便秘というのは一番多い慢性疾患かも知れない。高齢になると便秘する寝付きが悪いと訴える人が増えてくる。便秘には希に大腸癌も混じっているので、ああそうですかと返事をしながら抜かりなく対応する必要がある。不眠の方は睡眠剤を出すのは簡単だが、依存性が出ないように注意しなければならないので、対応が難しい。どちらにもこの数年、新しい薬が出てきて選択の範囲が広まった。当初は有り難いと思ったが、新薬でもすっきりしない患者さんというのが一定数居て、便秘と不眠はこれで解決とはならない。それに新薬の問題は値段が高いことだ。従来の薬の十倍くらいする。患者さんの懐具合を忖度すると使いにくい。
どちらの疾患にも生活指導が大切で、食べ方食事内容排便時間姿勢など、昼寝は二十分まで十時までは起きている部屋は静かで暗くして羊を数えるなど、寿限無寿限無とお話させて頂く。三、四人に一人、生活指導で改善する方がおられる一方、七、八人に一人あれでも駄目これでも駄目と薬を処方しても中々上手くいかない人が居る。そういう患者さんには気長に対応している、そうするとだんだん良くなるというかそれなりの結論が出て訴えなくなることもある。
便秘には麦飯がよいこともある。そんなもの食べられないとむっとする人も居るが、中々美味しいと麦を混ぜたご飯で調子が良い人も居る。その一人Nさんは米所新潟の生まれだから分からないものだ。時々上手く行かない不眠は精神科を紹介することもある。それでうまく行くこともあるが、相変わらずいろいろ訴えて帰られる患者さんが一定数残る。まあそれが最前線、現場の実態というものと受け止めている。