アブソリュート・エゴ・レビュー

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ラーメンズ DVDボックス :『雀』

2006-03-25 18:49:59 | 演劇
ラーメンズ DVDボックス :『雀』   ☆☆☆

 DVDボックス最後の一枚。最初の『お時間様』は、仕事でミスをした男が時間を戻してもらうために「お時間様」のところへやってくる話。まあまあ面白い。一番笑えるのはやっぱり「パチンコだいがく」の文字が入れ替わってどんどん変わっていったりする言葉遊びの部分である。やっぱり、こういうナンセンスな言語感覚はラーメンズの最大の武器の一つだと思う。

 『許して下さい』はぶすっとしている片桐の横で小林がひたすら機嫌を取ろうとする話。ほとんど小林の一人芝居だ。『ネイノーさん』は小林が「バカじゃねいのー」を連発するネイノーさんを演じるコントで、いつものパターンと違って片桐がまとも、小林が壊れている。小林の奇行連発で、得意の微妙な物まねもいくつか披露。まあ何と言うか、小林の女性ファンが「かわいー」と喜びそうなコントであるが、個人的にはそれほど面白くなかった。物まねの部分だけまあまあ面白い。

 『男女の気持ち』は『select』に収録されているコントで、なかなか見ごたえがある。小林がキムタクの物まねをする。すごく似ているわけじゃないが、面白い。それから失恋する女の子を熱演して、歌を歌ったりする。これも笑える。

 という風に、小林がボケをかますコントが結構多いのがこの『雀』の特徴である。ラーメンズは小林が全部脚本を書いていること、片桐のキャラクターのインパクトが強いこともあり、小林が頭脳であり演出家、片桐がパフォーマー、という印象が強いが、その図式を壊そうとしたのかも知れない。

 『プレオープン』『人類創生』はSF的なコントで、設定はラーメンズらしいがあまり印象に残らなかった。最後の『雀』は、例によって演劇的なコントである。『器用で不器用な男と不器用で器用な男』と似たパターンで、奇人片桐が最初は強がっているがやがて哀愁を漂わせる。

 個人的な好みで言うと、このボックスに入っている『零の箱式』『椿』『鯨』『雀』の中ではこの『雀』が一番印象が薄かった。お薦め順に言うと、『椿』、『零の箱式』、『鯨』、『雀』となる。しかしまあ、どれもこれも凝っているというか、手を替え品を替えいろんなコントを作り出す工夫はすごいと思う。もう一つDVDボックスが出ていて、そちらも観てみたい気はするが、買うかどうかは分からない。とりあえずおなか一杯になった。


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