崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

ウニ醤

2013年04月11日 05時27分25秒 | エッセイ
 明日家内の誕生日のためにソウルの姉からワカメが送られてきた。必ず毎年送ってくれる。そのダンボール箱にはキムチやトウガラシそして生のピーナツなどが入っている。また年中食べるほどの味噌が入っている。冷蔵庫に入り切れないほどたくさんで、長い間伝統的な故郷の味が楽しめる。その上、小倉在住の文学者の朴仙容氏が初めて読書会に参加するために来られて、彼らの開発食品ウニ醤瓶詰めをたくさん持ってこられた。既に商品化したものである。昼に用意した弁当で皆で試食した。生ウニと韓国の甘辛みそのコチュジャンの調和が実においしい。私は以前からコチュジャンにウニを混ぜて食べていたので慣れた味であるが、とにかくみんなで1個を一瞬にして空にした。美味しいのはもちろんである。ただ一瓶800円というやや高価なものであり、お土産には良いが、日常食としては値段が気になるところである。
 一般的に韓国人にはウニが日本ほど好まれない。私は昔海岸で民俗調査の時、味わって以来の好物である。その時海岸で見たウニ採り作業に感動した。丸く黒い棘物の中から黄色い微量の卵、まるで宝物、その味に感動した。どうしてそんな異物のようなものから取り出せるのか。漁民に聞いたところ伝統的には王様に進上する品目であると過剰風に言われた。今は高級な宮中料理も庶民が簡単に食べる様になった。味の民主化の時代になっている。しかし朴正熙元大統領はみそ汁やマッコリなど庶民的な食生活をされた人として知られている。人の味は簡単に変わるものではない。「おふくろの味」を越えるのは難しいことかもしれない。