「利休にたずねよ」

2014年03月03日 22時49分43秒 | 映画

大変遅ればせながら。
原作者の山本兼一さんが亡くなられたというニュースも記憶に新しいところですが、2月の末日、もう午前の一部のみになってしまった上映を観てきました。
大きな映画館は久々でしたが(笑)、さすがに朝9時のシアターに人影はまばら。落ち着いて楽しむことが出来ました。

さて、「利休にたずねよ」は、利休切腹から時を遡り、彼の美の根源を辿っていくストーリー。
従来の利休のイメージであった「わび・さび」の枯れ具合から離れたうえで、実は優美なものを追求していたのではないか……といった仮説が執筆の契機とされていますが、時代考証やフィクション部分の脚色に少々の問題はあれど、飽くなき美の追求やこだわりを持っていた、ストイックな、ある意味で恐ろしい人物像はしっかりと伝わってきました。
撮影には現在に伝わる当時の茶碗が使用されたとのことで、それが美しい所作や点前と合わさり、見事な「映像美」を演出していたと思います。

そうした「人」や「物」の美しさに見入ってしまった2時間でしたが、歴史小説が好きな人なら十分楽しめる作品と言えるでしょう。特に北野大茶湯のシーンは活気があって見事です。先日参加した北野天神梅花祭も元々はそれに端を発するものですが、当時の勢いには敵いませんね。
ただ、史実にこだわるならば、やはりフィクションの部分が目についてしまいます。これらの相違については私もある程度踏まえているつもりですが、ここでは敢えて触れません。(笑)
しかしながら、茶道を嗜んでいる人間としては、見どころが豊富で、今後も自らの美意識を高め、主客共に美しいと思える点前が出来るよう努めていきたい、そう思える作品でした。

一つ個人的に惜しかったのは、美しかった点前のシーンが部分的にしか登場しなかったということ。
せっかくの映画ですから、欲を言えば通しで見てみたかった気もしますが、そうなると撮影はかなりの長回し、観る方は退屈気味にと、なかなかハードルが高そうです。(笑)

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