アブソリュート・エゴ・レビュー

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太陽にほえろ! ジーパン刑事編(その2)

2006-08-06 00:34:36 | テレビ番組
(昨日からの続き)

 そして終盤、ジーパンとシンコが愛を育み、そして悲劇を迎える『愛が終わった朝』『葬送曲』『走れ猟犬』『ジーパン・シンコ その愛と死』の四部作。これはもう涙なくしては見れない。特に『ジーパン・シンコ その愛と死』の悲痛さは、シンコとの結婚を控えての殉職という設定もあり、マカロニ殉職の衝撃を上回っていると思う。

 しかしこの『ジーパン・シンコ その愛と死』、ジーパン殉職以外にも見所が多い傑作である。シンコへの唐突なプロポーズや、おふくろに報告する時の「美人でもないし、性格も問題あるけれども、まあなんとかなるんじゃないかと思って」というセリフもいいし、何と言ってもこれはジーパン最初で最後の本格的な銃撃戦をフィーチャーしたエピソードなのだ。ということはつまり、松田優作最初の本格的な銃撃アクションということになるんじゃないか。拳銃片手に猫背気味に背中を丸めて物陰へ走る、銃を握っている指を何度も確かめるように握り直す、というような、後に『遊戯シリーズ』や『蘇る金狼』で堪能できる優作独特のアクションを、ここで初めて見ることができるのだ。

 そしてそのアクションの後に来る衝撃の殉職シーン。優作のアドリブだったという「なんじゃこりゃあ!」はあまりにも有名だが、あの死に間際の表情、「死にたくないよ…なんで死ぬんだよ、おれ…」というセリフなど、かっこいいアクションヒーローだったジーパンが見せるあまりにも悲痛な死にザマは、インパクトありすぎである。しかし、結果的にジーパンを撃ち殺すことになるこの会田という男の情けなさはもう絶句ものだ。ジーパンに助けを求めて、実際に助けてもらいながら、あまりにビビリすぎて命の恩人であるジーパンを撃ってしまい、「ひゃあ!」などといいながら走って逃げてしまう。こんな奴を助けるために命を張ったジーパンはなんだったんだということになる。ジーパン・ファン全員の気持ちを代弁して言わせてもらう。お前が代わりに死ね。

 さて、ジーパン以外のキャラクターもだんだん掘り下げられて面白いエピソードが増えてきた。特に印象的なのは殿下こと島刑事だ。フェミニストでお坊ちゃん的なキャラクターだった殿下、ジーパン編ではハードなエピソードが多い。なんと言っても凄いのは『鶴が飛んだ日』である。捜査の過程で麻薬を打たれ、麻薬中毒になってしまうのだ。犯人グループが捕まった後、山さんは殿下と自分を手錠で繋ぎ、地下室にこもる。やがて禁断症状が現れ、狂ったように暴れ回る殿下。ここでの殿下こと小野寺昭の演技は鬼気迫ると言わずして何と言おうか。ものすごい迫真の演技で、見ていて辛いにもほどがある。これが延々と続くのである。殿下は女性ファンが多かったらしいが、みんなにトラウマを残したに違いない。それぐらい衝撃的なエピソードである。

 それから『プロフェッショナル』では金庫破りの身代わりになって犯人グループへまぎれこむ。これもなかなか印象的なエピソードだった。『オリの中の刑事』では逮捕されて牢屋に入れられる。『島刑事 その恋人の死』ではあんなに美人で気立ての良かった恋人をひき逃げされてしまう。品が良くて優しげな殿下だが、にもかかわらずというかそれゆえにというか、悲劇的なエピソードが多い。

 ゴリさんはそのタフさゆえか、犯人の人質になってボコボコにされるという話がやっぱり多い。『手錠』『人質』あたりががそうだ。ちなみに『人質』ではテレビ初出演の中村雅俊が見れる。しかし同じパターンで山さんが人質になってしまう『俺の血をとれ!』はなんとも恐い話だった。犯人グループの一人が怪我をしていて、同じ血液型の山さんは「俺の血をとれ!」と言う。犯人達は容赦なく山さんの血を抜き、だんだん山さんは蒼白になり死に近づいていく。もちろんギリギリセーフで助かるが、どんどん血を抜かれるというのは恐怖である。もしあれで山さんが死んでいたら最も壮絶な殉職として語り草になっていただろう。

 『マカロニを殺したやつ』も忘れちゃいけない重要エピソードである。いきなりマカロニ殉職シーンから幕を開けるこのエピソード、マカロニ殺害犯人と目される容疑者を逮捕する時の殿下や山さんの尋常でない凶暴さにジーパンは驚く。マカロニ殉職が七曲署刑事達にとっていかに大きなトラウマであるかを如実に示すシーンだ。そしてジーパンがポロッと「マカロニって人、本当にみんなに愛されてたんですね。なんだかうらやましいなあ。もし俺が死んだら……」と言った時の長さんの怒り。エピソードの最後、死んでしまったマカロニと対比するように、元気に駆けて行くジーパンの姿が映し出される。しかしそのジーパンも悲痛な殉職を迎えることを知っている私達には、そのシーンさえどこか悲劇的に見えてしまう。

 それにしても、シンコはなんとかわいそうな女性だろうか。幸薄いとはこのことである。過去愛したジャーナリストは死んでしまい(マカロニ編『影への挑戦』で出てくるが、『飛び出せ!青春』の村野武範がやっている)、なんとなくいい雰囲気だったマカロニは殉職、そして愛し合って婚約までこぎつけたジーパンもまた殉職。ジーパンの殉職とともにシンコの出演はなくなってしまうが、その後なんとか幸せになっていて欲しいと思うのは私だけじゃないだろう。

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