崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

金大中・元韓国大統領死去

2009年08月19日 05時29分21秒 | エッセイ
 私は金大中氏の大統領時代に日本に住んでいたので当時のことは実感がない。しかし私の青春時代に民主化精神へ大きく影響してくれた人である。独裁軍事政権の朴正煕大統領に対立候補としてある中学校の運動場でおこなわれた選挙演説を直接聞いて感動したことがある。私が日本に留学して間もないうちに彼は日本から拉致され、そのドラマのようなニュースに驚いたこともある。それは不幸な陰謀事件であったが、韓国の国民が反政府的民主化へと導かれていったきっかけにもなったのである。彼がいた刑務所は民主主義の発光所のようなところとなり、そこから光が韓国国民を照らした。南アフリカのマンデラ氏のように彼は刑務所から大統領になった。
 彼は大統領になって日本文化の完全開放、南北首脳会談を実現し、ノーベル平和賞も受賞した。IMF危機の克服、IT産業へ振興など大きく貢献した。しかし韓国人から聞くところによると日本から見るのとは違って評判が悪い大統領であったようである。
 彼は死んで変わっていくはずである。「死」は彼を祖先にも神にもさせるかもしれない。センチメンタルな世俗的な世論を超えて民主化の英雄として尊敬されるだろう。私は「祖先崇拝」を執筆しながら彼の死後の変化に注目している。