崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

タケノコ

2013年04月16日 04時55分23秒 | エッセイ
 突然鳴ったチャイムの音に映った薄影は「楽しい韓国文化論」の受講生であった山尾信也氏(77)、3つの袋一杯タケノコを持って来られた。私はたまに口にすることはあってもその食文化には詳しい知識がない。さっそく山尾氏の竹林を見たくなった。私は彼の車の横に乗り、家内と千葉から来られた姉さんが載った車が付いて走った。下関青山(300メートル弱)のふもとの田倉の彼の自宅と竹林に立った。イノシシの妨害柵で囲まれた竹の子を守っている長身紳士の新鮮さに竹林の中の小柄な自分は委縮感を感じた。私の目測で7-8メートルの高さ、彼による竹の寿命は10年、最盛期はもう少し先になるというが、ぼつぼつ頭を出している竹の子を見つけながら回ってみた。イノシシの好物であると聞かれてタケノコを食べると元気になるとも感じた。
 彼の奥様がコーヒーをお盆に載せたまま初対面の挨拶をし、彼女の顔を見ながら深く答礼した。野外用のテーブルを囲んで彼の人生歴を語ってもらった。歴史は古く、先祖代々この竹林は、江戸時代から始まり、彼は水産業関係で福岡から室蘭、北海道、埼玉などで仕事をされ、定年してこの処に戻った、贅沢な老後生活の理想郷を作ったロングストリー。我等は帰宅して大きい鍋で煮て竹の子で暴食満腹して苦しくなるほどであった。歴史と味が合わさって食文化が形成される現地体験となった。