駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

カレーを出さない店

2010年11月16日 | 小考

 カレーには迷惑な話かも知れない。カレー大好きの私も多少心苦しいのであるが、カフェやそば屋の中にカレーのない店がある。これは憶測なのだが、私はそれを一つの見識と理解している。というのはカレーの持ち味は強烈で特にその香りは他の料理の微妙な香りをかき消して、しばしば店全体をカレー風味で席巻してしまうからだ。
 新蕎麦の香りと言ったところで、微かなもので、口に含んで始めて馥郁と鼻腔を仄かに満たす程度だ。カレーうどんを脇で食べられては、わからなくなってしまう。カレー粉は他の調味料を圧倒してしまう。ほんの僅か出演しても主役に躍り出てくる。勿論そば屋の和風カレーは捨てがたく、何を食べても駄目なカフェでもカレーだけはなんとか食べられるというようなことはあるのだけれども、当店はカレーなしで微妙繊細な本来の味を出したいという考え方は真っ当のように思う。
 と、ここまでカレーの話のようで、実はカレーは愛国心に似ていると申し上げたかった。私も故郷を愛する気持ち日本を大切にする心では人後に落ちないつもりであるが、それは心の奥に秘めておきたい。なんだかこの豚汁は出来が悪いこのスープは味がはっきりしない、それっとカレー粉を入れて調理の失敗を誤魔化してカレー味で供するような料理人は失格だ。
 外交の失敗を愛国印のカレー味で誤魔化して乗り切ろうとする政府も同様、それを焚き付けるマスコミには頭を冷やして頂きたい。
 ここに来て、凡庸で迫力のない谷垣さんが、意外に平常心を失わずまともで、悪くないようにも見えてきた。

コメント
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