Triority(トライオリティ)

四十にして惑う、それがトリニータ。

得点力復活(28節岡山戦)

2018-08-12 12:06:07 | マッチレポート18’
結果として大勝だったからこそあえて一言苦言を呈しておきたい。

終盤のゴールラッシュは先制点の後にやっておいて欲しかった。出来たとも思うし。間違いなく先制点の後に一度緩んだ。蒸し暑いコンデョションだったから「緩めた」とまでは言いたくないけど、間違いなく「緩んだ」。お盆だけに「危ないなー」「恐いなー」と何度もこぼしながら観ていたので、同点ゴールが決まった時は「ハイハイ」としか思わなかった。相手が戦術的な交代カードを1枚しか使えないという圧倒的に有利な条件での試合だったわけで誤解を恐れずに言えば「勝って当たり前」。4ゴール決めるよりも、あそこできっちりとチームが締まった試合の進め方をして1−0で終えていればそっちの方が評価出来た。あの時間帯での試合の進め方、チームとしての意識統一には大きな問題があったと言わざるを得ない。昇格を目指すにはもう一段階チームとして成熟させてほしいところ。


とは言え3連勝。得点力が復活し、チームは復調路線に乗ったと言っていいと思う。今日も前半は引いて守る相手の崩し方を毎度毎度のごとく求められる展開に。しかしラストパスやスイッチを入れるパスの前段階でのミスが多過ぎて話にならない前半だった。ただむしろ何もやってないだけに「ダメな前半」という割り切り方が逆に出来たのかなと思ってた。いつもであれば、「前半は支配は出来てた。あとは後半に決めるだけ。」というハーフタイムの迎え方をして、実はそれは相手のゲームプラン通りで逆襲を食うということが多かったわけだけど、あれだけミスオンパレードの前半なら、後半に対して割り切れるのかなと感じた。それが後半頭からの攻勢に繋がったと思うし、見事な崩しからの先制点となったと思う。相手の分析に対する明確な「解」ではないと思うけど、こういう試合展開もあるんだなという感想。ただ繰り返しになるけど、その後の試合の運び方に問題があった。


現在の中央を3枚にした布陣がこの3連勝を呼び込んでいるのか、さんぺー、前田、岩田とここまで出場機会に恵まれてこなかった選手たちの躍動が呼び込んでいるのか判断がつかないけど、この3人の働きが大きいのは間違いない。さんぺーは3試合4ゴールという結果に表れているので、何の文句のつけようもないし、先制点時の飛び込んでくるタイミングの良さに現在の好調ぶりが象徴されてる。さんぺーに関してはもう心配なのはケガだけだから、そこは神様にお祈りしながらこの「旬」な時期を出来る限り長くと願うばかり。岩田は好調というより体のキレに驚かされる。後半ATに相手ボールホルダーへ寄せていくスピード感に何よりもまず驚きという感情がわいてきた。「スタミナが無尽蔵」という表現がピッタリとくる暴れっぷりだ。そのスタミナがウィルキンソンによって作られてるのだとしたら、毎試合でも差し入れしたい気分だ。そろそろミドルを枠へ。そして前田がいい。現存するサッカー界の用語ではピッタリと説明出来ないポジションを取り続け、相手に捕まえにくさを感じさせ、前に出づらいなという感覚を植え付けさせていると思う。今日は縦パスを入れる回数は少なかったけど、曖昧なポジションで前を向いてプレー出来ている前田の存在が押し込む展開の一つの要因に繋がっていると思う。ここまで本当に悔しい思いをしてきたと思うから、今のポジションを絶対に手放さないって気持ちで必死にやってほしい。今日は先制点にも絡んだし、今の前田は本当にいい。


馬場、ごっちゃん、藤本と途中投入された選手全員が仕事をするという監督としてはこんなにも頭を悩ませる状態はないと思う。2ゴールのごっちゃんも、1ゴール1アシストの馬場も素晴らしかったけど、個人的には藤本の仕事っぷりが印象に残った。特に試合を決定付けた3点目はローングフィードに対して相手の前に入って落として、そのまま止まらずゴール前に入り込み、そして決定的なスルーともうFWの動きとしてパーフェクトと評価していい一連のプレー。2点目にも4点目にも絡み、ゴールという直接的な結果には繋がらなかったけど、ゴール以上の仕事は十分にしてた。伊佐もゴールこそないけど、フィジカルで相手を押し込み組織としての貢献は高いものがあるし、前節見た限りでは決して不調なわけではない様子の林がベンチ入りすら出来ないこの状況はまさに「FW戦国時代」。勝ったチームは変えないが定石と言われるサッカー界だけど、次節FWが2枚そっくり入れ替わっててもそれはそれで不思議じゃない状況だと思う。


様々な企画で試合を盛り上げたこの日の試合。結果は11千人ということで今季最多動員数だった福岡戦の数字にも届かなかったので、企画は失敗だったわだけど、動員に対するアプローチがこれまでとは異なっているような感じた。一時的な数字を叩き出したいのなら無料チケットをバラまけばいいわけで、そうではない企画や仕掛けがたくさんあって数字に表れなかった効果は今後に生きてくると思ってる。この後、チームの成績が上がって、そしてそれが集客に反映されていけば最高だ。


冒頭では厳しいことを書いたけど、7月に我々が勝ち点を積み上げられなかった時期に上に行かれたクラブが現状でなかなか勝ち点を落とさない以上、本当に細かいところまでこだわって勝ち点を積み上げていかなければこの差は埋まらない。仲間に決められた失点にはその部分の足りなさを感じたわけで、難癖を付けたいわけじゃない。再びチームの調子が上昇カーブを描き始めた今だからこそこだわってほしいのはその部分。
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インターハイ初参戦

2018-08-12 10:21:53 | トリニータ
昨日は人生で初めてインターハイの試合を観てきた。去年も仙台に行く予定を立ててたものの諸々と予定が入ってしまい、キャンセルしていた。今年の開催が三重県と聞き、微妙に遠いなと思ったけど、来年の開催は鹿児島県らしいので今年行くしかないということで日帰りで遠征してきた。


昨日はベスト8で会場が四日市と鈴鹿で開催されてた。組合せ的にはどちらでもいいから四日市に行こうと決めていた。昨日はほぼ始発の新幹線で名古屋まで行き、そこから近鉄名古屋線に乗り換えて、四日市を目指してた。この近鉄名古屋線がローカル線の趣きでなかなかいい感じでもうちょっと乗っていたいという気持ちになり、名古屋からの距離でいえば倍くらいにはなるけど、鈴鹿まで行くことに急遽変更。時間的には問題ないものの、駅に着いてから会場に行くまでのバスが分かりにくく、一応シャトルバスはあるものの、そもそも運行開始がキックオフより後というふざけた設定。やむなく乗ったそれっぽい路線バスが着いた先が鈴鹿サーキット。遊園地やプールに行く家族で賑わう様子を見ながら30分近くタクシーをじっと待ってたのは、なかなか切なかった。しかし何とかキックオフに間に合ったけど、自分の軽い気持ちの変化で危うく後悔するところだった。


さて前置きが長くなりました。鈴鹿会場の組合せは、第1試合・桐光学園−富山一、第2試合・山梨学院−日章学園の2試合。







第1試合は桐光のエース西川潤(横浜FMJY 2年)が全てを持っていった。既にプロクラブも注目しているという逸材だけど、その評判に間違いはなかった。全国ベスト8の舞台でハットトリックという結果も目立つんだけど、圧巻だったのは2点目。相手陣内に入ってすぐのあたりからドリブルを開始。寄せてきた複数のDFの間を力強く割っていくと、最後はGKまでかわして難なくシュートを決めてみせた。組合せに恵まれたとかではなく相手がプレミア所属の富山一であることを考えると、なおさらにその凄みが際立つ。選手権で見た時にお兄ちゃんもなかなかいい選手だったという印象だけど、弟はそれを軽く超えてきてる。まだ2年生の夏。ここからが楽しみな選手だ。



西川のハット以外にもゴールを重ねて桐光が5-0の圧勝。



桐光は富山一に早めに蹴らせて最終ラインで跳ね返すという意図を持ってプレスにいってたように感じたんだけど、それに富山一が完全にのってしまい、そしてことごとく桐光の2枚のCBに跳ね返され続けてしまい、終始ペースが掴めなかった。桐光は特に4番の内田拓寿(FC多摩JY 3年)が細身ながらも力強くハイボールを跳ね返していて好印象だった。FK時に壁に入った選手はキッカーに対して、「おら、来いやー!」みたいに声でも威嚇し続けるほどの気持ち先行のチーム。夏はこういうチームが勝ち上がっていけるのかもね。





富山一はここまで7得点(2回のハットトリック)で大会得点王だった小森飛絢(FCひがしJY 3年)が注目だったけど、上記の桐光CBにうまく抑え込まれてしまい悔しい結果に。ただ後半ATに放った左足のミドルはGKのファインセーブで止められてはしまったものの、その鋭さに最後の意地を感じた。ちなみに名前の読みは「ひいろ」。


第2試合の山梨学院−日章学園はスコアが動き続ける面白い試合展開となった。日章学園は正月の選手権でたまたま2試合観てたので、これで2018年に3試合も観たチームとなる。多分高体連のチームでここまで観てるチームは他になく宮崎県と遥か離れた場所にあるチームなのになぜか親近感がわいてしまう。ただそれはたまたまの巡り合わせということではなく、日章がとてもいいサッカーをするというのもある。全国に出てくる強豪としては珍しい中体連からそのまま継続的に強化されてきてるチームで、しっかりと繋いでいくスタイルに戦術が落とし込まれてる様子がうかがえる。去年の選手権ベスト16、インターハイベスト8と着実に結果も残し始めている。



まず一番見たかったのがGKの小原司(日章学園中 3年)。去年からレギュラーGKでクイックなパントで前線へ「ラストパス」を送り、次々とチャンスメイクする攻撃的なGK。そのキックの確かさは隣で見ていた東邦サッカー部の選手たちをも唸らせていた。選手権では惜しくも流経柏に負けたものの、ビッグセーブを連発していて「あわや」を漂わせていた。



フィールドプレーヤーで面白かったのは2人。10番・河原淳(日章学園中 3年)と6番・比嘉将貴(日章学園中 3年)。




河原は前半にセンターサークル内でDF2枚に囲まれたシーンでいったん自陣側に逃げる素振りを見せてからの180°ターンで2枚を一気に振り切り、すぐに40m近くのロングループでゴールを狙った瞬間に会場の空気が一瞬止まったような感覚になった。シュートはGKの頭は越えたものの惜しくもゴールマウスは外れた。ただその技術の高さと視野の広さには非凡なものを感じた。


比嘉は1人ピッチ上で流れている時間の速さが違うタイプの選手。全く慌てないし、パスを出す先のセンスの良さに感心する。





山梨学院の戦術はもう明確なまでに明確。「フィジカルで押しこむ」。もうこれ一本。そしてそれを実行出来るだけのガタイを持った選手が多くいるし、特に高さに関しては出てくる選手みんな大きくて驚いた。でも日章の3番・高田涼汰(日章学園中 3年)が身長では10cm以上高い相手に全く負けないし、空中戦での体の使い方が本当にうまかった。









しかしやっぱり最後に試合を決めるのは「個」の力。1年時から試合に出ていた宮崎純真(FC多摩JY 3年)は山梨学院のエースに成長し、そしてエースとしてビハインドの状態から2ゴールを決めて試合を決着させた。前半はボールが足についてない感じがあって、相手DFに抑え込まれていたけど、特に同点ゴールは何でもない局面から鋭い足の振りだけで決めてしまい、エースとはこういうものというものを見せつけた。


ただクドいようだけど、日章はいいチームだった。


大会はあと準決勝、決勝を残すだけ。昨日は桐光の選手が試合途中に嘔吐が止まらなくなり、途中交代するなんてこともあった。三重も本当に暑くて選手たちも大変だけど、最後まで頑張ってほしい。選手権ばかりが注目されるけど、インターハイも負けず劣らずいい大会。若者のスポーツと夏はこの上なく相性がいい。
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