崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

麦藁帽子のリボン

2009年08月10日 06時02分00秒 | エッセイ
昨日は広島大学院の集中講義中、県立広島大学の上水流久彦氏が私の体調不良を心配して見舞いに来てくれたようだが思ったより元気に見えで安心したと繰り返し言っていた。彼を教室に誘い、中国人留学生4人と日本人2人で、戦前のプロパガンダ映画やドキュメンタリーを見て議論した。「植民地文化論」という科目名であり、私の話は世界を回った自慢話のようになってしまった。
 日本の植民地を理解するために西洋の植民地も調査しなければならないと思って多く調査旅行した。歳を取るにつれて自慢話が増えるようで、控えながら話していたが、途中から私の自慢の話が爆発したように出た。それは1936年夏宮本馨太郎氏が撮った映像から麦藁帽子のリボンに映画のフィルムを使用していることからである。学生たちにクィズのように画像を繰り返し見せて質問してもそれがフィルムとは誰も当てられなかった。私はこれだけでは大発見と自慢した。映画史を語る人は戦前のフィルムが残っているのはほんのわずかであることを私のこの発見で言わないと説明できないと思う。これだけは無断に使うことは断じて拘るつもりである。麦藁帽子のリボンにしてフィルムを消耗品として亡くしたという話は私の本当の自慢話である。