駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

女の患者、男の患者

2010年11月11日 | 診療

 私の医院の患者数は男女ほぼ同数だが、受診する回数はやや女性の方が多い。女性の方が時間に余裕があるのと細かいことが気になり何度も受診する人が多いのがその理由だと思う。
 男女では明らかに受診する時間帯に違いがあり、朝一番が女性と言うことは月に一二度しかない。だいたい朝は五番目くらいまで男なので、午前九時頃はおじさんやおじいさんが待合室の椅子に並んでいる。九時半頃からおばさんやおばあさんが増えてきて男女がごちゃ混ぜになり、十時過ぎると女の方が多くなる。
 おしゃべりする患者さんは女性の方が多く長い傾向がある。男性は短いが大声が多く診察室まで聞こえることがある。
 電車の駆け込み乗車は男の方が多そうだが、駆け込み受診は女性の方が多い。中には確信犯で狙ってぎりぎりに来られる方も居る。たぶん受付で事務にじろりの一瞥を受けているはずだが、そんなことに怯む人達ではない。私もそんなには歓迎していない。というのはこうした患者さんは訴えが長くしつこいからだ。いつも同じ訴えなので、要するに話を聞いて欲しいのだろうと思う。精神的な不調の方がほとんどだ。
 不思議なことだがこうした患者さんが運悪く胆石や胃がんなど身体の病気になるとぎりぎりに来院することはなくなり、長い訴えも影を顰める。どういうわけだろうか。どうも不安というのは漠然としていると喚起され、対象がはっきりしてくると軽減するようである。

コメント
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