モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

絵と「向き合う」とは何か

2024-08-01 23:06:37 | 学生


梅 高2 油彩

マユカです!今回は学生クラスから油彩画をご紹介します!

クラゲが皆底へと沈んでいく様子を描いた一枚。F30号(91㎝×730ⅽm)とかなり大きめのサイズに、自分の思いをぶつけてみたいと制作を始め、何度も試行錯誤を繰り返してようやく完成。制作当初から二転三転し、水面へ光を目指して進む様子のクラゲを描いてフィニッシュ…かと思いきや、ごちゃごちゃしてきたと絵の上下をひっくり返し、今の形に仕上げました。

クラゲの透明感を出す為に薄く何度も絵の具を塗り重ね、細かい部分や手前にある触腕の厚みになる部分にはたっぷりと絵具を乗せたことにより、重厚な雰囲気がとても伝わってきます。赤と青のクラゲが泡に反射し、映り込みとして様々な場所へ色を広げているのが功を成し、全体的な印象は暗めでもなんだか光を感じるような、ちゃんと明るい印象でまとめ上げています。彼女の性格がかなり明るいというのもあり、人柄が画面からにじんで見えてくるようです。

覚えていらっしゃる方も多いと思いますが、最初は人魚のような女の子とその周りを漂うクラゲが幻想的に描かれていて、大人クラスでも完成を期待している方がたくさんいらっしゃいました。しかし、途中で納得がいかなくなり、思い切って潰してしまい違う絵となったんですね。同じ絵と向き合い続けることで自信がなくなったり、飽きたりして「どうして自分はこんなものを描いているのだろう」と考えてしまうと筆が進まなくなる気持ちは身をもって知っています。
かと言って、思い切って描き変えたこの絵に納得がいったかといえば、むしろ前の方がずっと魅力的だと本人も分かっているようです。
安易に安泰にダラダラ制作しなかったことは、本当に素晴らしい決断です。しかしその判断がいつも成功に結び付くわけではありません。向き合い続け、「これは失敗かもしれない」と感じたとしてもそこで終わらせず、完成までは持って行ってあげることで、そこで初めて「やっぱり完成させて良かった」になるかもしれない可能性が生まれます。うまくいかなかったのであれば次回にそれを活かせばいいし、完成品が良いものになればそれ以上のことはないでしょう。悩んでいる時こそ、完成させることが己の殻を破る第一歩になるんです。
失敗を恐れず、時には自分で敷いたレールを自分で疑問視し、茨の道を選べることは、美術に進路を決めた者に必要な要素だと思います。すでにそれは備わっていますので、今後も厳しく応援しようと思っています。


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