崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

金在国からの手紙

2011年04月15日 23時39分05秒 | エッセイ
 
 この4月に二人の教え子が就職した。一人は李良姫が東亜大学に、もう一人は中国の金在国が杭州師範大学に赴任した。先ほど金さんから「尊敬する崔教授様:学位認証問題が昨日午後に解けました。私の学位を持って討論した結果、問題がないという結論が出ました(当然のこと)。教授様が二番目に私に送って下さった <研究証明>が認められたようです。」というメールが届いた。中国では日本の博士号でも中国政府が確認する手順が必要であり、彼は大阪中国領事館で手続きをして、中国・北京で確認する過程が必要であったという。担当者が論文博士なのに課程博士のように研究課程在籍証明などを求められて、困難な状況で絶望的であった。しかし私は最後まで最善を尽くすべきだと思い、私と大学院研究課長の連名で二度に渡って認定証明書を送って、2ヶ月がかかり、よい結果を得られたのである。「万歳」と叫びたい気持ちである。
 「学位認証問題が正常に解けたので私は明日夕方9時30分車で杭州に向います。杭州での生活はやさしいだけではないようですが、簡単に得られた職業ではないので全てを大切に、仕事に最善を尽くします。もう一度教授の協力と愛、関心に感謝を申し上げます。」 博士号という学位以上に品格をもって教育に、研究に専念することを祈る。

民主化の偏西風

2011年04月15日 06時21分16秒 | エッセイ
北アフリカや中近東の民主化デモのニュースが日本の大震災のために薄れてしまっている。その偏西風のように吹いている風が中国を経由、北東アジアの北朝鮮へまで到達するにはまだまだ遠いようである。アメリカ国務省は北朝鮮でアメリカ人男性が拘束されていると発表した。それと同時に平壌市内の様子の映像が流された。私が数年前に訪問した時とあまり変わらない風景が目が留まった。市内の中心道路に車が極端に少ない。カメラを道路の中央に焦点をおいて走っている映像で目に入る車は数台に過ぎない。今の時代にこのように車が少ないのは世界でも類例がないであろう。それはエネルギーのない国家の象徴的なものである。ある人は公害のない、綺麗な国家とほめた。
 その弱い国が核を作り、鎖国状態になっているのはどういうことであろうか。世界を知ることが必ずしも良いとはいえないが、国民は願望している。少なくとも私が 会った人々は外国への関心が高かった。何よりも一年でも独裁制度で暮らすことは不幸であろう。リビアのカダフィは戦争状況でも権力を手放していない。自分の国民と戦争をする。NATOが強く空爆をする決議をした。北アフリカの風が春一番のように吹いてくることを待つ。