鳩山流では日本・アジアの平和を築けない

鳩山流では日本・アジアの平和を築けない

 鳩山幸雄元首相が理事長を務める東アジア共同体研究所の琉球・沖縄センターが開設された。開設記念シンポジウムが行われ、孫崎亨所長、高野孟理事と、国際アジア共同体学会の進藤栄一代表が講演した。
三氏は中国や北朝鮮の脅威をあおり、集団的自衛権の行使容認、日米同盟の強化、自衛隊増強に突き進む安倍政権を批判した。
東アジアの各国が連携し、経済や集団安全保障などでルールつくりを始める時期が来ていると強調した。
                沖縄タイムス
見出しは「脅威あおる政府批判」となっている。鳩山由紀夫元首相は「沖縄は戦争で捨石にされた。二〇万人がなくなり、県民の三人に一人が命を奪われたともいわれる。集団自決や、日本軍によって殺されることも起きてしまった。その苦しみを私たち日本人は、決して忘れてはいけない」
と七十年前のことを話し、「安倍政権は中国脅威論を声高に主張し、だからこそ沖縄に米軍基地はまだまだ必要だという論理を使っている。しかし、武力の行使で根本的な解決はできない。対話で問題を解決する友愛の精神こそ、最も正しい理念だ」と自論を語り、「琉球・沖縄センターから東アジア共同体の考え方を前進させたいし、沖縄には平和の創造に向けた要石になっていただきたい」とこれからの意気込みを語った。


 現在、アジアで起こっている深刻な問題が中国とフィリピン・ベトナムとの間で起こっている領土争いである。中国が自分の領土だと主張しているのが図の点線であるが、フィリピンやベトナムの領土であるほうが当然と思える場所まで中国は自分の領土だと主張している。
 そして、話し合いではなく軍事力を背景にした実力行使でフィリピンの領海の環礁に建物をつくり実効支配している。ベトナムではパラセル諸島で石油掘削を行っている。
 

中国のタカ派将軍、現中国戦略文化促進会常務副会長の羅援氏は「目覚めた」・・・フィリピンに激怒「目には目を。反撃だ。国際社会も理解するだろう」という論文を中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報に掲載した。

羅氏は、領有権などを巡り争議がある島や海域について「すべて中国のもの」を大前提に論を進めた。「中国の漁民が海亀を捕っていたことについての、信頼性について、まずは言わない」とした上で、「本当に海亀を捕っていたとしても、それは中国政府が管轄することだ。フィリピンがせいぜい持っているのは通報の権利だけ。漁民を捕まえる権利はない」、「中国の海域で人を捕まえるのか?」などと論じた。

羅氏は、フィリピンが南沙諸島の環礁のひとつであるセカンド・トーマス礁(中国語名は仁愛礁)を実効支配していることに議論を転じ、「わが国の領土だ。われわれには管轄権がある」と主張。
羅氏は、フィリピンが南沙諸島の環礁のひとつであるセカンド・トーマス礁(中国語名は仁愛礁)を実効支配していることに議論を転じ、「わが国の領土だ。われわれには管轄権がある」と主張。

セカンド・トーマス礁には1999年、フィリピン船が「浸水した」との理由で座礁。その後、フィリピン軍部隊が同島に駐留するようになった。

羅氏は「ただちに(セカンド・トーマス礁を)離れよ。さもなくば、われわれはさまざまな手段を用いて“退場”させ“引き抜く”ぞ。後になって『予告もなかった』などと言うなかれ、だ」などと主張。

羅氏は「外交闘争では、“道理がある、利益がある、節度がある”という三原則が必要としても、(セカンド・トーマス礁から)退場させることは、この三原則に合致している。法律的な根拠もあり、国益にも合致している。節制もしている」として「国際社会も理解すると思う」と主張した。

「われわれは最大限の自制と忍耐をしてきた」と主張した上で、「フィリピンはわれわれの島と岩礁8カ所を占拠している上に、今度はわれわれの漁民を捕まえた」と怒りを示し、「われわれがいつ反撃するか、どこで反撃するか、どのような反撃をするかは、完全にわれわれが決めることだ。フィリピンは挑発の代償を支払うことになるのを、待っていろ!」と論じた。

羅氏は改めて、フィリピンは「中国が『さらに1歩進んだ措置をとる』ことについての想像力が欠如している」と批判。「ならば、私は目覚めた。米国やロシアが同種の状況に遭遇した場合に、どのような措置をとるか比較するのだ」と論じた。

羅氏は「さらに1歩進んだ措置」について、「本来われわれ自身のものだったものを、取り戻すのだ。それだけのことだ。決してやりすぎとは思えない」と主張した。
サーチナ 5月12日(月)12時7分配信

 このように中国はフィリピンやベトナムへの実力行使を正当化している。
 鳩山流の「対話」で解決できるレベルの紛争ではない。鳩山流の「対話」をしていたら、中国はフィリソピン・ベトナムへの実力による領土拡大は進み、実効支配し、中国の領土となってしまう。

 鳩山氏は「対話」による平和の創造を主張しているが、鳩山氏の平和論は中国の侵略に対しては無抵抗で対応してしまい、中国との争いはなく平和の内に中国に支配される理論である。中国にとってこれほどおいしい対話論はない。中国は鳩山流「対話」論を大歓迎するだろう、そして、「対話」ですべては自分の領土だと主張し、領土をどんどん広げていくだろう。

 安倍政権が、軍事力に増強にまい進し、フィリピン、ベトナムの領土に侵略して実効支配し、尖閣諸島の領海に繰り返し海警選を侵入させてくる中国を見れば、中国に対して警戒するのは当然である。

 七〇年前の沖縄戦の悲劇を決して忘れてはいけないと強調している鳩山氏は現在アジアで起こっている中国とフィリピン、ベトナムの紛争には無頓着である。
 政治は今起こっている問題にどのように対処していくかが重要である。南沙諸島で起こっている紛争をどのように解決していかなければならないか。鳩山氏が「対話」で平和を築くのが自らの政治論であるならば、どのような「対話」をするべきか愚弟的に提案するべきである。
 鳩山氏ならば、中国とどのような対話をするだろうか、フィリピン、ベトナムとどのような対話をするか、そして、中国、フィリピン、ベトナムの三国にどのような対話をさせるだろうか。
 今、具体的な提案をしなければ鳩山氏の「対話」」論は現実性のない空論である。

 鳩山氏は、安倍首相は「武力の行使」だけを主張しているように述べ、批判しているが、それは安倍首相の一面だけである。

安倍首相>中国批判「力で現状変更」…アジア安保会議

 【シンガポール青木純】安倍晋三首相は30日午後(日本時間同)、シンガポールを訪問し、アジア安全保障会議(シャングリラ会合)で基調講演した。首相は「既成事実を積み重ね、現状の変化を固定しようとする動きは強い非難の対象とならざるを得ない」と述べ、南シナ海でフィリピンやベトナムと対立する中国を暗に批判。「東南アジア諸国連合(ASEAN)各国が航行の自由や飛行の自由を保全しようとする努力に支援を惜しまない」と対中連携に意欲を示した。さらに「どの国も一国だけで平和を守れる時代ではない」と述べ、集団的自衛権の行使容認に向けた安倍政権の取り組みに理解を求めた。

 首相は講演で「(アジア地域で)成長の果実の多くが軍備の拡張や武器の取引に充てられているのは残念だ。大量破壊兵器の脅威や力による現状変更の試みもある」と述べ、名指しを避けつつ、中国や北朝鮮が不安定要因との認識を示した。さらに中国の海洋進出を踏まえ、「力や威圧に頼らず、紛争の平和的解決を図るべきだ」と国際法の順守を訴えた。

 そのうえで「南シナ海ではASEANと中国の間で真に実効ある行動規範が速やかにできるよう期待する」と述べ、中国が国際的な紛争解決の枠組みに加わるべきだと指摘。中国軍機が自衛隊機に異常接近したことを受け、日中間で不測の事態が発生しないよう、海と空の連絡メカニズム構築に向けた協議を中国側に呼びかけた。ASEAN各国と日本、米国、中国、韓国などが参加する東アジアサミット(EAS)の機能を高め、軍事拡張の抑制や軍事予算の透明化について議論するよう提案した。
毎日新聞 5月30日(金)22時13分配信

南シナ海「法の支配」支持相次ぐ…中国は猛反発

 【シンガポール=池田慶太】シンガポールで開かれているアジア安全保障会議(英国際戦略研究所主催)は2日目の5月31日、中国と周辺国が激しく対立する南シナ海の領有権問題について、「法の支配」に基づき解決すべきだとの声が相次いだ。

 中国はこうした発言に強く反発した。

 ヘーゲル米国防長官は31日の演説で、南シナ海で石油掘削を始めた中国を重ねて批判し、「米国は国際法に沿って平和的な紛争解決の努力をする国を支持する」と述べた。

 マレーシアのヒシャムディン国防相は、中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)が、南シナ海での行動を法的に拘束する「行動規範」を策定すべきだと強調し、「代替策はない。どうしてもやらなくてはならない」と語り、中国に早期策定を促した。
              二〇一四年六月一日

 安倍首相はアジアの平和を構築するために民主的な「法の支配」の実現を以前から主張している。安倍首相は中国に国際的な紛争解決の枠組みに加わるべきだと述べ、「力」ではなく「法の支配」「国際法」によって解決するべきだと主張している。

 鳩山氏の主張する「対話」を安倍首相はすでに実行し、具体的提案もしている。鳩山氏は「対話」で解決するべきだと主張しながら、具体的にはなにも提案していない。「口」だけの対話論である。

 鳩山氏が主張している「対話」を中国は拒否している。鳩山氏は「武力の行使で根本的な解決はできない」と主張しているが、南沙諸島での中国のやり方を見れば「対話」だけでは根本的な解決をできないどころかどんどん侵略されるのが現実であることが分かる。
 
 友愛の精神で解決するには、相手が友愛の精神を理解する国家であれば通用するだろう。しかし、友愛の精神がなく理解もしない国家に対しては通用しない。そもそも国家は国民の利益とか一部の特権階級の利益とか民主議国家であれ独裁国家であれ国家は国家の利益を優先させる。友愛の精神などというものを受け入れるような国家は存在しない。
 
 国家と国家の紛争は常に国家の利害が絡んでいる。だから、軍事力と対話の組み合わせで解決をしていかなければならない。「武力」だけでも解決できないし「対話」だけでも解決はできない。

 鳩山氏は安倍政権は「武力」だけで解決しようとしていると決めつけ、「対話」で解決するべきだと主要しているが、安倍政権は「武力」と「対話」の二つを駆使してアジアの紛争を解決し、「法の支配」でアジアを平和にしようとしている。
 鳩山氏は安倍政権を正確に把握していないし、「対話」「友愛の精神」という国際紛争の解決に全然通用しない理論しかない。鳩山氏ではアジア共同体の考えを前進させることはできない。そもそも、沖縄を平和の創造に向けた要石にするという発想が幼稚であり、馬鹿げている。
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