アブソリュート・エゴ・レビュー

書籍、映画、音楽、その他もろもろの極私的レビュー。未見の人の参考になればいいなあ。

真夏の方程式

2018-11-16 17:19:18 | 映画
『真夏の方程式』 西谷弘監督   ☆☆☆★  日系ビデオ屋のレンタルDVDで再見。ご存知、福山雅治主演のガリレオ・シリーズである。東野圭吾の原作は既読。  割と最近の映画だった気がしていたが、2013年公開なのでもう5年前ということになる。月日のたつのははやいものです。ガリレオ・シリーズの映画としては『容疑者Xの献身』に続く二作目ということになる。『容疑者X』が都会の冬を舞台にした映画だったの . . . 本文を読む

春のソナタ

2018-11-06 20:35:37 | 映画
『春のソナタ』 エリック・ロメール   ☆☆☆☆★  ロメール「四季の物語」のひとつ、『春のソナタ』を所有しているブルーレイで再見した。私は「四季の物語」では『恋の秋』が一番好きなのだが、この『春のソナタ』も『恋の秋』には及ばないまでも、やっぱりロメール独特の香気に溢れる佳作である。  まず、例によって映像の美しさに魅せられる。今回の季節は春なので、生命が芽吹く春の暖かい感触がすべてを包み込ん . . . 本文を読む

日本で一番悪い奴ら

2018-10-28 14:56:06 | 映画
『日本で一番悪い奴ら』 白石和彌監督   ☆☆☆☆  日系レンタルビデオのDVDで鑑賞。主演、綾野剛。『怒り』に続いて綾野剛出演作を観たわけだが、もうまったく正反対といってキャラである。繊細で内気なゲイの青年と、チンピラヤクザまがいの悪徳刑事。この人はイケメン的に騒がれている役者さんのようだが、相当幅が広い演技者であることは間違いない。しかも、この映画ではかなりの汚れ役だ。文字通り体当たり演技だ . . . 本文を読む

怒り

2018-10-14 23:51:06 | 映画
『怒り』 李相日監督   ☆☆☆  評判がいい映画のようだったので日系レンタルビデオ屋のDVDで鑑賞。結論から言うと、まあまあレベルだった。駄作ではないが、傑作とまでは言えないだろう。最近分かってきたが、日本で評価が高いある種の邦画は私の感性にあんまりフィットせず、自然、点が辛くなってしまう。それはどんな映画かというと、大体において暗く、深刻で(もしくは深刻ぶっていて)、登場人物が頻繁に泣いたり . . . 本文を読む

ハッピーエンド

2018-10-08 23:42:34 | 映画
『ハッピーエンド』 ミヒャエル・ハネケ   ☆☆☆☆☆  ハネケ監督の新作を、日本版ブルーレイで鑑賞。いやー面白かった。大傑作。ひとつひとつのシークエンスがいちいち独創的で、かつ美しい。といってもこれは心温まる映画などではまったくなく、辛辣かつブラックな、小説でいえばイアン・マキューアン・タイプの作品である。いわゆるハートウォーミングの対極にある映画だと思っていれば間違いない。  フランスはカ . . . 本文を読む

歓待

2018-10-02 21:53:32 | 映画
『歓待』 深田晃司監督   ☆☆☆☆  『淵に立つ』が面白かった為、深田晃司監督の初期作品『歓待』のDVDをアマゾンで入手。これも面白かった。小さな町工場を経営する家族、そこへある日やってくる昔の知り合い、そこで住み込みで働くことになり、家族と一緒に暮らし始める。という具合に、途中まで『淵に立つ』そっくりである。家族構成は再婚した夫婦と夫の連れ子と出戻りの姉、と異なるが、微妙な均衡をはらむ家族と . . . 本文を読む

フォー・ウェディング

2018-09-19 21:56:14 | 映画
『フォー・ウェディング』 マイク・ニューウェル監督   ☆☆☆☆  所有するDVDで久々に再見。私は何を隠そうヒュー・グラントのファンなのだが、これはそのヒューのブレーク作である。脚本は後に『Love Actually』を監督するリチャード・カーチス。ロマコメ・ファンならとっくの昔にご存知の通り、本作はその後のヒューの十八番となるロマコメの原型であり、また一つの完成形と言っても過言ではない。 . . . 本文を読む

父、帰る

2018-09-04 21:37:48 | 映画
『父、帰る』 アンドレイ・ズビャギンツェフ監督   ☆☆☆☆☆  ズビャギンツェフ監督のデビュー長編『父、帰る』を英語版ブルーレイで鑑賞。定規で測ったような幾何学的風景と超美麗な映像、哲人タルコフスキーを思わせる重たい静謐と瞑想性はこのデビュー作から歴然としている。かつ、すべてを説明し尽くさず数々の謎をそのまま放置する大胆なスタイル、すべてのシーンにみなぎる冷たい緊張と不安感など、この監督はあら . . . 本文を読む

淵に立つ

2018-08-29 22:13:16 | 映画
『淵に立つ』 深田晃司監督   ☆☆☆☆★  日系レンタルビデオのDVDで鑑賞。どんな映画か知らずに観たが、なかなか面白かった。とても怖い映画だが、ホラーでも猟奇殺人でもない、あんまり似た作品を思いつかないユニークな映画である。ジャンルでいうとサイコ・サスペンスとヒューマン・ドラマの中間ぐらいか。ブラックなコメディ風味もちょっと入ってる。  町工場を営む一家に、ある日八坂(浅野忠信)という男が . . . 本文を読む

希望のかなた

2018-08-16 20:05:14 | 映画
『希望のかなた』 アキ・カウリスマキ監督   ☆☆☆☆  大好きなカウリスマキ監督の新作が出たということで、日本版ブルーレイを購入して鑑賞(米国でも劇場公開されたんだろうが気づかなかった)。前作『ル・アーブルの靴みがき』に続く、難民三部作の第二作目という位置づけになっている。  ということで、主人公はシリアからフィンランドにやってきた難民カーリド。そしてもう一人、離婚し、仕事替えをしてレストラ . . . 本文を読む