モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

異国を旅する感覚

2023-02-16 23:10:26 | 大人 油絵・アクリル


黒木 透明水彩

桜味の飲み物が出始めていて、もう春が来るのかと驚いています。マユカです!本日は黒木さんの作品をご紹介したいと思います。

異国情緒あふれる建物を大胆な構図で見上げるように描いた一枚。ちいさな野良猫が建物のそばに佇んでいますが、くっきりと描かれているからか、建物の次にスッと目に入ります。
建物→猫→坂道…と、視線が誘導されるため、知らない道を猫ちゃんに導かれていくような感覚がします。雑誌の写真から題材を発見されましたが、ここは小高い丘の斜面に成り立つ街、ポルトガルのリスボンだそうです。細くて薄暗い住宅街の急勾配な路地、上に見える洗濯物や壁の汚れの様子から、異国の空気感が伝わってきます。窓が大きく開かれていたり、建物の上に当たる日の光と日陰の対比が、この路地に涼し気な印象を与えてくれています。

写真を参考に描くとき、どうしてもピントの書き分けに苦戦するのですが、黒木さんの作品では透明水彩のにじみを坂や壁に使い、手前にあるドアはにじませずに描くことで、大きな建物にも手前と奥を作り、ピントがある写真の画面を見事に表現していますね。壁面の凹凸や、斜面の石の雰囲気。細かく見ていかずとも伝わってくる質感が、絵に深みを与えています。とても目を惹く手前のドアの素材はおそらく木でしょう。ペンキで塗られ、コーティングされたツヤの質感を重ね塗りして表現し、映り込んだ周囲の風景を感じさせています。この濃い青が、壁の優しい黄色を引き立て、全体的な彩度はそこまで高くはありませんが、画面を鮮やかに見せています。

リスボンの町は至る所に坂道があり、石畳の道を色鮮やかな路面電車が走っているそうです。どんなところを切り取っても絵になりそうなカラフルな建物や、ヨーロッパらしい装飾がされている美しい街並みを歩き回っている最中、ふとみつけた静かな路地を、カメラ片手に散歩する…。そんな光景が見えてきます。いつか海外へ旅行に行った際は、黒木さんが描かれた路地のような、素朴でありながらも魅力あふれる道を探してみたいですね。


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