崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

空しくなった

2011年04月01日 05時10分09秒 | エッセイ
 先日、下関港で留学生と一緒に座っていた男性に私は学生の父兄と思い韓国語で話かけた。彼の親族が日本にもいるという。日本の大震災についても心配しておられた。その後に学生の父兄の集まりに彼はいなかった。その時になって私はその人が父兄ではない他人であることが分かった。滑稽な風景である。このごろは知る知らず問わず誰にも大震災の話で通じる。
 大震災のニュースを見ての症候群というか、昨日は私も一切価値観や希望を失い、空しさを強く感じた。震災地で死体を見つけて線香を捧げる画像が映っていた。信・望・愛ということばの「希望」の意味が分からなくなったような気分である。失敗と成功を繰り返す青春時代に希望はあったのに、いまこの歳で、この状況で希望を持つのは自他共に難しい。しかし春はきっと来る。