崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

マクワウリ質にあり、心にあり」

2013年04月07日 00時00分19秒 | エッセイ
昨日は大学の入学式、韓国からの留学生たちが多く参加した。その中には私の広大時代の学生だった黄君の娘がいた。彼女の母親が韓国から来られて参加した。彼女がお土産として韓国の慶山名物のマクワウリを1箱を持ってこられた。私の好物であることを覚えて持ってこられたのである。聞くところによると日本でも昔よく栽培したが収入の高いメロンに替えてしまったという。マクワウリは韓国では庶民的な味のものであり、値段的にもそれほど負担のある土産ではない。日本ではほぼ目にすることがない、珍しい。時々輸入食品として売られ、食べることはある。
 研究室の私のテーブルの上に乗っかっているマクワウリの箱を見ていた同僚の礒永和貴氏がマクワウリを見て「日本にはない」という。それは物の話ではなく心の話であった。つまり先生(私)に対する弟子の敬愛ある礼儀の話であった。「それが韓国人には強くある」といった。彼は物を見て心を読んだ。日本で安くて無くされたマクワウリが皮肉にも甦って高級化されのである。物の値は「質にあり、心にあり」。