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翻訳詩の試み:Paul Celanを読む(4)

(写真)無題

■同じく、コールサック64号に発表したパウル・ツェランの翻訳詩。これは、それほど自信がない。時間がなく既存訳とつき合わせて検討していない。誤訳があったら、許されよ。


DER REISEKAMERAD

Paul Celan






Deiner Mutter Seele schwebt voraus.
Deiner mutter Seele hilft die Nacht umschiffen, Riff um Riff.

Deiner Mutter Seele peitscht die Haie vor dir her.

Dieses Wort ist deiner Mutter Mündel.
Deiner Mutter Mündel teilt dein Lager, Stein um Stein.
Deiner Mutter Mündel blückt sich nach der Krume Lichts.



旅の道づれ

パウル・ツェラン




きみのお母さんの魂はそのさきをさまよっている
きみのお母さんの魂は
夜が暗礁また暗礁に乗り上げないようにしている

きみのお母さんの魂はきみのさきを泳ぐ鮫どもを鞭打っている

この言葉はきみのお母さんが後見人だ
それはきみとラーゲルを、石また石を、共有する
それは光のパン屑の方へ傾く




Sound and Vision



テキストはHenri Michauxだと思うが…。ヴィトルト・ルトスワフスキ
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作品3

■旧暦7月13日、火曜日、、関東大震災忌、二百十日

(写真)芭蕉

9月か。風の叉三郎を読みたくなる季節である。以前、未決定稿の方を読んだら、叉三郎が、風の神として描かれていて、これはこれで、面白かった記憶がある。今回は二つ同時に読んでみるか。

コールサック64号が出たので、発表した詩をアップする。




唐変木

                

言葉の終わったところで世界が始まる
ここは霧深い古道 古代的なるものの色濃い
熊野の山の中である
言葉は世界の涯なれば
われらは涯に住まう者

日の中にふいに現れた一頭の鹿
スコールの上がった岩の上に悠然と飛来する鴉
何も告げないが何かを告げているその瞬間―
精妙さとニュアンスは言葉の外の言葉である
もはや二度と同じ瞬間はめぐってこない
そう悟ったとき ひとの心は無になる
川の流れになり
逆巻く雲になり
幻の滝の音になり
世界の中心になる

言葉は無意味だ
ここで踊れ 神はここにいる




Sound and Vision





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