子どもの頃、夏休みはよく山登りに行っていました。虫の音の中で妙に静けさを感じて心が落ち着くようなあの感覚を、今回の作品から思い出しました。
本日ご紹介するのは水曜午前大人クラスより高橋さんの油絵です。
今回のモチーフは、旅行された際に写真に撮ってきた白樺の映える尾瀬の風景です。私は尾瀬は歌などで水芭蕉が綺麗だということしか知らなかったのですが、白樺もこんなに美しい場所なのですね!今回はこの白樺を主役に据え、沢山の色味の中に浮かび上がる白が目を惹きつけます。
高橋さんは水曜午前クラスのムードメーカーでいつも笑いの渦に巻き込んで下さるのですが、そんな陽気な面と裏腹に作品はクラスでも一二を争うくらい細やかで繊細です。今回もついつい全部を描き込み過ぎないよう、抑えるところと思い切り描き込むところを気を付けました。白樺などのきっちりと描きたいところも線をひくのではなく、絵の具を置くということを意識して、さらに表現の幅が広がり美しくなったと感じます。
また、白を置く時もチューブから出したそのままでなく、筆の先に少し触れるくらいの量、黄色やピンクなど他の色を足して細やかな色味を作ります。画面の上で美しい白に見せるには、下地や周りの色、白自体の色の幅など下準備や細やかさが必要になります。苦労された甲斐のある作品に仕上がりましたね!
水面の映り込み、さざ波もとても苦労されていましたが、揺らぐ水をランダムに入れて画風に合う美しい表現になったのではないでしょうか。
また奥の山の、深い何とも言えない色味も全体を引き締めて素晴らしいです!
高橋さんの油絵からは、丁寧につくられたジオラマを眺めている時のようなワクワクと楽しさを感じます。どんどん細部を見ていきたくなってしまうのですね。さて高橋さん、次回はペインティングナイフに初挑戦。この細やかな世界に大雑把さも必要なナイフの新風が吹き込んでどのような作品になるのか、今から楽しみです!