カームラサンの奥之院興廃記

好きな音楽のこと、惹かれる短歌のことなどを、気の向くままに綴っていきます。

思ひ出したことなど

2012-05-12 19:13:23 | Weblog
映画『愛しの座敷わらし』を鑑賞し終へてどこかでひとり思ひきり号泣したいやうなふはふはした心持ちのまま映画館ビル九階からエレベーターで下界へ下りてくると、そこでは夕暮れのやはらかな光がさりげなく、しかし確実に、街やひとの雑沓の上に広がりつつあつた。イヤフォンラジオを耳に装着すると、NHK交響楽団定期演奏会の実況生中継番組がてふど始まるところ。一曲目はオネゲルの交響詩『夏の牧歌』。これはなんといはうか、聴き手の子ども時代の懐かしくて涙が出てくるやうなさまざまな記憶に響いてくる、じつに温かくて切ない音楽であると思ふ。。。



さて、『愛しの座敷わらし』を最後まで見て思ひ出したことがあつた。20年ぐらい前にならうか、思ふところがあつてずつと縁が切れてゐた岡山市周辺に眠る先祖たちの墓参りにひとり出掛けやうと考へた。お参りを終へて疲れきつて天満屋デパートの最上階の食堂にたどり着き夕飯をとらうとした。私は当然ひとりだつたが、何故だか食堂の店員さんは水とおてふきをふたつ分持つてきて、テーブルの私の席と私に向かひ合ふ席に置いて離れていつた。最初怪訝に思つたがなぜだかすぐに了解してしまつた。嬉しくなつてそのままひとりの夕飯を頂いた。




今日はそんなことをふと思ひ出したのでした。
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