
診療時間が今までの六割くらいになって、診る患者さんの数も三割ほど減った。それでも延べ千人ほどの定期的に受診される患者さんを診ている。
日本人はほぼ同一人種でなので、数が多ければどこかに似た人が居るものだ。高々千人ほどの患者さんでそれほど似た人が居るわけはないとお思いかもしれない。確かに並べばほとんど似ていないのだけれども、話し方反応の仕方体格などから似た印象を受ける組み合わせが十数組居る。
人間がどうやって人を識別しているのかよく分からないが、顔だけではないのは確かで、私の仕事のように話をしたり診察したりする仕事をしていると、非常によく似た印象受ける組合わせがある。面長と丸顔、太りじしと痩せぎすを間違えることはないが、同じ面長同じ丸顔で似た体格で話し方が似ていると顔そのものはさほど似ていなくても、呼び起こされる記憶が混同して「便通はよくなりましたか」とかとんちんかんなことを言いそうになる。
長く通っておられる患者さんを見ると瞬時に病歴家族構成話し方仕種の癖などが浮かんでくる。確かに主に顔で同定しているのだが、脳はそれだけではなく体格歩き方話し方なども参考にしているように感じる。特にマスクの時代ではなおさらだ。
他人の空似というくらいだから、日本のどこかに似た人が居るのだろうが、狭い地域の高々千人くらいでも印象というかイメージが似ている人は結構居る。