祝!「考える人」創刊10周年

 今日、郷秋<Gauche>の元に、モノクローム写真の表紙に濃い桃色のタイトルが映える「考える人」2012年夏号(新潮社)が届いた。表紙右上に小さく「創刊10周年」とあるが、その為の特段の記事が用意されている訳ではない、いつもの「考える人」である。

 しかしだ、創刊号から愛読している郷秋<Gauche>としては、もう創刊から10年が経つのかと、いささか感慨深いものがある。だってそうだろう。良質な雑誌がほど良い間隔の季刊しとして創刊はされたものの、最初の1、2年は次号発売間近になっても同じ高さのまま平積みとなっており、新潮社の思惑はともかく、いつ休刊と云う名の廃刊となってもおかしくない状態であったのだから。まさか10年も続くとは思ってもいなかったよ。

 一体全体何部売れているのかは知らないけれど、こう云う良質な雑誌が10年続くと云う事は、本離れと云われて久しい昨今ではあるけれど、まだまだ良い本・雑誌を求める人は少なくないのだと、我が国の読書人の趣味の良さと層の厚さも決して捨てたものでもないだろうと、嬉しい思いの郷秋<Gauche>である。

 創刊からの一年間、「考える人」について書いた記事はなかったが、2003年7月19日付の「1年前から講読している季刊雑誌の話しである」と云う書き出しのblog化以前の記事を見つけた。その中でも「郷秋<Gauche>には結構支持されているこの「考える人」も、郷秋<Gauche>以外の、本当に考えている人々には余り支持されていないようで、次ぎの号が出る頃の山の高さが少しずつではあっても低くなってきているというような兆候は、今のところ見うけられない。残念である。いつまで刊行が続くのか、ハラハラドキドキを提供してくれる「考える人」なのである。」と、さっぱり売れていない「考える人」の行く末を危惧する記述があった(see here)。

 今も昔も、いつまで刊行が続くのかハラハラドキドキの「考える人」ではあるが、とにもかくにも10年目と云う一つの節目を迎えることが出来たことは同慶の至りである。何せ文字がぎっしりつまった「考える人」である。秋号が出るまで、ゆっくりたっぷり楽しませてもらう事にしよう。



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上野の森は郷秋<Gauche>の芸術事始めの地

  あれは小学校5年生の時だっただろうか、家族旅行で東京!に来たことがあった。新幹線の無い時代の東北本線の発着は上野駅だったから、上京して最初に訪れたのが上野の国立西洋美術館と動物園であった。父が美術好きだったからなのだろう、次の日にはブリヂストン美術館にも行ったような気がするが何を見たのかほとんど記憶がないがない。唯一覚えているのが動物園のモノレールと西洋美術館の前庭にあったオーギュスト・ロダン作の「地獄の門」。どうしてこんなおどろおどろしい物を作るのだろうかと思ったものである。

 大学入学直後にその西洋美術館を見学することになるのだが、そそくさと建物の中に入る同級生を尻目に若かりし郷秋<Gauche>はまずは「地獄の門」の前に進み出る。最初の対面から7、8年を経ての再会となったこの時には、西洋文化、つまりキリスト教的に罪深き人間が抱える悩みや困難、そして死後に待っているものが散りばめられているのだろうかと感じたように記憶している

 「地獄の門」の次にはこれまた前提にある「カレーの市民」を見た。どうしてこのような苦渋に満ちた表情、重い足取りなのか訝ったが、その謎は館内のミュージアムショップで買った図録の解説を読んで納得したのだが、「地獄の門」を前に感じたと記憶していたことの大部分は、この図録の解説を読んで知ったことと混同している可能性はある。

 一昨日訪れた東京文化会館大ホールには西洋美術館と前後して足を運んでいる。アムステルダム・コンセルトヘボウかレニングラード・フィル(いずれも当時)のどちらかだったと思うが、何を聴いたのかは判然としない。いずれにしても、大学進学を機に福島から上京した郷秋<Gauche>が芸術としての音楽そして美術に最初に出会ったのが上野の森にある東京文化会館と西洋美術館であったことは間違いがない。だから上野の森は、郷秋<Gauche>の「芸術事始め」の地なのである。


 と云う訳で今日の一枚は、西洋美術館前庭に屹立する「地獄の門」。ちなみに奇を衒っての斜め撮りではない。日曜日唯一のレンズ、35mmで全容を収めようと試みた結果の斜め撮りである。

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7,980円の電子ブックリーダー登場

 楽天が7,980円の電子ブックリーダー「kobo Touch」を発売、19日からコンテンツ配信開始とのニュース。

 電子ブック普及の鍵は端末機が安い事あるいは手持ちの端末機で読めること、コンテンツが豊富で廉価であること、そして電池寿命が長いことだろうと思う。少なくとも郷秋<Gauche>の場合はそうだ。さて、「kobo Touch」はどうなんだろうね。

 文庫・新書10冊分の7,980円は文句なしの価格だろう。これ以上安いとどこかに怪しい仕掛けがあるんじゃないかと勘繰りたくなる。勿論この価格だって、コンテンツで稼げばよいと云う作戦が見え見えの価格ではある。以下、広報された情報を元に、郷秋<Gauche>的突っ込みを入れておこう。

>Kobo社は、世界190ヵ国、900万人が利用する世界有数の電子書籍サービス
世界的なマーケットがどの程度の規模で、900万人と云うのはその何パーセント程度に当たるシェアなのかが示されていない所が、怪しいい。

>コンテンツ数は日本語以外のコンテンツを含め、約240万冊を用意
約240万冊は良いとしても、日本語のコンテンツが100冊だったら話にならんだろう。日本語のコンテンツ数を示していない所が、怪しい。

>端末の重さは185gと軽量
軽量なのは良いとしても、それと引き換えにバッテリーが3時間しか持たないとしたら、それは使い物にならん。内臓バッテリーでの稼働時間が書かれていない所が、怪しい。

>コンテンツフォーマットは、「EPUB3.0」を採用し、日本語の縦書きやルビ表示など日本語独特の表現に対応
しているのは朗報か。もっともEPUB3.0なるフォーマットが電子ブックの事実上の標準もしくは長期間にわたって存続し得る非常に有力な規格の一つになることが保証されていれば良いが、古くはエルカセットやベータマックス、VHDのように消えて無くなってしまう規格じゃぁ、困るのだ。だからまだ当分様子見の郷秋<Gauche>であるぞ。

 と云う訳で今日の一枚は、つい先日読み終えた新書と、読みかけの文庫。年季の入った革のカバーをかけた文庫本の方は10数年前に買ったものだが、時々引っ張り出してはバッグに放り込んで、何もすることがなくなると読んでいる宮沢賢治。なんだか今頃話題になっている「グスコーブドリの伝記」などが収められた一冊である。

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久しぶりの上野

 昨年秋以来の上野でした。ここ数年、小ホールには年に2、3度足を運んでいたのですが、大ホールはホントに久しぶり。この前はいったい何時来たのか思いだせないほど昔のようです。
 さて、今日はマチネーで山下一史氏の指揮の東京都交響楽団、ブラームスの悲劇的序曲 op.81、ソリストに渡辺玲子(Vn) 長谷川陽子(Vc)両氏を迎えブラームスのヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲 イ短調 op.201そしてベートーヴェンの第7番 イ長調 op.92。なかなか聴きごたえのあるプログラムでした。しかしなぁ、どうしてブラームスはチェロ協奏曲を書かなかったんだろうか。


 と云う訳で今日の一枚は、JR上野駅のアトレ・レストラン街から中央改札口前コンコースを見下ろす図。

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