決勝ゴールが決まった時も、試合が終わった時も、何とかギリギリのところでこらえてた涙腺も、試合後のインタビューで「修さんや容平と腐らずやろうと声を掛け合っていた」と川西の口から発せられたところがもう限界で完全に決壊した。その直後に嫁さんから「DAZNに映ったよ」というコメントとともに放心状態のおっさんが映されたメールが送られてきてあっさりと冷めたわけだけど....
慎重に入りたい気持ちとこのゲームの重要性が影響したと思われる極度の緊張があった大分と、大分のボランチと右サイドを特にケアしてきた金沢。両軍のそんな状況が色濃く反映された前半はそれはそれはカチンコチンの試合となった。前半41分に前田を経由して右サイドから崩していった攻撃が出るまでハッキリ言って何もやってなかったと言っても過言ではないくらいカチンコチンだった。金沢が全体的に引き気味なのと、ボランチにボールを入れさせないポジショニングを取ってくるため効果的な縦へのパスは皆無だった。また岩田−怜さん−清本と機動力トリオを縦に並べた右サイドは、密集したディフェンスで対応してくるためスペースがなく良さが出せなかった。的当てゲームでもしてんのかなってくらい目の前の選手にボールをぶつけ続けた怜さんと岩田。緊張してると遠くが見えなくなるとよく言われるけど、星の周りには広大なスペースがあったからもう少し遠くが見えてたら、逆サイドへ展開出来たんだろうけどね。この状況で緊張するなってのは無理があるのは十分に分かってるんだけど、緊張や慎重さがインテンシティの低さを呼び込んでしまっているように思えてならない。前半はほとんどの選手が寄せるだけのディフェンスに終始していて物足りなかった。相手の足元まで奪い切りにいこうとしてたのは前田くらい。この部分は緊張とかと切り離して出来るはずだから、もっと意識を変えてほしい。
今日の清本の先発起用はプレースキッカーとしての役割を果たしてほしかったという意図があったと思う。清本に限らずその能力のある選手の起用はもっとあるべきと思ってきたし、それは前節の敗戦でより強く感じてた。そして今日の清本の起用は当たった。カチンコチンだった前半終了からわずか3分でゴールを決められるセットプレーってやっぱり偉大だし、もっと大事にしてほしい。
ハーフタイム中にこの閉塞感をぶち破ってくれるのは誰だろう、そしてそういう選手にこそ本当の価値があると思ってた。しかしそれがまさか川西になるとは全く思ってなかった。それは川西の能力云々ではなく、ここ最近ずっと出場機会がなく、前節やっと久々のベンチ入りしたばかりという状況だったから。それと交代がマルちゃんだったというところも大きなポイントだった。片野坂サッカーにおいてマルちゃんはほぼほぼ聖域となっていたし、この重要な局面でまさか代えてくるとは思わなかった。ただ今日は前半にターン1発で振り切られたり、そもそもほとんどボールを受けられなかったりといい出来ではなかった。ただ片野坂さんは思い切ったなと交代の時は思った。
個人的にずっと川西のことを「和製ムサ・デンベレ」と表現してきた。プレミアリーグの場合、Jリーグの比じゃないレベルの格差社会で、攻めるチームと引きこもるチームの棲み分けが明確になされている。バイタルエリアより後ろに11人全員で籠城してひたすら守り続けるなんて試合もざらだ。そこで自分が贔屓にしているトッテナム・ホットスパー(一応攻める側)のムサ・デンベレ(ベルギー代表)が見せるプレースタイルと川西のプレースタイルが本当によく似ている。まさに今日のゴールシーンなんてそのまんま。スピードで振り切るわけじゃなく、相手に寄せられても深い懐で相手の圧を吸収して無効化させて前に出る。ドリブルで1枚はがしてしまえば、あとはスライドしてくる相手にズレが生じ続ける。そうやって何度も分厚いディフェンスのゴールをこじ開けてきた。今日の川西のゴールシーンは何度見てもデンベレのドリブルに見えて仕方ないんだけど、シュートに関しては本家デンベレよりも強烈だったかもしれない。今のチームが良くない時にいつも足りないなと感じるのが「ドリブル」と「勇気」。そのどちらも満たしてフィニッシュまで完璧だった一撃。本当に感動した。
梅鉢と川西は山形繋がり。前節まで金沢のボランチは梅鉢が出ていたけど、今日は大橋にスイッチされてた。前節の横浜FC戦でセットプレーに弱さを見せた大分対策として梅鉢よりも6cm身長の高い大橋を起用したんじゃないかなと思ってる。ただ決勝点のシーンで川西とマッチアップし、そして振り切られたのはその大橋。あそこで山形時代から川西のことをよく知る梅鉢なら対応出来てたんじゃないかなと思うと、勝負の分かれ目はどこに存在してるのか分からないもんだなとも思う。
控えのGK田尻とはガンバ時代かな。
金沢は予想通りに嫌らしいチームだったけど、この苦戦の要因は「勝たなければならない大分」と「勝たなくてもいい金沢」の微妙なバランスが生み出したものに過ぎないと思ってる。見事に我々のやりたいことをつぶしてきたわけだけど、やってることは極限まで振り切ったリアクションサッカーでしかない。あれでは勝つことはまず難しいだろうし、やれて勝ち点1まで。だからこの順位だし、そのサッカーに引きずり込まれずにぶち破ったうちの選手たちを本当に評価したい。
今日は決勝ゴールではなかったけど、勝ち点3を必ず呼び込むノリさんヘッダー。ディフェンス面でも自分よりも身長の高い垣田とよく競り合って自由にさせなかった。そして次節フル出場を果たせば、2年連続フルタイム出場、3年連続全試合出場となる。本当に立派。ディフェンダーとしてリスクあるスタイルに挑戦して、片野坂さんの要求に応え続けてる。クリーンで冷静でケガもしない。本当に素晴らしいディフェンダーに成長しました。
フルタイム出場でいえば、高木もそう。個人調べに間違いがなければ大分トリニータのGKでフルタイム出場を果たしたのは、2009年の周作以来2人目となる。出場時間でいうと、2002年に岡中が記録した42試合3,726分を超えて史上最長時間出場となる。ノリさん同様に一般的なGK以上のタスクを常に求められ、それに果敢にチャレンジしている高木はもっと評価されていい。それと高木の素晴らしいところにサポーターとの接し方がある。ここ1ヶ月関東での試合が続いたので、じっくりと見させてもらったけど、練習が始まる前も高木はすぐに挨拶せずにサポーターの前でじっくりと応援の声を聞いてからアップに入る。サポーターからすると届いてるなって感じるし、応援のしがいがある。失点した試合等自らが納得してない試合の後は例えチームが勝利してもあまりはしゃがない。フクアリでの快勝の試合後、選手たちがゴール裏に来てくれた時、キャプテンのノリさんがメインスタンド寄りに行き過ぎたため、バランスが悪かった整列を最後尾から修正していたのも高木だった。味スタでのもっと近くに来てほしい要求だったり、高木は本当に応援したくなる選手だ。フルタイム出場は是非ともやり切ってほしい。
ホーム最終戦恒例のGKチーム全員集合。これグッとくるよね。
タオルマフラーは単純だけど、密集するとけっこう訴えかけてくる力が強くて好き。コレオは太陽の光がキレイに当たってキラキラして美しかった。どちらも選手には間違いなく届いたはずだ。
これまで生歌はもちろんのこと、CDやラジオでもほとんど聞いたことがなかったんだけど、阿部真央さんのライブが素晴らしかった。プロのシンガーさんにこんなこと言うのは大変失礼だとは思うけど、「歌がうまい」。3曲聴いた感想はこれに尽きる。大分出身という親近感もあるし、これからちゃんと聴いてみようかなと思う。
これが噂の指原さんのパトロンたちからニータンへの贈り物。素敵なデザインもさることながら、台車に目をつけるというセンスが素晴らしい。2試合続けて来てくれた阿部真央さんもそうだけど、指原さんにも本当に感謝しかないなといつも思う。公式やサポがどんだけ頑張っても届けられない層に大分トリニータというクラブを知らしめてくれてる効果は数値じゃ計り知れないものがあるよね。
スポンサー幕が勢揃い。
ホーム最終戦を素晴らしい雰囲気で終えられて本当に良かった。この雰囲気で臨めるラスト1。精神的に楽しいことばかりじゃないけど、このヒリヒリとした状態で過ごせるのもあと少し。この状況を幸せと思って、運命のラスト1に備えたい。
何やかんやと行く機会がなく、ホーム遠征は何と昨年の名古屋戦以来1年半ぶりだった。最終戦でシーズンパスを初めて使い、最終戦の日にグッズ売り場で「イヤーブックありますか?」と聞いたら、あっさり「もうなくなりました」と返されたり、いつの間にかシャトルバスの乗り場が変わってたりと色々と新鮮で、改めてやっぱりホームはいいなと実感した次第。試合前は個人的には恒例の別府の温泉へ。これくらいまで気温が下がってくると本当に気持ちいいし、早起きでぐったりとした体調で行くとなおさらにいい。今日は時間がなかったから1つしか行かなかったけど、出来ればハシゴしたいんだよね。温泉の後、別府の街をフラフラとしたんだけど、けっこうそこかしこにフォトジェニックなところがあるんだよね。やっぱり別府は好きな街だと再認識。
そして「大分銀行ドーム」にお別れをしてきました。あと90分で今シーズンは終わりだから、次来る時は「昭和電工ドーム大分」だね。