毒吐き蟲が天に向かって毒を吐いたあと、どういうわけか数秒間天を仰いだままその場所から逃げなかったのは、じつは、天が一瞬目映く美しく光ったからだ。毒は墜ちてきて毒吐き蟲は自らその毒をざんぶり被り、いまは毒液にまみれてもがき苦しんでいる。昨晩不用意に自分の吐いた毒の言葉が、いまの私に降って来て私の心を苦しめている。つくづく毒は吐くものではないと思う。毒は誰も幸せにしない。
ところで。
漫画雑誌『モーニング』(講談社)連載のあらゐけいいち氏の『CITY』が頗る面白い。ああいう独特な世界観や台詞回しを短歌の作品にさりげなく巧く持ち込めたらいいなあといつも思う。