<「ジョルジュ・サンド」というペンネーム>
「ジョルジュ・サンド」とは、筆名であり作家が公の場で使用した職業上の名前である。「スタンダール」(『恋愛論』『赤と黒』など)や『人間喜劇』の作者「バルザック」など、サンドと同時代の男性作家たちが自らにつけた筆名と同様、ひとりの作家のペンネームなのである。この筆名は当時の恋人ジュール・サンドーの名前から取られたもので、サンドをベストセラー作家にした処女作『アンディヤナ』に始まり、その後四十年近くにおよぶ作家生活でサンドが創作し続けた作品に署名された。
<サンドの私的な名前>
他方、サンドの私的な名前には含蓄がある。
サンドの旧姓名はオロール・デュドゥヴァンであり、結婚後はオロール・デュパンである。サンドはショパンに自分のことを「オロール」としか呼ばせなかったが、それはこの名前に特別な意味がこめられていたからでもあった。
サンドの父方の四代前の祖先に当たるポーランド王フリードリヒ=アウグスト一世(ザクセン選帝候、後のポーランド国王アウグスト二世)の夫人アウローラ・ド・ケーニヒスマルクAurore de Koenigsmarkの発案によるものなのだが、彼女は自分の直系家族に誕生した女の子には自分と同じアウローラ(フランス語ではオロール)と名付けることに決めたのだ。
サンドの祖先は、女系子孫の名の存続を画策したというわけである。
サンドは、家族の歴史のなかで代々継承されてきたこの「オロール」という貴い名前をショパンに呼ばせたことになる。
ちなみに、サンドの長男「モーリス」は、サンドの父親とその曾祖父の名前でもある。家系の存続を人類の進歩に結びつけ重視するサンドの思想は、『コンシュエロ』とその続編『ルードルシュタット伯爵夫人』の男性主人公アルベルトの思想にも反映されているが、その思想の源にはサンドの祖先の名前にまつわる「習わし」あるいは「意図」があったと考えうるだろう。
「ジョルジュ・サンド」とは、筆名であり作家が公の場で使用した職業上の名前である。「スタンダール」(『恋愛論』『赤と黒』など)や『人間喜劇』の作者「バルザック」など、サンドと同時代の男性作家たちが自らにつけた筆名と同様、ひとりの作家のペンネームなのである。この筆名は当時の恋人ジュール・サンドーの名前から取られたもので、サンドをベストセラー作家にした処女作『アンディヤナ』に始まり、その後四十年近くにおよぶ作家生活でサンドが創作し続けた作品に署名された。
<サンドの私的な名前>
他方、サンドの私的な名前には含蓄がある。
サンドの旧姓名はオロール・デュドゥヴァンであり、結婚後はオロール・デュパンである。サンドはショパンに自分のことを「オロール」としか呼ばせなかったが、それはこの名前に特別な意味がこめられていたからでもあった。
サンドの父方の四代前の祖先に当たるポーランド王フリードリヒ=アウグスト一世(ザクセン選帝候、後のポーランド国王アウグスト二世)の夫人アウローラ・ド・ケーニヒスマルクAurore de Koenigsmarkの発案によるものなのだが、彼女は自分の直系家族に誕生した女の子には自分と同じアウローラ(フランス語ではオロール)と名付けることに決めたのだ。
サンドの祖先は、女系子孫の名の存続を画策したというわけである。
サンドは、家族の歴史のなかで代々継承されてきたこの「オロール」という貴い名前をショパンに呼ばせたことになる。
ちなみに、サンドの長男「モーリス」は、サンドの父親とその曾祖父の名前でもある。家系の存続を人類の進歩に結びつけ重視するサンドの思想は、『コンシュエロ』とその続編『ルードルシュタット伯爵夫人』の男性主人公アルベルトの思想にも反映されているが、その思想の源にはサンドの祖先の名前にまつわる「習わし」あるいは「意図」があったと考えうるだろう。
文学や読書とは縁遠い日々でしたが、近頃とみに関心がわいてきまして、リンクをたどってたどって、先生のページにたどり着きました。
あえて男性名を筆名にした、ジョルジュ・サンド。
当時の読者は、びっくりしたんじゃないかと思うのですが、いかがですか?
日本で言えば、夏目漱石ですと名乗って、実は女性でしたという感じでしょうか。
近い内に、サンドの作品に触れてみようと思います。
では、失礼します。
しいのみ
http://ameblo.jp/shiinomi8848/
..
本ブログへのご訪問ありがとうございます。気がつかずにいて、お返事が遅くなってしまいました。すみません。
あえて男性名を筆名にした、ジョルジュ・サンド。
当時の読者は、びっくりしたんじゃないかと思うのですが、いかがですか?
はい。サンドが男性作家だと信じ込んでいて、応対に出たサンドを無視した
人がいたというようなことをサンド自身も『わが生涯の記』に書いています。
「全人格を挙げて自身を見つめ人類を見据える、「先生」にとっては唯一無二の地平であり、魂そのもの」
「有史以来、連綿とつづく人間の魂の継承」
漱石の『こころ』に描かれている歴史認識がサンドに共通するものだとしたら、画期的な発見ではないでしょうか。
福沢諭吉もとても興味深いですね。
これからも、どうぞよろしくお願いいたします。
csophie