慰安婦問題・橋下発言は日本の首を締める


慰安婦問題・橋下発言は日本の首を締める

春婦伝


一九六五年に封切られた日活映画「春婦伝」である。原作は一九六〇年に出版されている。
野川由美子二十一歳、体当たり演技の迫力ある映画である。
売春婦と真面目な軍国主義青年が最後には手りゅう弾で自決するという恋愛悲劇映画であるが、映画で描かれている主人公は慰安所で働く慰安婦であり、慰安婦の実態を忠実に描いた作品でもある。

「売春婦、娼婦、淫売、晴美は天津の売春婦である。天津にいる間、彼女は一人の日本人を愛した。その男に自分の全部を賭けて、根限り愛し愛し愛し抜いた。夫婦になるために。しかし、その男は、日本から花嫁を連れて帰ってきた」
のナレーターで映画が始まる。男に絶望した晴美は天津から離れて、前線の慰安所に行く。

この映画は慰安婦、慰安所を忠実に再現している。六十五年頃は終戦から二十年しか経っていない。慰安所や慰安婦について知っている映画人スタッフは多かっただろう。だから慰安所の様子を忠実に描くことができた。
慰安婦の実態を知るのに貴重な映画である。


外国で上映した時のポスターである。慰安婦をPROSTITUTE と英訳している。
「ある売春婦の物語」である。




 PROSTITUTEとはプロの売春婦という意味である。プロと呼称されていることは慰安婦は商売人であり性奴隷ではないことを意味している。

慰安婦は売春婦「PROSTITUTE」であって性奴隷「SEXSLAVE」ではないことを「春婦傳」から理解できる。

橋下市長は「ノルマンディーに上陸して、連合国軍兵はフランス人女性を犯した。これはたまったもんじゃないと慰安施設を造った」と言い、慰安婦を性奴隷だったといっているが、世界は彼女たちを「SEXSLAVE」ではなく「PROSTITUTE」だと思っている。性奴隷だと思っているのは橋下市長だけだ。
世界は日本の慰安婦だけを「SEXSLAVE」だと信じているのだ。

橋下市長がノルマンディー上陸後につくった慰安所で働いた女性を日本の慰安婦と同じ性奴隷であるといっているが、彼女たちが性奴隷であったと信じる外国の人間は居ないだろう。彼女たちは「SEXSLAVE」ではなく「PROSTITUTE」だったのだ。

橋下市長は日本の慰安婦も外国の慰安婦も同じ性奴隷だと言っているが、外国に日本と同じ慰安婦がいたと外国の人間は思っていない。慰安婦は日本だけにいた特殊な存在として外国の人間は思っている。
そのことを全然認識していない橋下市長は慰安婦を性奴隷だと発言してしまっている。安易な発言である。慰安婦を性奴隷だと認めてしまった橋下市長の発言は、維新の会を代表する政治家が日本の慰安婦を性奴隷であると認めた発言であり、その発言は日本の首を絞めてしまう。

日本の政治家に求められているのは日本の慰安婦は「SEXSLAVE」ではなく人権のある「PROSTITUTE」であり、しかも日本軍が彼女たちの人権を守っていたことを世界に理解させることである。
「政府が人権を保護したPROSTITUTE」であることを日本の政治家が認識しないと、世界で定着している「慰安婦はSEXSLAVE」を覆すことはできない。
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