駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

早起きでもうっかり

2009年04月15日 | 身辺記
 朝、明るくなるのがめっきり早くなった。年の功?か昼寝のせいか目覚めも30分ほど前倒しになる。今朝、朝刊を取りに庭に出ると青空が見え、前の山が朝日に輝いていた。暫し眺める。いつの間にか冬のかけらもない。
 新聞をチョット長目に読んで、15分ばかり早めに家を出る。数分歩いて忘れ物(デジカメ)を思い出したが、戻るのも面倒でそのまま出勤した。駅まで徒歩で20分ほど、電車に乗っているのが15分なので出勤に要する時間は40分くらいだ。地方都市にしては長目かも知れないが、頭を切り換えるにはちょうど良い。この頭の切り替えだが、さあ出かけるぞと思った時から始まるようで、ついさっきまで今日はデジカメで医院の写真を撮るぞと思っていたのが、どこかにすっ飛んでしまい、鞄を持つとそのまま出てしまった。時間に余裕があり、慌てていたわけではないのだが。
 これがよくあるのだ。子供の時に母によく言われた。「前の晩に用意して起きなさい」と。情けないことに注意は覚えているのに未だに守れていない。昨夜鞄の中に入れておけば忘れなかったのだ。鞄は絶対に忘れないので。
 医院に着いたら少し陽が陰っていたので、忘れても好かったと妙な理屈を付けて誤魔化した。母はまたお前はと苦笑しているだろう。
 さて今日は校医をしている中学の健診があり、長い一日になる。
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守りたい力の源

2009年04月14日 | 世の中
 若い女性が胃の調子が悪いと受診したら、必ず鑑別診断の三番目に妊娠を挙げなければならない。別に胃の調子が悪くなくても若い女性を診たら頭の片隅に妊娠を入れておくのが町医者の常識なのだ。口が酸っぱくなるほど研修医には注意している。それでも、某医院で胃カメラ異常ないと言われましたがどうもまだすっきりしません、と来院するつわり症例が数年に一例くらいある。
 年に一例くらい、腹部不快にぴんと来て検査をすると妊娠反応が出る。独身の場合がほとんどなので、妊娠ですよと小声で告げる。残念ながら弾ける笑顔は返ってこない。
 頑迷な中高年と思われては残念だが、どうもできちゃった婚という言葉に不快と不安を感ずる。共に生きる決意が出来ていれば、多少のフライングはあってもと思うが、ロシアンルーレットをしていたら暴発して出来ちゃったからというのは大いに疑問だ。それでも家庭を持ち非嫡出子が避けられれば好いのだが。
 非嫡出子、この言葉は死語にしたい、を差別しようというのでは決してない。世の中には様々な事情があるだろう。まして子供にはなんの責任もない。ただそんな事情は千に三つ程度だろう。
 どうしてこんな事を書いたかというとネットのニュースでアメリカでは40%の子供が婚外で生まれていると報じられていたからだ。日本は1.8%と先進国では極端に低い。果たしてこれが守られていくものか。守られることを願う。 
 世の中変わった、シングルマザーの時代と言われるようになったら、それで明日を担う子供が育つだろうかと不安になる。家族や家庭なしに人間の子供が伸び伸びと育つかどうか、これにはいろいろな意見があるだろうし科学的なアプローチも必要だろうが、一人前の大人の感覚では、家族や家庭は子供の成育に必須の環境だ。それは子供の時に必要なだけでなく終生記憶として生きてゆく糧になる。
 巡り合わせの悪い人を差別するために書いているのではない。世の中には理不尽や不可抗力が溢れているのは十分承知している。
 偏見の誤解を恐れずに言えば、家族家庭の力は日本の力の源のような気がする。篤姫も言っていたではないか。
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旨い高い?江戸前

2009年04月13日 | 旨い物
 折角東京へ出て行くからにはというわけで土曜の夜は江戸前寿司に挑戦した。銀座では目が飛び出ると行けないので、妥当と踏んで人形町へ。ここいらは明治の香りが残る界隈で隠れた名店が多いと聞く。
 カウンターが満席なので唯一の椅子席に座る。どうも椅子席で握って貰うのは雰囲気が出ないので特上を二人前注文。特上は3400円で行きつけの店より三割り増しだが、驚くほどの値段ではない。
 生姜でお茶を飲みながら待つことしばし、「お待ちどうさま」と女将が出してくれたのは、えっこれが特上と思うほど、地味な見かけだ。まあイクラのような軍艦物や海老などといった赤系統の派手な握りがないせいだろう。しかし、流石これが旨い。小振りで、しゃりが硬めで酢がややきついのだが、私の好みでもあり美味しく頂いた。しゃりは行きつけの店の半分くらいでネタも小振りのせいか軽く、一人前では腹7分目だった。追加で海老、小鰭、蛸を二貫ずつ注文した。まだ腹八部なのだが頃合いと、店を出た。
 満足して表通りの方へ歩くのだが、どうも女房の機嫌が宜しくない。福沢諭吉の他に野口英世まで動員されたらしい。お決まりと握って貰う違いには複雑な物があるらしい。江戸前となれば納得のお値段と思うが、予想と違ったところがお気に召さなかったらしい。「調子よい、女将さん」。まあそんなものさと相槌を打って、こちらまでとばっちりが来ないようにタクシーを捜しに先を急いだ。
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美しい皇居周辺

2009年04月12日 | 世の中
 東京の国際会議場で内科学会があり、上京。例によって朝食前にホテルの周りを小一時間散歩。皇居まで足を伸ばす。走っている走っている日曜の早朝なのに中年から老年まで、鈍足から快速まで。若い人と外国人そして女性がちらほら。反時計回りが主流、時計回りの倍くらいか。日曜の早朝でこれだから、平日の昼間は凄いことになっているだろう。
 皇居は都心不可侵のオアシスで、恐らく昆虫から小動物まで多種多様な連中がのんびりと棲息しているに違いない。曇っていたがお堀越しに様々なグラデイションの緑が茂る皇居が望め、その向こうに微かに高層ビルが垣間見える光景は美くしく、平和と健康を感じた。何を守るか皇宮警察官が各門の前に立ち、ゆっくり周りを見回している。ゴミ一つない歩道、手入れの行き届いた木々、清潔な身なりで走って行く人達からは、この国の四肢躯幹が病んでいるようには見えない。おそらく中枢に病変があるのだろう。
 帰りに新丸ビルに寄ったのだが、お客さんが半数ほどに減っており、買い物やレストランで待たされることはなかった。当然のことで一つ240円の柏餅など、二の足を踏むのが正常の感覚だろう。名前や包装は立派でも味は近くの店の110円とさほど変わりないのだ。ブランドを装う品の中に本当に価値のある物は少数で多くは幻影、つまりバブルの一種で、敬遠されて当然の気がする。やがて幻影を売る店は淘汰されて行くだろう。
 糖尿病はバランスの取れた質素な食事を腹八分目食べて体重を落とし、適度な運動をすれば半数以上の人が薬の助けなしにほぼ正常に改善する病気だ。それが証拠に戦後10年は患者数が今の十分の一以下だった。
 百年に一度の不景気としても、糖尿病治療と同じく質素な生活でよく働けば乗りきれるのではないか。中枢の政治家官僚社長こそ、市民庶民に学ぶべきではないかと思ったのは、糖尿病のシンポジウムを聞いたせいだろうか。
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将棋名人戦から連想

2009年04月11日 | 身辺記
 昔ヘボ将棋を指した。田舎有段者なのだ。
 将棋の名人戦が始まった。深浦が羽生からタイトルを取り損なった今、郷田は名人奪取のダークホースかも知れない。そう思っていたが、さきほどネットで見たら、第一局郷田が負けたので、奪取は難しくなった。郷田は直進型で連勝で取り連敗で失う棋士なので、何かきっかけがないと反転は無理そうだ。
 羽生の差し回しはいつもながら凄い。本質は攻め将棋なのだが、間合いを測るのが絶妙で要所では相手の出方を見て変幻自在に受け、相手の腰を伸ばしてしまう。
 へぼが盤上のことを書いては笑われる。得意?の盤外。確か郷田は独身ではなかったか。貴公子然として無頼派と聞く。角を矯めて牛を殺してはならんが、好き伴侶を得て、飲み屋のカウンターでなく家庭で羽を伸ばせば、勝負強くなると思うのは、余計なお世話か。
 へぼでも次の一手がある程度当たる。この当てるのにほとんど読みは入っていない(なにせ三手しか読めないから)。それでもプロの手が時々当たるのが面白い。
 自分は内科臨床のプロなのだが、プロでも正直しらみつぶしには考えていない。いくつかの手がかりに閃いて、途中を省略している。結論が先に見えてしまうのだ。それとこういう時にはこういう事はないと、捨てる判断力が未熟の医師よりも優れている。勿論、病気のことにはアマチュアの患者さんにも、それなりの体験や観察眼があるので、その意見を無碍に退けることはない。
 こうして考えなくてもわかるので、まだ現役でいられると思う。町医者に定年はないし上司はいない。だんだん老人力が付いてきたら何時身を引くべきか迷う。しかし心配しなくても、それは患者さんが教えてくれる。どうやってと思われるだろう。患者さんは実によく見ている、患者数が減るのだ。今のところ横ばいなので、私はまだ大丈夫らしい。
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