カームラサンの奥之院興廃記

好きな音楽のこと、惹かれる短歌のことなどを、気の向くままに綴っていきます。

滅失。

2016-03-24 16:41:59 | Weblog

午後には雨止んで空は薄く明るんだものの、そんな兆しすら見えなかったその朝の陰鬱な空と吐く息白き春の雨は、木々や道を濡らし、ふらふらと足取り覚束なく寺町の裏通りを歩いていた秋原康三の気分を暗くした。〈なべて滅失や〉と秋原は思わず呟いた。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする