沖縄には正直な経済学者はいないのか

県は「那覇新都心」の生産誘発額は874億2000円であることを根拠に、米軍普天間飛行場が返還されれば1兆7000億円の生産誘発額があり、県全体の米軍基地が変換されれば4兆7000億円以上の経済効果があると発表した。つまり、アメリカ軍基地を返還すれば県はなんの努力もしないで、自然に経済は4兆7000億円もアップするというのだ。そんなことは絶対にあり得ないことであるが、全ての米軍基地が返還された経済効果は4兆7000億円以上であるという県の発表を新聞は県の発表を丸呑みしている。経済論として非常におかしい理論であるのに、新聞に掲載される学者の論も県の発表を丸呑みした内容のコラムを書いている。

県は、県全体の米軍基地が変換されれば4兆7000億円以上の経済効果があると発表する一方、基地関係の収入は県民総所得と比べて5・3%であり沖縄経済への影響は小さいとしている。本当にそうだろうか。経済は政治とは別の経済の法則がある。もし、経済の法則を無視して政治的な恣意によって経済論をつくりあげ実行したなら、経済から大きなしっぺ返しをくらう。政治家が経済も運営する社会主義国家のソ連が崩壊したことがそのことを証明した。中国は市場主義経済を導入したことによってソ連と同じ運命をたどるのを避けることができた。

「那覇新都心」の経済効果と基地関連収入とは沖縄県に与える実質的な経済効果は雲泥の差がある。「那覇新都心」の経済の中心は大型ショッピングセンターなどの商品をサービス業である。「那覇新都心」の売り上げが伸びるということは別の地域の売り上げか落ちて、県全体から見ればプラスマイナスゼロになるから県全体への経済効果はゼロに近い。

それだけではない。「那覇新都心」で商品が800億円売れたとする。すると商品の原価率が75%だとすると原価は600億円になる。商品の全部を本土から仕入れたとすると600億円が本土に移動して、沖縄から600億円のお金がなくなるということになる。
那覇新都心は消費経済であり、商品販売が主なサービス業だ。沖縄はほとんどの加工品は本土から移入している。うるまとかバイオレットなどの沖縄たばこでさえ、現在は本土で製造している。だから、ショッピングセンターの売り上げか伸びれば伸びるほど、本土に莫大な金がでていく仕組みになっているのだ。

県は米軍基地が全て返還されたら4兆7000億円以上の経済効果があると発表した。その根拠しているのが「那覇新都心」の経済効果であり、返還された米軍基地のすべてに「那覇新都心」のような街ができ、「那覇新都心」と同じように商品が売れるのを仮定している。4兆7000億円の内の7000億円は県内産だと過程して、もし、4兆円の商品は本土や外国からの移入・輸入した商品だとしたら、4兆円の75%である3兆円であり、3兆円ものお金が本土や外国に出て行くことになる。3兆円のお金が出て行くとしたら3兆円のお金が沖縄に入ってこなければ沖縄は金欠になり、購買力は落ち、経済は冷え込んでいく。ちなみに2009年度の県民総所得は3兆9548億円である。2009年度の工業製品出荷額は5480億円、観光収入は3778億円、農業生産は920億円であり、合計は1兆178億円である。ほとんどの工業製品は県内で消費されると思うが、工業製品や農業生産品を全て移出するとしても3兆円には遠く及ばない。

県の基地返還による経済効果論は根本的に間違っている。

県は基地関連収入を県民総所得の5・3%であり県経済に影響はないいっている。、県民総所得にはサービス業の所得も含まれている。商品販売からくる所得は販売の25%であり75%は県外に出てしまうから、サービス業の所得は莫大な仕入代金が本土に出て行くのを前提とした所得あり、県民総所得の中には他にも公務員や公共工事のように税金から得る所得、銀行のように利子から得る所得などがある。
そのような所得に対して、基地関連収入の場合は全額が本土とアメリカから沖縄県に入ってくるお金である。基地関連収入の2084億円は県内に流入し県内のお金を増やし<県経済の活性に化貢献している。

那覇新都心がどんなに売り上げを伸ばしても、基地関連収入の1円さえカバーすることはできない。県の基地返還経済論は沖縄経済を破綻させる恐ろしい理論である。ところが、県の基地返還経済論を新聞も知識人も認めているのだからあきれてしまう。政治関係の知識人ならそれもありだが、せめて経済学者は県の基地返還経済論のまやかしを批判してほしい。

基地関連収入に代わることができる収入は県外に輸出・移出する生産品と、県外へサービスする産業、そして、移入商品に代わる商品の県内商品の生産である。
小泉政権時代に「アイデアに金を出す」というベンチャー育成の政治方針が決まり、沖縄のアイデア商品の企画に国が補助金で応援している。また、宮古ではバイオマス燃料の開発を進めている。開発を進めているのは政府から派遣された国家公務員である。うるま市の特別自由貿易地には金型企業や流量計製造企業など新しい会社の参入が増えている。このようなベンチャー企業の育成や新しい企業の誘致が基地経済から脱却できる唯一の方法であり、沖縄経済の自立を可能にするものである。

基地が沖縄経済の発展を阻害しているとか、基地返還すれば自動的に県経済が飛躍的に伸びるという馬鹿げた理論を振りまいて基地撤去運動にエネルギーを消費するより、ベンチャー企業の育成、企業誘致、そして中国、台湾、ベトナム、フィリピンとの貿易拡大にエネルギーを使うべきだ。

なぜ、沖縄にまともな経済学者が一人も居ないのだ。苛々する。
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