の当事者間の認識に異なることがないよう、和解内容をよく確認して対応していく」と述べるにとどめ、県と協議しながら判断する意向を示した。この答弁は暫定案和解の内容を完全には把握していなかったからである。

 防衛局ブレーンの強硬路線から官邸ブレーンの柔軟路線に戦術が変更したのが代執行訴訟を取り下げた暫定和解案である。
 官邸側のブレーンとして前沖縄県知事公室長の又吉進氏がいる。彼は前の沖縄県知事・仲井真弘多氏の下で、辺野古の埋め立て承認をめぐる対応に従事した経験もある人物であるが、公室長時代の彼の行動を見ると沖縄についての優れた分析力のある人間とは思えない。どっちつかずの優柔不断の人間だったと私は感じた。
 翁長知事と正面からぶつからず、柔軟なやり方で辺野古移設を実現するには暫定案で和解したほういいと又吉進氏なら考えると思う。長年県庁に居た彼は翁長知事の背後の県庁を牛耳っている強烈な左翼公務員の存在を知っているし、共産党を中心とした左翼活動家の恐ろしさを知っている。だから、強行路線は彼らの妨害でうまくいかないと考えたのだろう。彼が体験した沖縄の政治がそうであるからだ。
又吉進氏の進言が影響して官邸側は柔軟路線の暫定案和解の路線を選択したと私は推理している。しかし、官邸側は翁長知事の分析を誤った。
翁長知事は革新の支持によって知事に当選した。もし、革新に支持されない状況になれば彼の政治生命は絶たれる。今更革新と決別して自民党県連に戻ることはできないだろう。県議会は革新が多数を握っている。革新と対立すれば翁長知事は革新からも自民党県連からも支持されないで孤立してしまう。翁長知事にとって革新の支持が命綱であるのだ。
革新が翁長知事を支持するか否かの分岐点ははっきりしている。翁長知事が辺野古移設に賛成するか反対するかである。翁長知事が「あらゆる手段を使って辺野古移設を阻止する」態度を取っている間は革新は翁長知事を支持する。しかし、翁長知事が辺野古移設を容認するような態度をちょっとでも見せれば、革新は翁長知事を非難し、翁長知事を支持しなくなる。革新の支持を維持するためには翁長知事は徹底して辺野古移設に反対しなければならない。

翁長知事は県議会2月定例会本会議で和解が及ぶ範囲について「裁判所の判決には行政として従うと話したが、承認取り消しに伴う2件の訴訟の和解だ。今後、設計変更などいろいろあるが、法令に従い適正に判断する。今日までの(新基地建設反対の)姿勢を持ちつつ対処していきたい」と述べて、和解は承認取り消しに伴う2件だけであると言った。そして、今後想定される国の是正指示に関する訴訟で県が敗訴した場合でも知事権限を行使し、新基地建設阻止に向けた姿勢を堅持すると断言したのである。
翁長知事の進む道はあらゆる手段を使って辺野古移設を阻止するしかない。別の道を選べば革新の支持を失い政治生命を絶たれてしまう。翁長知事は命がけであらゆる手段を使って辺野古移設を阻止しなければならないのである。
 
自民の照屋守之氏は、「新たな裁判で国が負けたら、辺野古移設を断念する。県が負けたら、協力して(辺野古移設を)進めるとの確約ではないのか」とただしたが、町田優知事公室長は「若干、異なる。その訴訟の判決に従うが、あらゆる手法で新基地を造らせない県の方針は変わらない」と説明している。町田優知事公室長の答弁は翁長知事の立場を考えれば当然である。新たな訴訟で敗訴しても、新基地建設の容認に転じるわけではないというのが翁長知事の唯一の選択しなければならない道である。他の選択は翁長知事はできない。

 翁長知事は米軍岩国飛行場(山口県)の滑走路移設事業で、8回の設計変更が発生した経緯を指摘して「私は当選以来、設計変更も含め、たいへん厳しいものがあると話してきた。岩国の8回は参考になる。この問題は、なかなか厳しい状況になっている」と述べ、厳しい姿勢で審査に臨む姿勢を示したのである。
 辺野古飛行場建設で設計変更しなければならないものとして美謝川がある。現行の設計では飛行場の地下を美謝川は流れる。それを飛行場の北側に移動する計画があるが、実現するためには翁長知事の承認が必要である。それ以外にも山の土をベルトコンベヤーで運ぶのをトラックに変更する計画もある。これも翁長知事の承認が必要である。翁長知事が指摘しているように今後多くの設計変更があるだろう。翁長知事は設計変更すべてを承認しないだろう。国は訴訟を起こして県と裁判闘争をしていかなければならない。
 和解を提案した裁判長は代執行訴訟に勝ったとしても、その後は国と県の訴訟合戦になり、いつも国が勝つとは限らないから、辺野古移が滞る可能性がある。そのためには県と和解したほうがいいと和解案を提案した。安倍政権が暫定案で和解したのは県との訴訟合戦を避けるのが目的であった。しかし、裁判長は和解したとしても国の新たな設計変更を一切承認しない積もりでいる翁長知事の正体を知らなかった。安倍政権も。

 菅官房長官は、翁長知事がその後の別の裁判では新基地建設阻止へ知事権限が行使できるとの考えを明らかにしたことに対して、「互いに同意した和解条項に従うべきだ」と述べ、是正指示の取り消し訴訟で確定した判決の効力はその後の裁判にも及ぶとの考えを提示して、「和解条項を読めば皆さん分かるではないか」と翁長氏の発言を否定したが、承認取り消しという違法行為をした翁長知事である。そんな翁長知事が和解条項の正論を受け入れるはずがない。自分の有利になるような解釈をするのが翁長知事の正体である。菅官房長官は翁長知事を正しくは理解していない。

 翁長知事の、「判決に従う合意は、現在争われている埋め立て承認の取り消しだけに適用され、その他の知事権限は行使できるとの認識」は法的には正しい。理論的にも菅官房長官の主張は正当であるとは言えない。翁長知事の正体を知っていれば根本案を受け入れるか和解拒否をして、4月17日の判決を待っていただろう。正体を知らないから暫定案で和解したのである。
 ボーリング調査が終わり、翁長知事の敗北判決が下れば、翁長知事の承認取り消しが違法行為であると県民は理解し、県民の翁長知事離れが拡大しただろう。そして、県議会選は自民党県連が有利に展開していただろう。

 穏やかに辺野古移設を進めていく目的の暫定案和解作戦は、翁長知事の違法行為をうやむやにしたために翁長知事の息を吹き返しただけである。それ以外はなにも変わらない。
 翁長知事が設計変更を承認しないのは翁長知事の既定路線である。それしか翁長知事の政治生命を維持する方法はない。これからの安倍政権は翁長知事の承認拒否と闘う以外の道はない。安倍政権こそ翁長知事に勝利するためにあらゆる方法を駆使して先手先手を打っていくべきである。

 暫定案和解は安倍政権の大失態である。こんな失態は二度としてほしくない。

2016/03/04 に公開
平成28年3月3日木曜日に放送された『沖縄の声』。本日は、キャスターの又吉康隆が­「佐喜真宜野湾市長に失望」、コラムコーナー”又吉康隆のこれだけは言いたい”では前­回に引き続き「二大政党は共産党が参加する野党連合より大阪維新の会のほうが可能性あ­り」のテーマについて解説いただきます。
※ネット生放送配信:平成28年月3月3日、19:00~
出演:
  又吉 康隆(沖縄支局担当キャスター)

チャンネル桜


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