この正月も、一見平穏に過ごせたのは良いのですが、一方で、やはり世間を不安がらせる出来事もありました。
1995=平成7年春に首都圏を恐怖に陥れたサリン毒物殺傷事件を初め、多くの凶悪事件を生じたO教団の最高幹部だった、特別手配中の男性容疑者が東京警視庁に出頭、逮捕されました。
同容疑者は、十数年間に亘る逃亡の経緯や状況、人間関係などについては多くを黙秘している様ですが、主な自首の動機「東日本大震災にて、無辜の方々が多数亡くなったのを見て情けなくなり出頭」との言動には、ある程度の信憑性があるのでは、とも思います。他には、既に収監され死刑判決が確定している同教団創始者の死刑執行を遅らせる意図があるのでは、との憶測もありますが、その辺りは今後の同容疑者の起訴、裁判の具合を見る必要もあるでしょう。
今回私が問題にしたいのは、男性容疑者が「自分が特別手配されている」とわざわざ申告の上東京都内の警察署に出頭しているのに、現場の警察官が「悪質ないたずら」あるいは「狂言」と勝手に判断して取り合わなかった事でしょう。下手をすれば、再び捕り逃がしてしまう可能性もあっただけに、この拙劣な対応は大いに遺憾だと思います。
専門家や報道の方々のご見解も伺いましたが、この教団関連の事件につき、同じ警察でも刑事部門は大変俊敏に動くものの、他の部門にてはこれら事件の記憶や記録が風化してしまい、関心の低下もあって、以前より鋭い対応ができなくなっているのでは、との事でありました。これはやはり、我国の行政の多くにありがちな「縦割り組織の弊害」が災いしていると思わざるを得ません。
民業でもそうですが、21世紀の様々な事共は、組織の枠を越えた「横の繋がり」がないと対応し難い所が多くある様です。想えば前世紀に生じた多くの大事件も、こうした連携に欠けていた為に、犯人を捕り逃がしたまま公訴時効となってしまったり、あるいは誤認逮捕によって冤罪の問題を生じたり、多くの禍根を残したのは事実だと思います。
この出来事より、警察庁は、重要事犯の容疑者の扱いに万全を期す為善後策を明らかにしましたが、捕り逃がしを防ぐ為にも、現場レベルでの情報の共有や、組織の上下は勿論、部門間の連携にも万全を期して頂きたい。それでなければ、社会の安全安心を守る事は難しいのでは、とも思いますね。
P.S 今回は、ブログ記事を省略しております。*(注意)*