今の世を見て、小人閑居にして健康志向となると孔子様が言われるかどうか分からないが、テレビを見ているとそんなことを想像してしまう。死んでもいいから健康が大切なんだと揶揄する人までいる。
ためしてガッテンという番組がNHKにある。営利目的のスポンサーは居ないので、偏向はなさそうでも断片的で一部を取り上げるので有意義な所はあるが鵜呑みにされては困ると医師仲間から聞く。
健康に良さそうなことを取り上げる番組が目白押しだが、肝心な生活習慣の改善にどれほど役立っているだろうか知りたい気がする。勿論、無意味ではなくかなり有用なのだろうと思うが、大切な視点が抜けているような気がする。科学的な裏付けのある身体に良いことは成る程と思っても実行が難しいものが多い。実行するのが難しい人達が多い。毎日三十分の運動、動物性脂肪や塩分は控えめにしたバランスのとれた食事を規則正しい時間に摂取する、七時間程度の睡眠時間を確保する、ストレスを溜めない・・・。
分かっているけどできない止められない、良いことができないのはなぜかを追求した番組は私の知る限り少ない。健康に限らず、世の中の問題は分かっているけどできない、止められないから起きてくるものが多い。これは日々患者さんに接している臨床医の切実な感想である。