goo blog サービス終了のお知らせ 

ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『ナショナル・トレジャー/リンカーン暗殺者の日記』

2008-01-02 13:12:05 | 映画
(原題:National Treasure: Book of Secrets)

-----昨日の元旦は、2本連チャンしたんだよね。
どっちから喋るの?
「う~ん。
最初からホラーというのもなんだし、
やはりお宝の話からの方が縁起がいいかも」

-----にゃるほど。それはそうだ。
これ、ほんとうは観る前は
あまり期待していなかったでしょ?
「うん。前作『ナショナル・トレジャー』が“トレジャーハンターもの”と言いながらも、
アメリカの大都市の間で歴史的建造物を行ったり来たり。
あまり夢を感じなかったんだね。
で、今回の副題が『リンカーン暗殺者の日記』とくれば
またその延長と思っても仕方ない。
でもこれは原題とは違っていて
ほんとうは『Book of Secrets』。
ここには歴代大統領が受け継いできた最重要秘密が書かれているんだ」

------でも、それも似たようなもんじゃ。
アメリカ国内のお話だし。
「まあね(笑)。
ただ、今回はその秘密を解くために
パリに行ったり、ロンドンに行ったり。
しかもクィーン・エリザベスの部屋や大統領執務室に忍び込み、
ついには大統領を誘拐までしてしまう。
そのあたりに、いろんな映画的記憶が詰め込まれているんだ。
たとえば、クィーン・エリザベスの部屋から見つけ出した
古代の文字版を解読するのが『クィーン』のヘレン・ミレン(笑)。
大統領のパーティへの忍び込み方は『007/ロシアより愛をこめて』。
そういうところが、この映画の楽しさだね」

------でも、肝心の宝探しはどうなってるの?
第一、どんなお話ニャの?
「じゃあ、かいつまんで。
主人公ベン・ゲイツ(ニコラス・ケイジ)の先祖の一人が、
リンカーン暗殺の影の首謀者と疑われてしまうんだ。
詳しい説明は避けるけど、その疑いを晴らすためには
南北戦争に敗れた南軍が狙っていた宝を探さなくてはならず、
その宝を追ううちに、彼らは黄金の都市の存在を知る---こういうことだね」

------うわあ、スケール大きいニャあ。
「でね。その遺跡はなんとラシュモア山近くの秘密洞窟に眠っているんだ。
もちろん見つけてからも簡単にはいかず、
洞窟内に閉じ込められて危機また危機の連続。
間一髪で脱出というところは
ほとんどインディ・ジョーンズのノリだね。
しかもこのクライマックスには
前作よりたっぷり時間をかけてある。
思うにこの映画、
ニコラス・ケイジじゃなく
往年のハリソン・フォードとかがやれば、
もっと日本人も楽しめる映画になっただろうね」

----そう言えば、『インディ・ジョーンズ』、
新作が19年ぶりに今年6月公開だよね。
「うん。ここで気になるのが
その冒険の変化。
インディの息子が出てくるということは
時代も原題か、もしくはそれに近くなる。
たとえば、この『リンカーン暗殺者の日記』では
携帯電話のカメラ機能を始め、
パソコンがフル導入。
もしインディがそうなったら世界観が変わっちゃう」

----それは大丈夫そうだよ。
『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』は
1957年頃のお話ニャんだって。
携帯なんか使われるはずないよ。
「フォーン、もしかしてぼくより詳しくない?(笑)」



         (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「年末ジャンボ、当たらなかったニャ」もう寝る

※ちょっとCM。ドラマ仕立てです。(画像をクリックしたらスタート!)
「寒い家」


※『グーニーズ』のような海賊船も宝船もない度

人気blogランキングもよろしく

☆「CINEMA INDEX」☆「ラムの大通り」タイトル索引
(他のタイトルはこちらをクリック→)index orange
猫ニュー

画像はアメリカ・オフィシャル(ダウンロードサイト)wallpaperより。

『2007 無人島に2週間。フォーンと行くならこの14本』

2007-12-30 16:00:07 | 映画
----さて2007年の総ざらい。
今年は、どのアプローチでいくのかニャ。
確か、去年は
『2006 無人島に行くならこの10本』
だったよね。

「うん。今年はここで喋らなかった以外にも観ているから、
例年にもなく母数が大きすぎて、
なかなか絞りきれなくて…。
いくつか候補を出しただけでも、
あっという間に軽く40本は超えてしまった。
そこで少し細かくブレイクしてみたんだ。
でも難しくて今年は『2007 無人島に2週間。フォーンと行くならこの14本』
ちょっと滞在を長くしちゃったけどいいかな」


----まあ、いいけどその間、退屈させないでね。

「うん。じゃあ、まずはサクッとタイトルだけ。


●1日目●2007年裏ベスト-------------------------------------『ボビー』
●2日目●さすが巨匠!ウムを言わせぬ160分-------------『ディパーテッド』
●3日目●やってくれました2007年の新鋭-----------------『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』
●4日目●笑って笑ってオバカ映画-------------------------- 『俺たちフィギュアスケーター』
●5日目●唖然、呆然、鬼才の“毒”演----------------------『絶対の愛』
●6日目●自国の歴史を見つめる------------------------------『善き人のためのソナタ』
●7日目●映画と青春、青春と映画-------------------------- 『グミ・チョコレート・パイン』
●8日目●喪失と救済------------------------------------------- 『再会の街で』
●9日目●幸せなら歌歌おう------------------------------------『ラブソングができるまで』
●10日目●エロスの誘惑----------------------------------------『リトル・チルドレン』
●11日目●年齢なんて知らないよ---------------------------- 『やわらかい手』
●12日目●名画座に行ったつもりで------------------------- 『ボビーZ』
●13日目●いつかはやると思ってた------------------------- 『サッド ヴァケイション』
●14日目●2007年表ベスト-----------------------------------『河童のクゥと夏休み』



なあんて選んでみたけど、
やはり悩んじゃうなあ。
たとえばここにあげた以外でも

「●2日目●さすが巨匠!ウムを言わせぬ160分」
長時間飽きさせないということでは『ゾディアック』『バベル』
『ブラッド・ダイヤモンド』も入れたくなっちゃう。
「●4日目●笑って笑ってオバカ映画」は差別表現に一石を投じた『リンガー!替え玉★選手権』
それに『ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習』も過激だったね。
「●5日目●唖然、呆然、鬼才の“毒”演」は日本だと『エクステ』『松ヶ根乱射事件』
「●6日目●自国の歴史を見つめる」は同じくドイツ映画の 『4分間のピアニスト』
の他に『約束の旅路』『あなたになら言える秘密のこと』『サラエボの花』も忘れがたい。
イギリスの『クィーン』やオランダの『ブラックブック』もこの範疇かな。
『それでもボクはやってない』は歴史というよりも現在の裁判制度を見つめた中で、
日本が抱えるさまざまな問題を浮き上がらせてくる。
「●9日目●幸せなら歌歌おう」は『ドリームガールズ』もあったっけ。
「●10日目●エロスの誘惑」は見方によっては『あるスキャンダルの覚え書き』
それに『ラストキング・オブ・スコットランド』も、そうとも言える。
「●11日目●年齢なんて知らないよ」は“男性版”として
『世界最速のインディアン』も入れたいところ。
少年が主人公の映画ではハードボイルドなその生きざまに敬意を表して 『この道は母へとつづく』
「●13日目●いつかはやると思ってた」は 『クワイエットルームにようこそ』の松尾スズキもかな」


----あれれ、お得意の青春映画は…?

「もう、これはいっぱいありすぎて…。
これだけで別のベスト10ができちゃう。

『グミ・チョコレート・パイン』のほかに
『あしたの私のつくり方』
『恋する日曜日 私。恋した』
『キャプテン』
『バッテリー』
『天然コケッコー』
『ディセンバー・ボーイズ』


---分かった分かった、もういいよ(笑)

フォーンの一言「しかし、映画ってほんといろいろあるニャあ」
身を乗り出す

※2007年の五つ星だ度人気blogランキングもよろしく

☆「CINEMA INDEX」☆「ラムの大通り」タイトル索引
(他のタイトルはこちらをクリック→)index orange
猫ニュー


※ちょっとCM。ドラマ仕立てです。(画像をクリックしたらスタート!)
「寒い家」

『ナンバー23』

2007-12-02 16:20:17 | 映画
(原題:The Number 23)

-----昨日の映画の日は、迷いに迷ってこれにしたんだよね。
「うん。監督がジョエル・シュマッカー。
彼はこういう小さなサイズの作品の方があっている気がして…」

----う~ん。だけどちょっと変な映画だったよね。
「それもかなりね。
ツッコミどころが多すぎて…。
第一、ヴァージニア・マドセンはなぜあの本を古本屋で見つけて、
しかもジム・キャリーに読めって言ったの?
そういうのがすべてラストで解決して納得するというのなら分かるけど、
どう見ても偶然に頼りすぎ。
いっそのことオカルトにしてしまった方がすっきりしたと思う」

-----でも映像とかはオモシロくなかった?
「画像処理をいろいろやってはいたけど、
それがあまり効果的には見えなかったな。
そうそう、あのホテルの23号室。
ああいうのは日本人の方が別の恐さを出せそうだね。
清水崇とか上手そうだ」

----なかなか手厳しいニャあ。
「23という数字はその昔から神秘の数字とされていたという
オープニングクレジットの映像は
なかなかゾクゾクさせてくれただけに
ほんと残念だ」



         (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「フォーンは数字の計算弱いニャ」もう寝る


※ちょっとCM。ドラマ仕立てです。(画像をクリックしたらスタート!)
「寒い家」


※体中文字(数字)だらけ。「耳なし芳一」を思い出した度

人気blogランキングもよろしく

☆「CINEMA INDEX」☆「ラムの大通り」タイトル索引
(他のタイトルはこちらをクリック→)index orange
猫ニュー

『キングダム 見えざる敵』

2007-10-21 11:57:53 | 映画
(原題:The Kingdom)

-----せっかく映画館に一緒に観に行ったのに、
ニャんだか複雑な顔しているね。
「いや、最初はオモシロかったんだよ。
特にあのオープニング・クレジットのバックに流れる説明。
サウジアラビアという国の歴史を分かりやすく紐解いてくれる。
アメリカとの関係も『華氏911』の記憶を呼び覚ましてくれて
これはスゴいことになるのでは……と興奮」

----あの世界貿易センターを模したグラフもよかったよね。
「うん。
すると、映画としてはサウジとアメリカの関係の暗部が絡むのかと思うじゃない。
ところが、FBIの一人がテロに巻き込まれて死んだことから4人が現地へ。
そこでの捜査が中心になって物語が平板になってしまう。
それってそんなに目新しいものでもなく
申しわけないけど欠伸が…」

----申しわけない?
「うん。テーマがテーマだけに
襟を正して観なくてはいけないとは思うんだけど、
どうしてもこの演出にはノレなかった」

----テーマは“復讐の連鎖”だよね?
「そのテーマについては前に人から聞いていたため、
あのラストの二つの会話のカットバックは
ある程度想像が…。
でも、それでもテロリストの孫の視線にはゾクッときたね。
ただ、そのテーマ性は別として
FBI員の一人の誘拐に始まる追跡、銃撃、奪還のアクションは
完全に眠気を吹き飛ばしてくれたね。
一瞬の気のゆるみが死につながるという極度の緊張状態の中の戦い。
生か死かを賭けたあの戦いは
それこそ現場に居合わせたかのような迫力。
ピーター・バーグって監督、
ドラマよりもアクションの方が向いていると言ったら、
やはりこれは失礼かな」

---そう言えば彼が監督した『プライド・栄光への絆』でも
手持ちカメラで
ドキュメンタリー的な雰囲気を出していたよね。
「『ベリー・バッド・ウェディング』もブラック感覚が秀逸な映画だったよね。
やはり本質はエンターテイメントの監督なのかも」


         (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「フォーンも怖かった。目が開けられなかったニャあ」もう寝る

※もう一回観たら変わるかもだ度

人気blogランキングもよろしく

☆「CINEMA INDEX」☆「ラムの大通り」タイトル索引
(他のタイトルはこちらをクリック→)index orange
猫ニュー

画像はアメリカ・オフィシャルより。

『人が人を愛することのどうしようもなさ』

2007-10-08 22:49:46 | 映画
「さて、今日もずっと前に観た映画の話をしちゃうかな」
----あ~あ。石井隆の長いタイトルの映画ね。
こういうの苦手な方じゃなかった。
女性がいたぶられて堕ちていく話でしょ?
「う~ん。でもね、
その実、石井隆の映画は
女性が悲惨な目に遭いながらも物語の最後には再生し美しく輝くという、
男性に対する優位性(と言っていいのかな?)を描いているんだ。
特に『天使のはらわた』をはじめとする
名美シリーズではそれが顕著に表れている」

----今回もその名美シリーズというものニャの?
「うん。21世紀最初の名美映画。
このシリーズでは
堕ちていく名美をひたすら愛する村木の存在が語られることが多いんだけど、
今回は、役名こそ違うもののマネージャー役を演じる津田寛治が
その役割を受け持っている」

----ちょ、ちょっと。
いきなりマネージャーと言われても
ニャンのことか、さっぱり分からないよ。
「そうか、ごめんごめん。
映画の大筋はこういうもの。
喜多嶋舞演じる女優・名美。
彼女は私生活では同じく俳優の夫・洋介(永島敏行)と破局の危機を迎えていた。
多忙を極める名美を横目に、
下り坂の洋介は若い女優(美景)と浮気。
現在撮影中の新作映画では、夫・洋介が名美演じるヒロイン鏡子の夫役として共演。
しかも、洋介の浮気相手の女優まで出演という
スキャンダラスなキャスティングがマスコミの注目を集め、
マネージャーの岡野(津田寛治)はその対策に忙殺されていた。
そんな中、ひとりの編集者・葛城(竹中直人)が
名美にインタビューを試みる。
さて、その映画の内容が問題。
夫の不倫と粗暴な行為に傷つき悩む“鏡子”は
夜ごと売春婦としてネオンの街に立つ」

----うわあ。ワケ分かんない。
「いやいや、こんなもんじゃないよ。
じゃあ、別の言い方で分かりやすく言おうか。
夫の不倫と粗暴な行為に傷つき悩むひとりの女“名美”。
夜ごと売春婦としてネオンの街に立つことで
彼女は行き場を失った心を解放していく」

----あれっ?さっきネオンの街に立つのは「鏡子」と言ってなかった?
今度は「名美」になってる……??????
「そう。それがこの映画の核心。
いくつもの話が重層的に絡み合って、
どれが真実でどれが虚構なのか、
あるいはすべてが名美の妄想なのか……
すべて分からなくなってしまう。
もう、ここまでくると石井隆マジックだね」

----そう言えば、喜多嶋舞の演技が話題になっているね。
「そうだね。『花と蛇』の杉本彩とはまったく正反対のアプローチ。
映画の中で自分のすべてをさらけだそうとした杉本彩に対して、
喜多嶋舞は、
自分には名美のような翳りが100%ないから演じることができた、
というんだね」

----それ、ニャんだか分かる気がする。
自分とは別人格の方が演じやすいものね。
「そういうこと。
話を映画に戻すけど、
この作品は、それこそ結末でガクッとくる人もいるかもしれないけど、
ぼくにとっては初めて石井隆映画で涙した映画だったね」

----それはどうして?
「うん。
途中までは女優の内面を描いた映画と思って観ていたわけだけど、
最後には彼女を愛して守り抜いたマネージャー岡野が
浮かび上がってくるという構造になっている。
実は長いタイトルの意味もそこにあるんだ。
岡野の妻は次のような証言を行なっている。
『おそらく夫は名美さんを愛していたと思います。
「人が人を愛することってどうしようもないですよね」って。
つまり、ぼくはこの映画の陰の主役を岡野と見ているわけ。
しかし、その愛を描くためにこんな複雑な物語を作る石井隆。
彼はやはり日本映画では異色の存在だね。
照明と撮影で作りこんだ画面へのこだわりも相変わらずスゴい。
これまでの石井隆作品の中では
おそらく『夜がまた来る』以来じゃないかな」


         (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「しっかし、信じられない映像だニャあ」身を乗り出す

※雨の電車のシーンは圧巻だ度

人気blogランキングもよろしく

☆「CINEMA INDEX」☆「ラムの大通り」タイトル索引
(他のタイトルはこちらをクリック→)index orange
猫ニュー

『キサラギ』

2007-10-07 22:53:37 | 映画
----えっ。どうしていまごろこの映画?
『恋空』とか、ほかにもあるじゃニャい。
「だって、話題にはなっていたけど、
ぼくが観たのがつい最近。
フォーンも一緒に行って笑ってたから
まあ、いいじゃない(笑)」

----いや、笑ってたのはえいの方でしょ?
「それは確かにそうだね。
もう、笑いすぎて涙が出ちゃったもの。
だけどさ。
フォーンも、観ながら横で次の展開を
予想しながら囁くことないじゃない」

----あれっ。そんなことやったかニャあ。
「やった。やった。
『お父さんだ』とか『地震だ』とか。
まあ、この映画のオモシロさは、
思わずそう口に出ちゃうほど、
観る者を引きずり込むところにあるけどね」

----でも、あんまり評論家筋には受けていなかったよね。
映画館ではロングランしていたけど…。
「それは分かる気がするなあ。
この映画は、なんと言っても
凝りに凝った脚本と、
それを喜々として演じている役者とが
幸せな出会いをしたところにある。
これってお芝居でもよくて
映画である必然性はあまり感じなかったからね。
(ここでgoogle)
いま調べて分かったけど、もともとはお芝居だったんだね」

----う~ん。それなのに、えいは気に入ったわけだ。
「だって、オモシロいという事実に間違いはないんだもの。
しかも最後はきちんと泣かせてくれる」

----えっ、泣いたの。
だれのエピソードで…?
「やはり、小栗旬かなあ。
自分だけ如月ミキとのつながりが薄いことが分かり、
仲間はずれというか疎外感を感じていた彼が、
最後に報われるというか、救われる。
この映画、主要人物5人の誰に対しても
やさしく温かい視線を送っている。
まさか、こういうハッピー・ミステリーだったとはね…」

----ニャルほど。フォーンはやはり香川照之だな。
そういえば振り付けはラッキィ池田だったでしょ。
「そして如月ミキの歌の歌詞がサエキけんぞう。
これもよかったね。
みんなほんとうに楽しそう」

----そういえば、この映画にも小出恵介出てたよね。
『恋空』のお話をしてくれるのはいつになるのかニャあ?

         (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「もう、笑ったニャあ」もう寝る

※文句なしに楽しかった度

人気blogランキングもよろしく

☆「CINEMA INDEX」☆「ラムの大通り」タイトル索引
(他のタイトルはこちらをクリック→)index orange
猫ニュー

『プラネット・テラー in グラインドハウス』 

2007-10-02 21:24:30 | 映画
(原題:Grindhouse)

----10月の映画の日は、ロドリゲスってワケだね。
「うん。9月はタランティーノを見逃したからね。
前からこれって決めていたんだ」

----で、どうだったの?
映画館に来る観客も特別って気がするけど…。
「そうなんだよね。一番周りに受けていたのが出演のタランティーノが
『エヴァ・ガードナーって知ってるか?』と言うところ。
確かにこの映画のローズ・マッゴーワンは
エヴァ・ガードナーに似ていなくもない。
噂のエンド・クレジット後のワンシーンでも
『あれ、どういうこと?』と聞く女性に
『子供を殺すわけにはいかない。あれが監督の優しさなんだ』と
カップルの男性が答えていたり、
フィルムの傷やノイズについて
『こんなことする監督はいまどきいないよ』など、大絶賛の嵐」

----へぇ~っ。えいはどう思ったの?
「うん。ロドリゲス映画の中では
『フロム・ダスク・ティル・ドーン』に次いで、
オモシロかったかな。
あっちはヴァンパイア、こっちはゾンビ映画。
この監督、こういったジャンル・ムービーが巧いね。
でも、観ていて思ったのはゴダール」

----あらら、どういうこと?
まったく正反対って気がするけどニャあ。
「この映画で彼がやっている、
上映中のフィルムのずれや飛びなどは
1967年に彼が『ウィークエンド』でやっている。
実に40年も前の手法。
そこでゴダールはご丁寧に『つなぎ間違い』というテロップまで出しちゃう。
今回は、『一巻紛失』という説明とお詫びのテロップ。
でもゴダールは、あれをアートフィルムでやっちゃったわけだからね」

----でも、ロドリゲスとヌーヴェル・ヴァーグって
あんまり関係ないように見えるけど…。
「確か、『フォー・ルーム』のときだったかな。
ロドリゲスの来日記者会見に出たことあるけど、
そのとき気づいたのが
彼の盟友であるタランティーノの製作会社の名前。
それは『BAND APART』。
これってゴダールの『はなればなれに』の仏題『band a part』を
英語にもじったものなんだ。
ゴダールの言葉に
『撮られるべきすべての映画はすでに撮られた。』ってあるけど、
まさに皮肉だね。
この映画、冒頭に流れた予告も含めて
まあ、オモシロいと言えばオモシロいんだけど、ね」


フォーンの一言「膿と血ばかりで気持ち悪いニャ」もう寝る

※あのラストの意味、それいいのか分からない度

人気blogランキングもよろしく

☆「CINEMA INDEX」☆「ラムの大通り」タイトル索引
(他のタイトルはこちらをクリック→)index orange
猫ニュー

画像はイタリア・オフィシャルより。


『サッド ヴァケイション』

2007-09-24 22:43:57 | 映画
----今日は、久しぶりにフォーンも一緒に観に行った映画の話だね。
まず聞きたいんだけど、えいの好きな『八月の濡れた砂』、
この音楽、どこで使われていたの。まったく気づかなかったニャあ。
「この歌はね。
宮あおい演じる梢が
住み込みで働くことになった間宮運送で口ずさむんだ。
あの映画はぼくの邦画の生涯のベストワンだけに嬉しかったな。
ここでまず襟を正したね」

----梢って『EUREKA ユリイカ』の女の子だよね。
「そう、この映画は『Helpless』の後日譚が中心になっているけど、
そこに『EUREKA ユリイカ』の“その後”が絡んでくる。
いわゆる“北九州サーガ”の完結編ということのようだ」

----えいは、『Helpless』、
テレビで飛び飛びにしか観ていなかったよね。
それでもこの映画に感動していたようだけど。
話は分かったの?
「うん。こんなインディーズ的な映画で
一つの世界を作るなんて、
ついていけるか心配だったけど、
話はきちんと分かるようになっている。
でもそのことよりも、気になったのは北九州の方言。
ぼくは博多の方の生まれだからまだいいけど、
みんな、あの言葉分かったのかな。
茂雄(光石研)と明彦(斉藤洋一郎)の会話とか、
そのセリフのニュアンスが分かる者にとっては、
ここはたまらないくらいにおかしいんだけどね」

----おかしいと言えば、主人公・健次(浅野忠信)が
最初に冴子(板谷由夏)の部屋を訪れるところも。
「あ~。あそこね。
この両方のシーンに通じるのは、
くすくす笑いのユーモア。
途中から千代子(石田えり)を始め、
女性のたくましさが前面に出てくるとこともあって、
今村昌平の重喜劇を思い出してしまった。
この映画は、
それまでどちらかというと
男性的な匂いが強かった青山真治の
ターニングポイントになるんじゃないかな」

----阪本順治で言えば『顔』って感じかニャ。
「そんな感じ。
今村昌平の春川ますみ、阪本順治の藤山直美。
そして青山真治の石田えり」

----そういえば俳優はみんなよかったね。
「うん。高良健吾、とよた真帆、山口美也子。
みんな適材適所。
なかでも、自称免許を剥奪された医者を演じた川津祐介は
人なつこそうな顔の裏に
居心地の悪い偽善を見え隠れさせていて絶品」

----フォーンは、千代子の再婚相手で間宮運送の社長・繁輝を演じた
中村嘉律雄がよかったニャ。
「そうだね。
彼はこの映画で唯一、イノセンスな男。
最初はそれでもどこかに裏があるんじゃないかと思いながら
観ていたんだけど、
結局はそのままだったね。
したたかな女性たちと対立させるには
彼は必要なキャラだったんだろうな。
でも、それだけに秋彦が繁輝に言う一言は泣かせたね」

----「こういう言葉はほんとうは好きじゃない」と前置きしながらも
「頑張ってください」というシーンね。
「そう、これは
『EUREKA ユリイカ』の『生きろとは言わん。死なんでくれ』に匹敵したね。
青山真治は、こういう“決めの一言”の使い方が実に巧い。
普通にはなかなか言うのが難しい、
どちらかというと赤面するようなセリフを
映画の中で、ぐいっと入れてくる」

----そういえば、この二本は疑似家族という点でも共通点があったね。
「そう。
実を言うと、こういう
セミドキュメンタリー的なリアルな映画は、
ぼくはあまりタイプではない。
映像的に作りこみをしている映画の方が好きなんだ。
でも、この映画の緊張感には引き込まれていった。
最初はジャンプカットがあまりにも多く、
正直、おいおいと思ったんだけどね」

----でも、ラストは思いっきり作りこんでいなかった?
「うん。あのシャボン玉ね。
あれこそCGの正しい使い方だろうな。
いったい、このヘビーな映画をどうやって終わらせるのかと思ったら、
あの巨大シャボン玉。
これは素晴らしかったね」


     (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「まったく長さを感じなかったニャ」身を乗り出す

※これは今年のベストテン級だ度

人気blogランキングもよろしく

☆「CINEMA INDEX」☆「ラムの大通り」タイトル索引
(他のタイトルはこちらをクリック→)index orange
猫ニュー

『天然コケッコー』

2007-08-20 19:10:18 | 映画
----あれっ。この映画、
絶対にえいが好きそうだと思ったのに、
どうしたの?
「いやあ。もう聞いてよ。
今日はとても楽しみにして映画館に行ったのに、
始まって10分ぐらい経った頃、
そう、そよが早知子(宮澤砂耶)の下着を洗っているあたりから、
少し年配の女性集団が騒ぎながら出現。
『おばあちゃん、こっちこっち』とでかい声。
席についてからも『だから、あのトイレが…』『お昼に食べたあれが…』。
もう、ピクニック状態(涙)。
声はまったく聞き取れないし(涙)」

----で、どうしたのニャ?
「心はわさわさ。
落ち着かない。
注意したい。でも注意したら後がばつが悪い。
しかし声は止まないどころか、さらに大きくなる。
前の席の人も振り返って迷惑そう。
とっさに席を立って注意してしまったね。
おかげで心を持ち直すのに時間がかかって
前半の右田そよ(夏帆)の大沢広海(岡田将生)に対する
微妙な心の変化がよくつかめなかったね。
悔しいのはそれがあの『スタンド・バイ・ミー』を思わせる
線路から海までと続く重要なシーンだったこと」

----あらら。それじゃあ台無しだ。
この映画については語れないね。
「でも、それでも
いつしかそのことを忘れさせてくれたんだから
やはりこれは力のある映画だと思うよ。
まず何が素晴らしかったかって、この映画にはある種の品格があるんだ」

----品格?
「うん。
キャメラは地面に垂直に構えられ、地面はスクリーンを水平に横切る。
それは一種の安定感と言い換えてもいいかな。
だから、これほどのバタバタがぼくの回りであったにもかかわらず
映画の中にス~ッと、自分が取り込まれていく」

----ふうむ。分かったような分からないような。
「物語は、くらもちふさこが作ったものだし、
もともとそれについてはあまり言うつもりはなかったしね。
もちろん、
そよが友だちを傷つけてしまったことに、
後で気づいたり、広海に教えられて反省したりという、
心の機微の描写は素晴らしいし、
膀胱炎になった早知子が
彼女のことを心配して駆けつけたそよに抱きつくシーンなどは、
思わず涙が出そうになったけどね。
そうそう、そういう意味ではキャスティングが最高だったね。
田浦伊吹を演じる柳英里沙、山村篤子を演じる藤村聖子のふたりは、
田舎っぽくなりすぎない、
その微妙なさじ加減が素晴らしかった。
そよとシゲちゃん(廣末哲万)との関係を進めようとするところなんか、
勘違いの善意という皮肉がよく出ていた。
あっ、それと先生たちもよかったね。
特に女性の先生たち。
地元の劇団の人なのかなあ
いったいだれがやっているんだろう?
修学旅行のシーンの彼女らは秀逸だったね」

----でも有名な人も出ているんだよね?
「佐藤浩市、それに夏川結衣ね。
もちろん彼らもよかったし、
あと<猫>たちも演技していたよ」

----そんなことできるの?
「うん。シッポでリズム取っていた(笑)。
でもぼくは、やはりこのキャメラだな。
教室に挨拶し別れを告げるそよを写していたキャメラが
出て行く彼女を見送った後、
室内を移動しながら窓に近づくと、
そこには別の日のそよがいる。
もうドキドキしたね」

----あれっ、えいの顔、
最初とは違ってきたね。
とてもいやなことがあったとは思えニャい。
「だから、これが映画の力だって。
いつまでもこの時間が続いて終わらないでほしいと思う、
幸せな映画。
でも、
ほんとうは映画って一期一会だと思うし、
最初の出会い方が肝心ではあるんだけどね」



(byえいwithフォーン)

フォーンの一言「マナーは守るのニャ」ご不満

※こりゃケッコーだ度

人気blogランキングもよろしく

☆「CINEMA INDEX」☆「ラムの大通り」タイトル索引
(他のタイトルはこちらをクリック→)index orange
猫ニュー 

『パイレーツ・オブ・カリビアン ワールド・エンド』

2007-05-27 02:33:33 | 映画
パイレーツ・オブ・カリビアン ワールド・エンド 

(原題:Pirates of the Caribbean : At World's End)

---ここしばらく、キャストの来日で
日本中が大騒ぎだったけど
どうだった?肝心の中身の方は?
「前作『パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズ・チェスト』
バスター・キートンかジャッキー・チェンかって感じの
スラップスティックなところがあったじゃない。
今回は、どうするのかなって
それが気になっていたんだけど、
よく言えばアラビアンナイト、
航海もののルーツとも言えるシンドバッドを思い出したね」

----あ~。確かにそういうところあったニャあ。
満天の星空とか、けっこうロマンチックだったよね。
噂のキース・リチャーズはギターをつま弾くし…。
「うん。あと、
デイヴィ・ジョーンズが務めを果たさなかったことに起因する
流れゆく死人たちとか、巨大化した女神カリプソとかも、
これまでとは違うノリだ。
もっとも、最大の違いはタイトルにもなっている
ワールド・エンドだけどね」

----あれはシュールだったよね。
船を動かす蟹なんて、よく考えたよね。
でも、やはり息を飲んだのはクライマックス。
荒れ狂う海の中、
ジャックはマストの上でジョーンズと剣を交えるし、
ロープにつかまり、デッドマンズ・チェストを奪い合う。
「あれはよかったね。
その中で、ウィルとエリザベスが
永遠の愛を誓い合う。
あれっ、それじゃジャックは……?
と思ったら、とんでもないドラマが待ち構えている。
アクションの中で物語が動く-----。
これぞぼくの求めるアクションだね」

----なのに、興奮がいまいち感じられないニャあ。
「うん。
そうなんだよ。
これは土曜日に観たんだけど、
通路を挟んで斜め前にマナーの悪い人がいて、
携帯のメールチェックを何度も繰り返すんだ(怒)。
おかげで大切なところで光が目に入って…。
船が“ワールド・エンド”に突入する瞬間や
ウィルの運命が大きく動くとき、
またウィルがある大切な決断をするときなどなど……。
もう、ほんとうに頭にきた。
よほど注意しようかと思ったけど、
後味悪くなるしね(涙)」

----あっ。あのカップルね。
彼ら、このシリーズ初めて観たんだよ。
ラストにまた後日譚があること知らずに帰ってたもの。
ほらほら。あまり気にしないで。
ジャックみたいに
すべてにおおらかにいったら…。
「でもね。
映画は一期一会。
二度観るときには、
最初の驚きは経験ずみ。
いわゆる“ネタバレあり”で観るわけだからね。
しかし、ジョニー・デップの演技は素晴らしいね。
ジャックときたら、
まるでニューシネマの頃のヒッピー。
いや、もっと本質的なところで彼らよりも自由。
ほんと、彼のように生きられたらいいよね」


     (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「これは4部もありそうだニャ」ぱっちり


※お願いだから上映中の携帯は止めてほしい度
人気blogランキングもよろしく

☆「CINEMA INDEX」☆「ラムの大通り」タイトル索引
(他のタイトルはこちらをクリック→)index orange
猫ニュー

画像はアメリカ・オフィシャルの壁紙です。

『パッチギ! LOVE&PEACE』

2007-05-21 13:31:13 | 映画
----前作が高い評価を受けた『パッチギ!』の続編だね。
えいも、大感激していて2回も喋っていたっけ。
で、今回はフォーンも一緒に観ることに。
あれっ、思ったほど泣いてないニャあ。
「う~ん。だって微妙なんだもん」
----えっ?これまた意外。
主人公アンソンの父親の話も出てきたし、
日本映画とは思えない大スペクタクル・シーンもある。
どういうところが微妙だったの?
「いや。悪くはないんだよ。
ただ、詰め込みすぎって感じがしたんだ。
そのため、前作に観られたような
ディテールへのこだわりが少し後ろに下がっていた。
たとえば藤井隆演じる元国鉄職員・佐藤が口にする
『古いヤツだとお思いでしょうが
古いヤツほど新しいものをほしがるものでございます』の
『傷だらけの人生』にしても1970年の歌。
彼を始めとするキャラクターのファッションも
戯画化と言うか誇張が激しく、
確かにウエスタンシャツはあの時代に流行ったけど、
あそこまでダサくなかったよなあなんて、
まずそこがのめり込めなかったね。
西島秀俊の右前のシャツは、まあいいけどさ(笑)」

----そう言えば、西島秀俊、
また女を食い物にする役だったね(笑)。
「キャストで言えば、
木下ほうかが別の役で出ていたのもオモシロかった。
あと、米倉斉加年も久しぶりと言う気がしたな。
他にも一人ひとりあげだしたらきりがないけど超豪華であることは間違いない」

----だよね。でもまだ引っかかるんだ?
「うん。それはこういうこと。
以前『青春映画が映画だ』という井筒監督の言葉を紹介したけど、
今回は青春映画というよりも家族の映画、
親から子へとつないでゆく命の映画となっている。
この映画では、
筋ジストロフィという難病を患った息子のチャンスを救おうと密輸までする父アンソンの話。
芸能界入りしたキョンジャの前に立ちはだかる<在日朝鮮人への差別>と言う壁。
そして日本軍に徴集されたアンソンの父親ジンソンが南方の島へ脱走し、
生き延びようとする3つの話が軸となっている。
ぼくはこの中では、この戦争シーンが最も熱かった気がした。
と言うのもアンソン、キョンジャともに前作から6年経っていて
<青春>と言うには少し年を重ねすぎているのに対して、
この父親ジンソンが体験した苦難の時代こそが
本人が望まなかったとは言え、
青春時代を描いているからかも…」

----それと、あれでしょ。
えいは難病もの苦手だから……。
「確かにそれもあるけどね(汗)。
本作の構成は前作とある意味似ていて、
クライマックスの乱闘シーンでは
それと並行して別の物語が進行。
前作ではここにチャンスの<誕生>を絡め、
それこそ<命>の物語をも含んだ形となっていた。
しかもその前に、交通事故で死んだアンソンの仲間の葬式のシーンがあるから
より、それは浮き彫りにされていた」

----そう言えば、この映画ではアンソンの妻は亡くなっていたね。
「そこも実はクエスチョン。
もし、彼女が生きていたら、
朝鮮人家族の内部の日本人の目と言うのが描かれ、
映画がより多層的になっていたと言う気がする。
前作では、日本と朝鮮の歴史を初めて知った若者の初恋物語が軸となり、
本来は北と南を隔てるものとして歌われていた「イムジン河」を
日本と朝鮮の関係にオーバーラップさせていた。
こう喋っているだけでも、前作は大傑作だったなと、改めて思うな」

----それでもクライマックスは泣けたよね。
「うん。たまたまだけども
ぼくたちが観に行った映画館で同時刻に隣のスクリーンでかかっていた
『俺は、君のためにこそ死ににいく』のタイトルそのものを
否定する言葉をキョンジャに語らせる。
『生きて戻ってきてほしいです』とね。
いまの時代、これはとても勇気のある映画だし、
井筒監督の熱さは痛いほど伝わる。
だからこそ、あのセリフの後、乱闘に逃げないでほしい気がした。
もうそんなにも若くはないアンソンの乱闘は前作とは意味が違う。
大人としての解決にはならない気がしたな」


    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「でもフォーンはビックリしたニャ」ぱっちり

※キョンジャがタクシーで帰るシーンのショットは秀逸だ度
人気blogランキングもよろしく

☆「CINEMA INDEX」☆「ラムの大通り」タイトル索引
(他のタイトルはこちらをクリック→)index orange
猫ニュー 

『クィーン』

2007-05-01 14:56:40 | 映画
----ヘレン・ミレン、よかったニャあ。
さすがにアカデミー主演女優賞を取っただけあるや。
「そうだね。
どこまでリアルなのかは分からないけど、
人間エリザベスの苦悩が
シンパシーを持って感じられたものね」

----それとは逆にあのダイアナが
もう、それほど魅力的には写らなくなっちゃった。
「うん。この映画のオモシロさはそこにある気がする。
ここで描かれているのは、
すでに王室を離れていると言う理由から、
交通事故で亡くなったダイアナの葬儀を内輪で済ませようとし、
公式声明を出さない王室に対して、
自分たちへの批判を交わすべく批判的立場を取るマスコミと、
その空気に乗って王室への怒りをぶつける国民----と言う構図。
おそらくこの映画が生まれる前までは
多くの人たちがマスコミ&国民連合の立場に立っていたはず」

----でも、この映画を観たら考えが変わるよね。
女王として生まれ、
その人生を国と国民に捧げる以外の選択肢がないエリザベス。
確かに時代遅れとは言え、
彼女が考える国王や王室のあり方が
なるほどとうなずける形で描かれている。
フォーンもエリザベスが可愛そうになったよ。
「それを感じさせたヘレン・ミレンの演技はさすが。
でも、それもある意味危険なんじゃないかな」

----どういうこと?
「この映画を観ることで
それまで王室批判の立場だった人たちまで、
エリザベスの気持ちに寄り添い、
いままでとは真逆に王室へのシンパシーを抱いてしまう。
だけど、それってあまりにも単純すぎない。
映画によって簡単に思考を左右されている。
実は、映画ではそれに近いことも描いてあるんだけどね」

----あっ、トニー・ブレア首相ね。
「そう。
労働党党首と言う左派的立場ながら
エリザベス、そして王室を守るため奔走。
そして逆境の中でのエリザベスの生きざまを絶賛する。
そんな彼に対する妻のシェリー・ブレアの冷めた目線もオモシロい」

----監督のスティーブン・フリアーズも左翼なんでしょ?
「そう。『ヘンダーソン夫人の贈り物』もある意味反骨の映画だったよね。
でも監督はそんな政治的な立場よりも、
このような形で大勢に流されてしまう人々の危険性こそを訴えたかったんじゃないかな。
そしてそれを観ている観客であるみんなも
そんなムードに乗ってしまいやすい人間たちのひとりではないか----とね。
つまりこの映画は劇中で展開していることに対する国民感情と
それを観ているぼくらの感情とを合わせ鏡にした
二重構造になっている」

----ふうん。
そう言う意味では、脚本も巧いのかニャ?
「ピーター・モーガンね。
『ラストキング・オブ・スコットランド』もそうだけど、
彼の書く脚本は気取りがなく実に親しみやすいね。
そう言えばあの映画のとき
70年代のサスペンスを引き合いに出したけど、
この映画も『フォロー・ミー』など
70年代のイギリス映画の匂いがしたね。
紗がかかっているような淡い色調。
パンフによると
王室は35mm、ブレア首相のシーンは16mmなのだとか。
最近のハリウッド映画のようなクリアすぎて
しかもCGが多用された映像とはまったく異なる。
そういう意味でも、
<映画>を堪能できた作品だったね」


   (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「あの鹿さん、かわいそうニャ」悲しい

※どっぷり浸った度
人気blogランキングもよろしく

☆「CINEMA INDEX」☆「ラムの大通り」タイトル索引
(他のタイトルはこちらをクリック→)index orange
猫ニュー 

画像はUKオフィシャルの壁紙です。

『松ヶ根乱射事件』

2007-03-01 21:54:25 | 映画
※このポスターは『松ヶ根乱射事件』ではありません。
 ではなぜ?その答(?)は本文で……。


----今日は映画の日。
フォーンは、ほんとうは『墨攻』か
『さくらん』に行きたかったんだけどニャあ。
「でも結果的にオモシロかったからいいでしょ」
----でも、そもそもなんでこの映画ニャのよ?
「いやあ。記録的な不入りと聞いていたからね。
本当かどうか、
初日の最初の回にゼロだった劇場もあったとか…。
そう聞くと、よけい観たくなるじゃない。
だって『リンダ リンダ リンダ』の山下監督作品だよ。
フォーンだって、オモシロがっていたじゃない」

----う~ん。ちょっと刺激が強かったニャあ。
だって、変だよこの映画。
雪の上で死んでいるように見える女性のスカートの中に、
小学生の男の子が手を入れるところから始まるんだもの。
「しかも死んだはずの女性は検屍のため全裸。
ぼかしはまったくなしでリアル。
その後も、パンツの中をぼけ老人に見せる女性とか、
やたら下半身にこだわっていたものね」

----そう。ちょっとたまんなかったニャあ。
目のやり場に困ったよ。
「フォーンにとってはそうかもね。
でも冒頭の雪の中の死体(?)の映像は
ある映画を思い出さなかった?
仰向けかうつぶせかの違いはあるけど…。
着ている服の色まで同じ」

----分かった。『ファーゴ』でしょ?。
「うん。
犯罪が雪だるまのように膨らんでいくところとかも似ていたね。
しかも映画は、一見のどかに見える村の奥に隠された
どろどろした人間関係を、じわりじわりと明らかにしていく。
この傷の上のかさぶたを剥がしていく感じは
『ツイン・ピークス』を思わせたね」

----あっ、そうか。あっちは湖の中の美しい死体…。
でもフォーンは『スウィート ヒアアフター』を連想したな。
あれも雪に閉ざされた町の物語だった。
そのような寒々とした生活環境が
この手の映画には向いているのかニャあ?

  (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「ラストはビックリニャ!」ぱっちり

※タイトルに注目だ度
人気blogランキングもよろしく

☆「CINEMA INDEX」☆「ラムの大通り」タイトル索引
(他のタイトルはこちらをクリック→)index orange
猫ニュー

『ドリームガールズ』

2007-02-18 12:07:52 | 映画
(原題:DREAMGIRLS)

----この映画、前評判がとても高かったのに
アカデミー作品賞から漏れてしまったね。
「うん。そのせいかフォーンと一緒に行ったシネコンでも
あまり人が入っていなかったね。
とてもよくできた映画だったのに惜しいよね」

---えいなんか、何度も泣いていたものね。
やはりポイントはジェニファー・ハドソンかな。
「うん。これを観ちゃうと
アカデミー助演女優賞は彼女で決まりかなと…。
菊地凛子は少し厳しいかもね」

----ジェニファーはよく喋るし、
その心のうちを思いっきり歌い上げちゃう。
一方の菊地凛子は聾という設定。
言葉よりもその表情・身振りで感情を見せるよね。
正反対の演技アプローチだ。
「役柄上、仕方ないけどね。
一般的には菊地凛子の方が映画的なんだろうけど、
それでもこのジェニファー・ハドソンの圧倒的な存在感の前にはなあ…。
正直言って、ぼくは最近のミュージカルには
あまり心動かされなかったんだけど、この映画は別。
まさか歌だけでここまで泣かされるとは思わなかったね」

----それってどうしてニャんだろう?
「物語自体は
もうだれもが知っているよね。
これはショウビズ界のサクセスストーリーとバックステージを
重ねながら描いたもの。
舞台は1962年のデトロイト。
エフィー、ディーナ、ローレルの3人が
ドリーメッツと言うヴォーカル・トリオで
オーディションに参加するところから映画は始まる。
3人に目を付けたカーティス・テイラーJr.(ジェイミー・フォックス)は、
ジェームス・“サンダー”・アーリー(エディ・マーフィ)の
バックコーラスとして彼女らを参加させる。
さらに大きなサクセスを狙うカーティスは
リード・ヴォーカルをエフィー(ジェニファー・ハドソン)から
ディーナ(ビヨンセ)に変えて“ザ・ドリームズ”として売り出そうとする。
もとより実力があるエフィーにとってはそれがオモシロいはずもなく、
協調性を乱す行動をとり始め、リハーサルをも放棄。
ついにはグループを追われてしまう」

---確か、これって
ダイアナ・ロスとシュープリームスがモデルになっていると言われているよね。
つまりビヨンセがダイアナ・ロスってことかニャあ。
「そのあたりについては諸説あるようだね。
ぼくは、この映画を観るまでジェニファー・ハドソンを知らず、
最初出てきても、彼女がどの人か分からなかった。
ところが、エフィーがリードを奪われるところで
もう、これしかない!って感じ。
この映画が、他のミュージカルと違っているのは
監督の次の言葉に集約される。
『大切なことのひとつは、
歌の間もストーリーは止めないということじゃないかな。
(中略)そのためには、歌の最初と最後で
何かが変わっていなければいけない」

----それって、えいがよく言う
「アクションの中にもドラマが必要」に通じるよね。
「そう。ただ撃ち合っているだけ、
あるいはカーチェイスしているだけじゃ、
銃や車に興味がない人にはただ退屈なだけ。
このジェニファー・ハドソンの歌うシークエンスでは
「会話から歌に」というミュージカルの王道を歩みつつも、
ドラマが劇的に動いていく。
だからこそ
その歌だけで観る者の涙を誘うわけだ」

----他の俳優たちもよかったよね。
ジェイミー・フォックスなんか最初は目立たなかったのに、
いつの間にか悪役として物語の中心にいる。
エディ・マーフィのシリアス演技も久しぶりだったけど…。
「映画でよく見せるあの人なつこい笑い顔と素に戻った顔。
そのあまりの差にゾッとしちゃった。
そう言えばジョン・リスゴウも出ていたでしょ。
久しぶりに観たと思ったら太っていたね」

----えっ、どこにいたっけ?
「ほら。プールサイド・ミーティング。
ハリウッドのプロデューサーかなにかの役で…」

----ああ、そう言えば……。
でもジミーは、なぜあそこまで『クレオパトラ』にこだわったんだろう?
「『クレオパトラ』というのは
その製作過程を描いただけで一本の映画ができるほどに
さまざまなトラブルに見舞われた作品。
20世紀フォックスはそれによって大変な赤字を蒙ってしまう。
つまり、ジミーは映画に対してはアマチュアと言うことの象徴だろうね。
まあ、クレオパトラが絶世の美女ということもあるだろうけど…。
そう言えば、ビヨンセも後半ではエリザベス・テイラーに似ていなくもなかった」

----そうかニャあ。
そうは思わないニャあ。


 (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「フォーンも泣いたのニャ」悲しい
※立ち上がって拍手したくなった度
人気blogランキングもよろしく

☆「CINEMA INDEX」☆「ラムの大通り」タイトル索引
(他のタイトルはこちらをクリック→)index orange
猫ニュー

※画像はアメリカ・オフィシャルの壁紙です。

『2006 無人島に行くならこの10本』

2007-01-03 16:00:16 | 映画
----ようやく「一年を振り返って…」だね。
確か去年は1月2日と5日に、
2回に分けてやったんだったよね。
今年はどうするの?
「どうしようかな。
ノラネコさんが「2006 Unforgettable movies」として
あまりにも見事にまとめてあって、
少し出遅れてしまったなと、
正直、アセっているんだ。
ということで、今年は思いっきり
自分勝手に選んでみようかな」

----いつも自分勝手じゃない(笑)。
「まあ、そう言わない(汗)。
で、今年は
『2006 無人島に行くならこの10本』。
もし10日間、無人島に閉じ込められるとしたら、
2006年に公開された映画の中から、
どの10本を持っていくか?」

----ニャるほど。それが自然とベスト10になるわけだ。
「そういうことだね。
さてその選択基準だけど、
にゃんこさん「黒猫のうたた寝」に倣って言えば、
最低条件は<うたた寝指数ゼロ>。
まずはこれをクリアしなくてはね」


●1日目●『ラブ★コン』

----いきなりこれニャの?みんな引いちゃうよ。
「この映画のオモシロさは観た人にしか分からないよ。
一見、おふざけに見えながらもぎりぎりでセーブ。
映画をいかにしたらオモシロく伝えられるかに心砕いている。
しかもその奥には、青春の切なさ、ほろ苦さが……。
独りよがりになっていないところが好きだな。
あっ、コメディでは
『赤ちゃんの逆襲』もオススメ」


●2日目●『隠された記憶』

----また、全然違うタイプの映画を持ってきたね。
「これは、『映画史上に残る衝撃のラスト!』と言われたけども、
スルメのような映画。
ぼくなんか自分勝手にラストを解釈したけど、
あかん隊さんを始めトナヒョウさん睦月さんなど、多くの方たちが
そのラストについて、さまざまな意見を寄せてくれた。
おそらく観るたびに謎が深まっていく映画だと思うね。
ちょっと次元は違うけど『unknownーアンノウンー』『ハードキャンディ』
それに『カクタス・ジャック』も、
製作側と観客の間でバトルが行なわれる映画だったね」


●3日目●『16ブロック』

----おおっ。ハリウッド・メジャーに針が振れたね。
「やはりベテランの力はあなどれないね。
同じアクションでも、その中にドラマがあって
次の展開を期待させる。
単なるドンパチには終わっていないんだ。
ハリウッド大作では他に
『パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズ・チェスト』
バスター・キートンの復活を思わせ、ジョニー・デップならではの映画に。
『M:i:III』も新しい才能を感じさせてくれたと思うよ」


●4日目●『フラガール』

----これは、昨年の映画賞を総ナメにしているよね。
「そうだね。『ゆれる』と、どちらがくるかと思ったんだけど、
やはりこの不況の時代にはこの映画の方が
より強い力を持って観る者に訴えかけてくる。
『いつまでも時代を怨むなかれ。新しい一歩を踏み出そう』とね」


●5日目●『ナイロビの蜂』

----おっ。これを入れるとは思わなかったニャ。
『武士の一分』とどっちにするか、
同じ<夫婦愛>が下敷きになっているだけに迷ったんだけど、
これも現代に生まれた必然性、
そしてミステリーのオモシロさで『ナイロビの蜂』となったわけ。
あっ、ここに『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』を加えてもいいかな」


●6日目●『ホテル・ルワンダ』

----そうそう。これを入れないわけにはいかないよね。
今年は社会派映画が多かったでしょ。
けど、フォーンもこれがいちばん衝撃的だったニャ。
そう言えば9.11の映画も何本か生まれたよね。
「うん。
その中では『ユナイテッド93』がヒロイズムに走ることなく、
個人が最後まで生きようとする意志、
その強さを描いていて胸に響いたね。
日本映画では少年犯罪を取り上げた
三池崇史監督の『太陽の傷』
この描き方には一縷の妥協もなかった。
でも、ぼくは次の映画の方がタイプだ」


●7日目●『さよなら、僕らの夏』

----やっと出てきたね。「青春映画が映画だ」が、えいの持論だものね。
「そうだよ。
これは裏『スタンド・バイ・ミー』と呼びたくなるほど、痛切な青春映画。
甘いノスタルジーを期待すると、
とんでもない火傷を負うことになる。
その点、『夜のピクニック』なんかは、
安心して観られる青春映画だったね。
逆に痛い痛い青春を描いたのが『ブロークバック・マウンテン』
愛した相手が同性だったことから迎える悲劇。
この映画で泣くとは、観る前は思いもしなかった」


●8日目●『キンキーブーツ』

---またコメディに戻ってきたね。
「これも元気をくれる映画だからね。
『プラダを着た悪魔』も悪くないけど、
涙をたっぷり流したいならこっち」


●9日目●『虹の女神 Rainbow Song』

---いかにも、えいらしい(笑)。
映画を描いて、ノスタルジーで、しかも泣ける……。
三拍子そろってる(笑)。
「これにはやられたね。
かつての8ミリ少年にはたまりません。
上野樹里も、あ~あ、あの頃こんな女性いたなって感じ。
映画って理屈じゃないと改めて思ったのが
この『虹の女神』」


●10日目●『リトル・ミス・サンシャイン』

---おおおっ。これを仕上げに持ってくるか。
「だから何度も言っているように、
笑って、泣けて、元気をくれる映画がぼくのベスト。
『スパングリッシュ・太陽の国から来たママのこと』
『単騎、千里を走る。』
『グエムル/漢江の怪物』『母たちの村』
『ヘンダーソン夫人の贈り物』と、
今年は家族をキーワードにした映画が多かったけど、
その中でもこれがベスト。
勝ち組負け組が声高に叫ばれる時代にあって
それぞれが個性を持って生きることの素晴らしさを、
ロードムービーの楽しさの中に描いてくれる」


---あらら。あっさり終わったね。
『太陽』とか『硫黄島からの手紙』は?

「まさか、これらを無人島に持っていこうとは思わないでしょ?
そうだね、たとえば『宇宙人に見せる10本』……
いや、これも違うな。
地球人って変!と思われるだけかもね」


フォーンの一言「つまり、えいの
日本映画ベストワンは『虹の女神 Rainbow Song』
外国映画ベストワンは『リトル・ミス・サンシャイン』のようです」
身を乗り出す

※2006年の五つ星だ度人気blogランキングもよろしく

☆「CINEMA INDEX」☆「ラムの大通り」タイトル索引
(他のタイトルはこちらをクリック→)index orange
猫ニュー