崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

ベルリンマラソン

2009年08月24日 05時23分18秒 | エッセイ
昨日ドイツベルリンオリンピックのマラソンで日本人女性尾崎好美氏が銀メダルを獲得した。胸と背中には番号とスポンサーのTOYOTAだけがあって国旗や国名はなかった。中継アナウンサーが言わないとどの国の選手であるかが分からない。生の体の勝負であった。運動靴によって差はないのだろうか、運動靴は履かない方が良いのではないかとも思ったりした。個人記録で勝敗が決まるので一緒に走る「競走」の必要性は高くない。しかし、一緒に走ることによって競争になリ、より良い記録も出る。それぞれ記録を出し合って勝負を決めても良い。文学などの懸賞制度のようにしても良いはずである。私がマラソンに関心を持つのはあくまでも個人の訓練の成果の面白さとそれへの評価である。
 それだけでは面白くないので国家間の競走にする。1936年当時日本の植民地の朝鮮人の孫基禎選手は「日本代表」として出場し、金メダルを獲得した。「東亜日報」に日の丸の塗りつぶされた写真が掲載され、当時の朝鮮総督府の警務局によって同紙記者の逮捕・発刊停止処分が下されるという事件が起きた。孫の歓迎会も大半が中止させられる事態になった。当時の日本政府の態度は幼稚であった。魯迅がコオロギに懸賞金を賭けて楽しむことを皮肉するような幼稚なオリンピックにはなってはならない。あくまでも正義のスポーツであってほしい。