いま、簡単に書けるとは思わないけれども、フィクション小説の文体についてよく考えることがある。たとえば、こんな小説文体があったら、と綴ってみたひとつ。以下。ルーツについては歴史好きが高じて調べたくなることもあるだろう。小説ノートを付けだしてから気が付いたことがある。私の場合、ある程度物心がついてから無性にルーツを調べたくなったが、物心つくようになるずっと前から親からの愛情をあまり掛けてもらえない不安のなかに生きてきたからだということに最近漸く気が付いた。親から不思議なほど愛情薄く接せられたから知らず知らず幼心ながら不安を感じて、親のその先のルーツを調べたくなったようだ。父も祖父もその前も、不幸なことに我が家は親の愛の極端に薄い家系だったようだ。昔から志賀直哉の『暗夜行路』に妙にシンパシーを感じていたがその理由がいまひとつよくわからなかった。最近はよくわかるようになった気がする。そういうことのあれこれを小説ノートにつらつらと書き付けている。そんな私がいま、手元に置いてしばしば引いているのは集英社の国語辞典第3版。そして、漸く読み始めたのは、永田先生の『歌に私は泣くだらう』(新潮社)。
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