アブソリュート・エゴ・レビュー

書籍、映画、音楽、その他もろもろの極私的レビュー。未見の人の参考になればいいなあ。

Kruder & Dorfmeister Session

2005-10-15 12:43:01 | 音楽
『Kruder & Dorfmeister Session』 Kruder & Dorfmeister   ☆☆☆  前々から聴いてみたいと思っていてなかなか手が出なかったCDだが、ようやく買ってみた。なかなか手が出なかったのはリミックス集だからだ。私はリミックス集というものであんまり良い経験をしたことがないのである。しかも二枚組だし。  さて、ついに入手したKruder & Dorfmeis . . . 本文を読む

ブラック・ヴィーナス

2005-10-13 09:27:03 | 
『ブラック・ヴィーナス』 アンジェラ・カーター   ☆☆☆★  本日読了。イギリスの女流作家で、ボルヘスやマルケスと並ぶマジック・リアリズムの作家という評価を得ている人らしい。初めて読んだ。本書は自選短篇集。8篇収録されている。  マジック・リアリズムというのはきっと人によっても色んな定義があり、一概にこうとは言えないものなのだろうが、私は本書からちょっと違う印象を受けた。題材やプロットの選び . . . 本文を読む

Charlie Parker With Strings: The Master Takes

2005-10-12 08:20:39 | 音楽
『Charlie Parker With Strings: The Master Takes』 Charlie Parker   ☆☆★  チャーリー・パーカーがストリングスをバックに演奏するテイクを集めた全24曲。それぞれの曲は大体2~3分の長さ。  ストリングスはクラシック的なものではなくて、もろムード音楽。昔のハリウッドの恋愛映画で流れそうな感じの音である。曲調も特に前半はずっとそんな感 . . . 本文を読む

屍鬼

2005-10-11 07:09:35 | 
『屍鬼』 小野 不由美   ☆☆☆☆  友人から借りて読んだ。えらく分厚い本だった。上巻も分厚いが下巻は更に分厚い。持ち歩くのは大変である。  上巻の扉に「To 'Salem's Lot」とあるように、これはスティーブン・キングのセイラムズ・ロット、邦題『呪われた町』を意識して書かれた小説である。意識してというか、設定や前半の展開はほとんど翻案と言っていいぐらいそのまんまである。のどかな田舎の . . . 本文を読む

10ミニッツ・オールダー

2005-10-09 05:34:40 | 映画
『10ミニッツ・オールダー』 オムニバス   ☆☆☆☆  有名監督15人の競作オムニバス。こんな企画があったなんて全然知らなかったが、米国でもやったのだろうか。面白そうだったので日本版DVDを購入。  有名監督と言っても私は半分ぐらい知らなかった。最大のお目当ては何と言ってもビクトル・エリセである。彼が入っていなかったら買わなかっただろう。  持ち時間は各人たったの10分ずつ。ワン・アイデアで . . . 本文を読む

快盗ルビイ・マーチンスン

2005-10-08 09:40:42 | 
『快盗ルビイ・マーチンスン』 ヘンリイ・スレッサー   ☆☆☆  和田誠さんの映画『快盗ルビイ』の原作である。短篇が十話収録されている。映画では小泉今日子がコケティッシュな快盗ルビイを演じていたが、原作のルビイは23歳の男で、会計士である。眼鏡をかけていて、そばかすがある。ハイスクールを出たばかりの「ぼく」が語り手で、ルビイは「ぼく」のいとこにあたる。「ぼく」はルビイが思いつく犯罪計画の数々に無 . . . 本文を読む

青い虚空

2005-10-06 08:17:22 | 
『青い虚空』 ジェフリー・ディーヴァー   ☆☆☆★  原題は、The Blue Nowhere。ブルー・ノーウェア。何というかっこいいタイトルだろうか。まずそれに感心した。もし私が今バンドを作るとしたら、バンド名はブルー・ノーウェアで決まりである。  これはディーヴァーの造語らしい。要するにサイバースペース、ネット世界のことである。本作は悪質なクラッカーと、それを追う刑事と凄腕ハッカーの活躍を . . . 本文を読む

アンド・ザ・グラス・ハンデッド・カイツ

2005-10-04 08:57:22 | 音楽
『アンド・ザ・グラス・ハンデッド・カイツ 』 MEW   ☆☆☆☆  『フレンジャーズ』が良かったので、かなり待ち遠しかったMEWの新作である。最初は去年発売予定だったので、一体いつになるのかと気をもんだ。  それにしても、このジャケットの趣味の悪さは何なのだろうか。ギャグなのか?Amazonから届いたパッケージを開けた時は配送ミスかと思った。どう見てもB級メタルバンドのジャケットである。ジャ . . . 本文を読む

天国への階段

2005-10-03 05:20:17 | 
『天国への階段(上・下)』 白川道   ☆☆☆☆  友人から借りて読んだ。この作家さんは名前を知らなかったが、面白かった。ミステリである。ミステリといってもパズラーではなく人間ドラマである。ピカレスク・ロマン、というものの一種だろうか。重厚な読み応え。  北海道の絵笛にある牧場で育ち、幼なじみの亜木子と将来を誓った柏木圭一は、牧場を奪われ、亜木子を奪われ、父は悲惨な死を遂げる。天涯孤独となった . . . 本文を読む