カームラサンの奥之院興廃記

好きな音楽のこと、惹かれる短歌のことなどを、気の向くままに綴っていきます。

嗜好

2012-05-17 23:52:45 | Weblog
慧眼な作家のひとりである平野啓一郎氏は、Twitterだつたかどこかの発言のなかで、漫画作品でいちばん好きで断然優れてゐると思ふのは『ヒミズ』であると言はれてゐたが、私にはいまだにその作品の佳さがよくわからない。映画はまあまあよかつたけれども漫画の方はあまりぱつとしなかつた。突き詰めるとそれは芸術上の嗜好の問題になるのかもしれない。



とかなんとか綴つてゐながら、とにかく今はねむくて眠くてたまらない。起きてゐられない。最近、ここのところこんなことばつかりだ。すつかり疲れてしまつた。
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塔2012年5月号

2012-05-17 08:10:04 | Weblog

ましぐらに鳶は近づき硝子窓の間際で急に高みへと消ゆ  磯部葉子(p90)


風とぢて軸といふ軸ぶれてゆき霧のにほひのなかにさすらふ  磯部葉子(p90)


晒されて輝かされて満月はときにさみしいかたちと思ふ  磯部葉子(p90)


もうどこにも行きたくはなし窓の辺にしきりに白き馬が嘶く  磯部葉子(p90)



磯部さんの一連六首から四首を引かせて頂いた。


一首目。客体である「鳶」の「近づき」「急に高みへと消ゆ」といふ鋭角的な動きが作中主体の抱へる〈狂ほしいまでの底知れぬさみしさ〉を象徴的に表してゐると思ふ。四首目の「窓の辺」の「白き馬」もじつに象徴的だ。作中主体を訪ねて憧れの白馬に乗つた王子がもしかしたら窓の辺まで来てゐるかもしれないのだが、作中主体は「もうどこにも行きたくはなし」と頑ななのだ。

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